ロリータファッションをこよなく愛し、世の中の不条理に対する的確なツッコミが話題となっているTwitterアカウント「うさぎのみみちゃん」。自身のロリータファッションへの批判をどう乗り切るか、仕事をする上での処世術、親子関係の闇など、日常のなかにある”理不尽”をイラストで発信している。普段は会社員として働く彼女に、イラスト(絵日記)を投稿するようになった理由を聞いた。
【画像】「かわいいね」の誉め言葉に「ありがとう」と素直に言える子がうらやましい…みみちゃんの絵日記
■「ロリータ服を着ていても着ていなくても、“同じ土俵”で生きている」
Twitterの投稿は毎日欠かさないといううさぎのみみちゃん。幼少期からかわいい服が大好きだったが、中学時代に雑誌『KERA』に出会い「かわいい服は子どもだけのものじゃないんだ」とロリータブランドの服を身に着け始めた。Twitterをはじめたのは、ロリータ服を着ている人々の思想や生き方がどういうものなのか、知りたい人もいるのではと考えたからだという。
「ロリータといえば『頭ん中お花畑』とか『お菓子食べて生きてるんでしょ』とか、どちらかというとマイナスなイメージを持たれがちです。私たちと話すとき、人は一気に偏差値を落とした言葉を投げかけてくる。”軽んじていい存在”と思われているのかもしれません。でも、私たちは服装が皆とは違うというだけ。好きな服が派手だっただけで、同じように難しいことを考えるし、同じ土俵で生きているんだぞと、ロリータ服を着る人々の思想や生き方を伝えたかったんです」
初期の頃はロリータにまつわる投稿が多かったが、最近では仕事、社会生活、親子関係、子ども時代のいじめなど、投稿の幅も広がっている。特に印象的なのは、自身の子ども時代を描いたエピソード。思春期の頃、うさぎのみみちゃんにとってもっともつらかったのは、周囲から求められる自分を”演じる”ことだった。
「『普通だね』と言われる自分をとにかく演じていました。転校を機にいじめられるようになって、『ここで輪から外れたら、小学生の時よりもずっと苦しいかもしれない』と怖くなって。大して好きじゃないものを『好き』と言って、校則を守る”いい子”をしていた。それでもずーっと服が好きで、ロリータ服が大好きでした。でも、『好きなものは胸を張って好き』とはどうしても言えなかった。子どもの思考のなかで、がんじがらめに縛られていましたね」
■選択するのは自分自身「“自他の境界線”守りながら意見を発信していきたい」
Twitterでは子どもの頃の体験を踏まえて、”好きを貫くこと”の大切さを説いているうさぎのみみちゃん。26日には、それらの投稿を新たにまとめた著書『戦うみみちゃんと不条理な世界』(KADOKAWA)が発売された。うさぎのみみちゃんは著書について「『ようやくここまで…』という気持ち」と発売までの思いを語る。
「一般人が本を発売するのは、けして平坦な道のりではなく、ここまで来るのに本当に様々なことがありました。そのなかで一番の救いは、ファンとおっしゃってくれる方々のあたたかい言葉でした。私を好きでいてくれる人への感謝の気持ちでいっぱいです。この本のテーマは、生きづらい世の中をどう生きるか、ということ。人それぞれ、辛いこと、悲しいことは違います。それにどう対応するか、この本から見つけてもらえたらいいなと思っています」
最後にこれからの展望について聞くと、「今後も世の中の不条理な出来事については言及していきたい。それによって今以上の理不尽や不条理が降りかかっても、負けない」と、その言葉には強い決意が見られる。
「この世の中では『若いから』『女だから』と主語を大きくして、他人を非難しがちです。ロリータ服を好む人たちでさえ『ロリータ服を着ているから〇〇しなきゃ』と、そのジャンルのなかでも、無意識にカテゴライズしてしまっている。でも実際は自分が納得できるなら『私は好き』と言えばいいし、納得できないなら『私は嫌』と言えばいい。苦しみ悩んだときに何を選択するか、決めるのは自分だし、自分が納得していればそれでいいんです。大切なのは『私は私』であること。それを胸に、自分の描きたいことを好きなように発信していきたいです」
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