4安打2失点の柳に敗戦の責任などないのだが、つい「タラレバ」を言いたくなる。「ああ、平良を抑えていれば…」。いや、せめて「平良が9番に入っていたら…」。筒香への1球は仕方ない。ただ、届かなかった1点は、走者が1人いたからだ。それが投手の平良。3回、無死から7球粘られ、ストレートを左前にはじき返された。
「今年打ててなかったんで、よかったです」。平良はこれが今季初安打だった。柳にとっても今季、投手に打たれた初めての安打だった。それこそ「たまにはそんなこともある」レベルの話なのだが、巡り合わせとは不思議なものだ。柳は投手には弱くないが、8番打者には弱い…。
「その話、どこかで聞いたことあるぞ」と思ったあなた、ありがとうございます。当コラムで3月に指摘した。昨季の柳は8番に何と4割2分1厘(19打数8安打)。打順別でワーストだった。同じく打たれまくった9番(3割5分3厘)は克服したが、9勝を挙げ、球宴にも選ばれた今季も「8番の壁」は柳の前に立ちはだかっている。
3割2分5厘6毛(43打数14安打)は、7番の3割2分6厘1毛(46打数15安打)とともに、柳が最も打たれている打順だ。1番から6番までは2割台だから、要するに昨季の「8・9番」が今季は「7・8番」に繰り上がったわけだ。誰もがつまずかない小さな穴に足を取られる。短所と言うには酷だけど、埋めるにこしたことはない。
「今年はピッチャーを抑えていたのはわかっていたんですが…。あのヒットからでしたね」
3月にも書いたが、下位だからと手を抜いているとは思っていない。かといって、いかなる打者にも全力で投げるのも間違いだ。7回のピンチ(2死一、二塁)では再び平良。11球を費やし、三振に打ち取った。求められるのは大胆と慎重の程よいバランスだ。なぜか崩せぬ不思議な壁…。