走りまくって揺さぶった海星が、プロ注目の菰野・岡林勇希投手(3年)を攻略。1998年以来、21世紀初の夏の甲子園まで、あと1勝に迫った。7盗塁で失敗ゼロ。しかも全てノーサインだった。「1番から9番まで走れるので」。森下晃理監督(42)とナインが全く同じ言葉で強調した武器の機動力と、150キロの直球と130キロのスライダーのマシンで強化した打力の掛け算で、4回までに6点を奪った。
1、3回に先頭打者として出塁し、二盗を決めた山崎颯太外野手(3年)が、本格派右腕との対峙(たいじ)を振り返った。「球は確かに速いけど、捕手とセットで考えてバッテリーを崩す意識だった」。3回には同点のホームを踏むなど威力を発揮した“足攻”に、してやったりの表情だ。
28日の決勝は、森下監督が「前君が来てくれたほうが、対策はしやすいね」と歓迎していた津田学園との大一番になった。足にスランプはない。東海地区屈指の好投手連破で、頂点に立つイメージはでき上がっている。 (志村拓)