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【ドラニュース】

【龍の背に乗って】満塁男・大和にやられた

2019年7月28日 紙面から

1回表1死満塁、大和に中前打を許す松坂(黒田淳一撮影)

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 連敗が止まらない。それだけでも由々しき事態なのに、どうやら負けるだけでは済みそうもない。記者席からそれを悟ったのは、3点目を取られた瞬間だった。1死満塁。スライダーに食らい付いた大和の打球は、前進する中堅・大島の前に落ちた。

 「後ろの打者につなごうと思って打席に入りました。当たりはよくなかったですが、いいところに落ちてくれましたね」

 当たり障りのないコメントを発した大和は、ツキも味方した適時打で、松坂の神話を終わらせたことは知らない。中日に移籍した昨季から、松坂はすぐに満塁にはするが、そこからが強かった。13打数無安打。決定打を許さないのは、多くの投手が満塁になるとストライクを欲しがり、痛打されるのに、松坂はむしろ腕の振りが強くなるからだ。昨季はDeNA・宮崎との無理な勝負を避け、あえて四球(押し出し)にしたことすらあった。

 移籍後初の満塁被安打。打った大和も満塁男だった。これで今季10打数6安打、10打点。満塁男対決に敗れた松坂は、投手の石田、石川、乙坂と満塁で4連打を浴び、マウンドから降りた。

 台風6号が接近する中、3万6350人ものファンが球場に駆けつけた。帰りの交通状況が不安だったのだろう。いつもより移動手段にタクシーやマイカーを使う人が多く、球場周辺はかなり混雑していた。やっと席に着いたとき、お目当ての松坂はもういなかった人も多いと思う。

 正直、2回以降のほとんどのことは、中日ファンにはささやかな慰めに過ぎなかった。でも、どんな絶望的な展開であろうとも、戦う姿を見せるのがプロだ。お金を払ってくれる人がいる以上、自分のモチベーションなんか関係ない。この試合ですら、多くの席は終了まで埋まったままだった。試合後の整列した姿にも、拍手していた。僕の目の前では中年の男性が「与田ッ! 何やってんだ」と怒っていたが、その後に「がんばれよぉ…」とつぶやいた。拍手と声は聞こえたか? あと51試合。プロには逃げる場所も資格もない。

(渋谷真)

 

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