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2019-07-25

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・今年の梅雨はずいぶん長い。
 おかげで、夏というやつがどんなものだったのか、
 忘れてしまいそうになっている。

 空が青い、白い雲が見える。
 セミの声が聞こえる。
 どこかの家の塀に朝顔がからまって咲いている。
 プールに通うこどもたち。
 汗をふきながら歩くおとな。
 そこらへんまで思い出したとき、
 想像上のその景色に雨を降らせる。
 ざんざんざん、ざかざんざん。
 まだ夏は来ないのか。

 ビールのジョッキを自慢そうに飲み干す人。
 もうひとりの人も、もうひとりの人も。
 ここはビアガーデン。
 枝豆の殻がたくさん山盛り。
 もう一杯、もう一杯とビールが運ばれる。
 なにがおかしいのか、あちこちで笑い声。
 むうっと湿気を帯びた熱い空気。
 今夜も寝苦しいぞとか思う。
 唐揚げ頼んだのだれ? いっぱい来たぞ。
 想像上の、夏の景色に雨を降らせる。
 ざんざんざん、ざんざかざん。
 長いよ、この雨、止まないよ。

 夏は秋になったら来るのかな。
 夏休みは来ても、梅雨が終わらなかったりして、
 そんなの、ああ、恐ろしすぎるよ。
 夏をすっ飛ばして冬になるとかあるんじゃない。
 だめだめ、そんなのだめだよ。
 それでも、ざんざか雨が降る。
 梅雨は、永遠に終わらないのではないかい。
 夏みたいな日が顔をのぞかせて、すぐ消える。

 なんて冗談みたいなことを言っていて、
 ふと、思った、ぼくらは、なんやかんや言って、
 夏ってものを、ずいぶん好きなんじゃないかい。
 待っているのは、いまは夏の暑苦しさ。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
ビーチボーイズの曲を聴いています。夏よ、来週は来いよ。


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