トップ > 中日スポーツ > 高校野球 > 記事一覧 > 記事

ここから本文

【高校野球】

心境複雑…投げずに敗退の大船渡・佐々木 「出たい」「仕方ない」

2019年7月26日 紙面から

甲子園出場を決め、歓喜する花巻東ナインを前にベンチで肩を落とす大船渡・佐々木(右)。左は国保監督=岩手県営野球場で(神代雅夫撮影)

写真

◇岩手大会<決勝> 花巻東12-2大船渡

 投げずに負けた-。第101回全国高校野球選手権大会の岩手大会は25日、決勝が行われ、今秋ドラフト会議の目玉、大船渡・佐々木朗希投手(3年)は「故障防止」で登板を回避。試合に出場することなく、花巻東に2-12で大敗した。最速163キロを誇る「令和の怪物」は甲子園の土を踏むことなく、最後の夏を終えた。

 「令和の怪物」が投げずに姿を消した。大船渡が11点を追う9回の攻撃前、佐々木はベンチ前の円陣で声を張り上げた。「まさか、あきらめているんじゃないだろうな。自分の球を見てるんだから打てる。逆転できる」。しかし、反撃は1点止まり。出番のないまま最後の夏を終えた。

 21日の盛岡四戦で194球、24日の一関工との準決勝で129球を投げた。ケアはしたものの筋肉の張りがあった。国保陽平監督(32)は「投げられる状態だったかもしれないが、私が判断した。故障を防ぐため」と説明。自身が米独立リーグでプレーしたとき、元メジャー選手が故障に泣いているのを見て以来、ケガ防止にはひときわ敏感。「練習試合とは違う。投げろといえば投げたかもしれないが、自分にはその決断はできなかった」

 佐々木は会見で、出場しなかったことを聞かれるとしばらく沈黙。複雑な思いを頭の中で整理してから答えた。「監督の判断なので、しょうがない。高校野球をやっている以上、試合には出たい。投げたい気持ちはあった」。中学時代の仲間と甲子園に行くために、花巻東からの誘いを断って大船渡への進学を決めただけに、グラウンドで一緒に戦いたかった。その思いを込めた。

 佐々木温存で一丸になった準々決勝とは微妙に空気が違った。これまではあった監督からのスタメンの相談が今回はなかったといい、ある主力選手は「(佐々木は)要所で出てくると思っていた。(監督には)相談してほしかったのもある」と胸中を明かした。

 後味の悪さも残ったが、佐々木は気丈に振る舞った。「チームメートは頑張ってくれた。誇らしく思います。大船渡を選んで悔いはありません」。進路については「今は考えていません」としたが、プロ志望表明までにやることがある。夏の甲子園後に発表の侍ジャパンU-18代表に選ばれる可能性は高く、世界舞台が待っている。 (小原栄二)

 

この記事を印刷する

閉じる
中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日スポーツ購読案内 東京中日スポーツ購読案内 中日スポーツ購読案内 東京中日スポーツ購読案内 中日新聞フォトサービス 東京中日スポーツ