第74話
- 根来(浅井)しの・・・清野菜名
- 根来公平・・・風間俊介
- 根来公一・・・佐藤祐基
- 根来三平・・・風間晋之介
- 根来信子・・・井上希美
- 根来幸子・・・木下愛華
- 西条五介・・・小久保寿人
- 貫井司郎・・・谷 遼
- 中村 修・・・塩見大貴
- 荒木・・・須森隆文
- 荒木りん・・・豊島 花
- 貫井司郎・・・谷 遼
- 根来鉄兵・・・平山浩行
公一悔いる
公一と鉄兵に責められ、荒木は根来家を去っていった。
鉄兵は、荒木が高圧的な態度をとるようになり人が変わってしまったと嘆いた。
それを聞いた公一は、時代のせいであり、子沢山で家族を守るために必死なのだろうと一定の理解を示した。
そして荒木を責めたとき、娘のおりんを人買いに売り渡したことに触れたのは余計だったと後悔した。
また、満州の牡丹江という街の女郎屋でおりんを見たという話が小野ヶ沢まで伝わってきたが、そのことは荒木の耳には入らないようにみな気を使っていた。
そこに納屋に隠れていたしのがやって来て、自分の行いを皆に謝罪した。
公一は、しのが宴席に出席したのは肥田の屋敷に住み込みで働かせてもらうためだったと聞き、どうして根来家を出ようとしているのか問いただした。
そして、「なぜこの家を出たるがるんじゃ?この家に何か居づらいことでもあるか?この家の何かが気に食わんか?」と公一が言うと、しのは「違います。この家のみんなには良くしてもらっているし、私いつだって感謝してます。ただ、あくまで私のわがままで・・・ごめんなさい、私うまく説明できません」と返し額を床につけた。
すると公一は、「水臭い返事じゃのう!わしら今まで誰ひとりとしてお前を他人だなんて思ったことはないぞ。本当の兄弟だとそう思っとったぞ。それをどうして他人行儀に急にそんな言い方するんじゃ。わしは心外じゃ。情けない!」と言った。
いたたまれなくなった三平は2階の部屋に駆け上っていった。
しのも「ごめんないさい」と言って出ていった。
しのを追いかけようとした信子を公平は呼び止めた。
鉄兵は、「みんな頭を冷やすことじゃ」と言い、フミコが辺りをうろついているので夜は出歩かないほうがいいと忠告して帰って行った。
公平と信子は涙を流していた。
徴兵検査迫る
それからしばらく何事もなく日々が過ぎていった。
そして、新聞やラジオでは毎日のように日本軍の連戦連勝が報道され、日本中が沸き立っていた。
三平達いつもの4人が沼のほとりに集まり話をしていた。
三平以外の3人には徴兵検査の通知が届いたことを聞いた三平が、間もなく自分のところにも届くだろうと覚悟を決めた。
そして最近、桑畑の跡地や休耕地にぶどうを植える通達が国から来ていることが話題なるも、その理由が分からず皆首をかしげた。
荒木だって必死
夕方、公平は薪拾いの帰りに鎮守の森で荒木と出会った。
この頃荒木は、郵便配達夫が招集されてしまったので、その代わりに自転車で配達業務をしていた。
そしてしのの一件があってから、荒木は根来家の人と顔をあわせないように配達する時間をずらしていた。
公平に気づいた荒木は自転車を止め、「三平のとこに手紙だ。あいつにもいよいよ・・・」と言って1通の封筒を公平に渡した。
封筒を受け取った公平は中にあった紙を見た。
それは、徴兵検査の呼び出し状だった。
すると、近くで大きな音がしたので公平が様子を見に行くと、荒木が地面にうずくまり脚をさすっていた。
荒木の傍らには、倒れた自転車と脱げた荒木の靴が落ちていた。
公平はその靴を拾い上げ「だいじょう・・」と言い掛けたとき、穴だらけの靴下とハゲ散らかった荒木の頭部が目に入ってきた。
公平は、「大丈夫ですか?」と声を掛け靴を渡した。
荒木は靴を受け取ると、「ありがとう」と礼を言い去っていった。
公平、三平よりも荒木に同情
家に着いた公平は封筒を三平に渡した。
呼出状を見た三平は、何も言わず外へ出ていった。
公平はその時三平のことより、鎮守の森で見た荒木の穴だらけの靴下とハゲ散らかった頭部を思い出していた。
※満州の女郎屋で「七つの子(♪からすなぜ鳴くの~)」を唄うおりんの姿がフェードイン。
「荒木さんに初めて同情が湧いた」と公平が心の中でつぶやいたところで、第74話終了。
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