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【社会】

「社会の関心薄れた」76% 相模原事件風化 憂える障害者家族

 相模原市の障害者施設殺傷事件から三年となるのを機に共同通信が全国の知的障害者の家族を対象に実施したアンケートで、回答した二百八十家族の約八割が「社会の関心が薄れている」と感じていることが分かった。事件後の国や行政の対応には六割が不十分と回答。障害者の差別解消の取り組みを求める意見が七割を超えた。「共生社会」がうたわれる中、事件の風化や、障害者への理解も進まない状況への懸念が家族の間に強い現状が浮き彫りになった。 

 知的障害者施設「津久井やまゆり園」の入所者十九人が殺害された事件は二十六日に発生から三年となる。アンケートは六月下旬から七月中旬に実施。知的障害者の親らでつくる「全国手をつなぐ育成会連合会」を通じ全都道府県の家族に質問書を約五百五十部配布し、二百八十家族から回答があった。

 この中で事件後の障害者を取り巻く環境の変化に関し、具体的な項目を挙げて複数回答で質問。「障害者団体などでは事件に関して話し合われているが、社会の関心は薄れてしまっている」を選んだ人が二百十三家族(76%)に上った。

 次いで「事件は風化し、結局何も変わらなかった」が31%。事件で起訴された植松聖(さとし)被告(29)に措置入院の経験があり「精神障害者への偏見が強まった」は24%、被告が施設の元職員だったことから「利用している施設・サービスや職員へ不安が生じた」は21%、「ネットなど匿名の世界で中傷が増えた」が16%だった。

 国は事件後、施設の防犯対策や措置入院患者の退院後の支援強化を打ち出した。これらの対策について「十分」「どちらかといえば十分」と答えたのは計14%、「どちらかといえば不十分」と「不十分」は計60%、「どちらとも言えない」が21%となっている。

<相模原障害者施設殺傷事件> 2016年7月26日未明、相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者19人が刃物で刺され死亡、職員2人を含む26人が重軽傷を負った。17年2月、殺人罪などで元職員植松聖被告が起訴された。捜査段階の精神鑑定で「自己愛性パーソナリティー障害」と診断され、弁護側請求による起訴後の鑑定でもパーソナリティー障害との結果が出た。

 

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