最新作『スパイダーマン：ファー・フロム・ホーム』が公開中の『スパイダーマン』シリーズだが、かつて日本のスパイダーマンが存在していたことをご存じだろうか？ 放送開始40周年を迎えた東映版『スパイダーマン』に迫る！

最新作『スパイダーマン：ファー・フロム・ホーム』が大ヒット公開中のマーベル『スパイダーマン』シリーズ。
サム・ライミ監督、トビー・マグワイア主演で2002年から始まった『スパイダーマン』3部作、マーク・ウェブ監督、アンドリュー・ガーフィールド主演で2012年より始まった『アメイジング・スパイダーマン』2作品、そして現行のジョン・ワッツ監督、トム・ホランド主演のマーベル・シネマティック・ユニバース版『スパイダーマン』シリーズなど、これまで幾度となく実写化されてきたアメリカを代表するアメコミ・ヒーローであるが、実は、日本が製作した日本人が扮する『スパイダーマン』が存在するのをご存じだろうか？
今回は、そんな日本が生んだ『スパイダーマン』に注目してみよう。

https://www.imdb.com/title/tt0185116/mediaviewer/rm1295133440?ref_=tt_ov_i

もともと『スパイダーマン』は、マーベル・コミックスの重鎮スタン・リーとスティーブ・ディッコにより生み出され、1961年の『Amazing Fantasy #15』でデビューを飾り、その後、ニューヨークを守る親愛なる隣人として、アメリカを代表するスーパーヒーローとなっていった。
そんな『スパイダーマン』が、デビューから17年後に日本にやってくることになる。
マーベルと言えば、アメリカを代表するヒーロー・ブランドであるが、日本を代表するヒーロー・ブランドと言えば、間違いなく東映であろう。
『仮面ライダー』『スーパー戦隊』や『宇宙刑事』シリーズなどの人気シリーズを輩出してきた東映が、マーベル・コミックスと3年契約の業務提携を結び、1978年5月17日に放映が始まったのが、東映版『スパイダーマン』だ。

そのストーリーは・・・
山城宇宙考古学研究所の高名な科学者を父に持つ山城拓也は、スピードレーサーとして名を馳せる若者だった。
しかし彼は父を謎の異星人・モンスター教授によって殺害されてしまい、悲しみに暮れてしまう。
そんな中、今から400年前にモンスター教授を初めとした鉄十字軍に故郷のスパイダー星を滅ぼされ、地球まで彼らを追ってきたスパイダー星の王子・ガリアの声が耳元に響き、拓也は自らが超人・スパイダーマンとなる定めであることを悟る。
こうして、ガリアから蜘蛛の力を受け継いだ拓也は、蜘蛛の糸を操り、鉄十字軍の魔の手から地球を守る決意をするのであった・・・。

https://www.imdb.com/title/tt0185116/mediaviewer/rm1619009024?ref_=ttmi_mi_all_pos_4

おおまかなストーリーを聞くだけでも、オリジナルの『スパイダーマン』とは全く異なる作品であることは明らかだが、ほかにも本作ならではの要素が満載なのだ。
まずは、主人公スパイダーマンが、腕に装着したスパイダーブレスレット。
オリジナルでは装着していないアイテムだが、このブレスレットにはスパイダーマンの全能力が集約されており、体内のスパイダー液から生成される蜘蛛の糸スパイダーストリングやスパイダーネット、特殊な液体スパイダーエキスなどを噴射することができる。
このブレスレットはほかにも、スパイダーマンの移動手段であるスパイダーマシンGP-7や宇宙戦艦マーベラーを呼び出すこともできる。

そして、このマーベラーは鉄十字軍の怪人が巨大化した際にスパイダーマンが搭乗する巨大ロボット・レオパルドンへと変形するのだ。
巨大ロボットの登場には製作陣も難色を示したというが、日本独自の作品を作り出すという意味合いも込めて、登場したという経緯を持つ。
このレオパルドンは、拳を飛ばすアームロケット、額の飾りを飛ばすアークターン、右足に収納された剣・ソードビッカーなどを駆使して、怪人たちを撃破する。
アメリカのマーベル・ファンには大きな衝撃を与えたが、以後、日本を含め、世界中で当時の超合金フィギュアやおもちゃなどのグッズがプレミア価格で取引されている。

https://www.imdb.com/title/tt0185116/mediaviewer/rm1920998912?ref_=ttmi_mi_all_sf_1

東映版『スパイダーマン』は、当時としては画期的だったスタントアクションの数々が用いられ、日本のちびっ子たちを虜にし、1979年3月14日まで、およそ1年間放映された。
東映とマーベルの関係は、同年放映開始の『バトルフィーバーJ』でも続き、劇中に登場する女性ヒーロー・ミスアメリカはマーベル原作のキャラクターである。

https://www.imdb.com/title/tt4633694/mediaviewer/rm2578149376?ref_=ttmi_mi_all_pos_22

その後、東映版『スパイダーマン』は歴史の闇に葬られていたのだが、2014年から2015年にかけてマーベル・コミックスで展開された『スパイダーバース』に、山城拓也扮するスパイダーマンとレオパルドンが次元を超えて登場し、大きな話題となった。
残念ながら2018年に同作がアニメーション映画化された際には、登場しなかったものの、製作陣いわく、「続編が製作されたらぜひとも登場させたい」と語っていることから、今後の展開に要注目である。
放送終了から40年が経過した現在、一度DVD化されているものの、絶版状態となっており、本編を楽しみたいファンが急増中！
いつの日か、もう一度、東映版『スパイダーマン』にお目にかかりたいものだ。

スパイダーマン：ファー・フロム・ホーム

原題 :SPIDER-MAN: FAR FROM HOME
2019年6月28日より全国にて公開
2019年/アメリカ/
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