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【社会】

牛久入管 100人ハンスト 5月以降拡大、長期拘束に抗議

 オーバーステイなどで退去強制令が出された外国人らを収容する東日本入国管理センター(茨城県牛久市)で、長期拘束に抗議して、約百人の収容者がハンガーストライキをしていることが、収容者の支援団体への取材で分かった。体調を崩して仮放免された二人が二週間後に再び収容されたため、収容者が猛反発し、過去最大規模になっている。 (宮本隆康)

 支援団体「牛久入管収容所問題を考える会」によると、ハンストは五月にイラン人男性が始め、他の収容者が続いた。体調を崩す人が相次ぎ、イラン人男性四人が今月九日、仮放免された。うち二人が二十二日、仮放免の延長手続きで東京都内の入管施設を訪れ、そのまま再収容された。

 再収容された男性(51)は面会での取材に「まだ目まいも残るのに信じられない。驚いた。だまされた、と他のみんなも怒っている」と話した。別の収容者は「怒ってハンストをする人が増えた。もっとひどくなる」と話している。

 会の田中喜美子代表は二十四日に会見し「これほどの人数の長期間ハンストは初めて。ハンストが増えたため、見せしめに再収容したのだろう」と指摘。会は同日、出入国在留管理庁とセンターに長期収容者の釈放を申し入れた。

 センターは約三百二十人を収容している。渉外担当者は取材に「体調不良での仮放免はあるが、回復し、理由が払しょくされれば、再収容するのが基本。ハンストをすれば仮放免になるというのなら、収容制度が壊れる。ハンストは無駄と理解させなければいけない」と回答した。

 政府は、外国人受け入れ策を拡大する一方、非正規滞在者への対応を厳格化し、入管施設での長期収容者が増加。ハンストやトラブルが頻発し、六月には別の施設でナイジェリア人男性がハンスト後、拒食症とみられる症状で死亡した。国連拷問禁止委員会は二〇〇七年、入管施設での無期限の身柄拘束を「国際的人権保障の感覚からすると非常識」と批判し、上限の設定を勧告している。

<非正規滞在外国人の収容> 滞在期限を過ぎたオーバーステイや、就労ビザを持たない労働などで、退去強制令書を出された外国人は、入管の収容施設に拘束される。難民申請中に収容される人も多い。体調、家族の状況、逃亡の可能性などを考慮し、一般社会での生活を認める「仮放免」の制度もある。

 

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