先日亡くなった高倉健さんが体現していた、様式美あふれるヤクザ像に終止符を打ったのが、濃厚な広島弁を駆使した菅原文太さんの実録ヤクザだった。

 1960年代後半、「昭和残俠伝」シリーズで、極めて高い義俠(ぎきょう)心と自制心を持った高倉さんのヤクザが一世を風靡(ふうび)していた。その人気が下降し始めた73年、入れ替わるように菅原さん主演の「仁義なき戦い」シリーズが登場した。原作の飯干晃一さんや脚本の笠原和夫さんが広島に実在したヤクザに徹底取材し、生き残りのためには平気で仲間を裏切るヤクザの群像抗争劇を作り上げた。

 菅原さんは、仁義を重んじようとしながらもヤクザ同士の合従連衡に巻き込まれていく広能昌三という中堅幹部を、ギラギラした男の殺気をみなぎらせて演じた。高倉さんの「静」とは対照的な「動」の魅力がそこには全開していた。深作欣二監督のスピード感あふれる演出とあいまって、全く新しいタイプのヤクザ像を生み、東映の実録ヤクザ路線をブームに乗せた。

 70年代後半には、その男臭さ…

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