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異世界転移で女神様から祝福を! ~いえ、手持ちの異能があるので結構です~ 作者:コーダ

第1章 エルディア王国編

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第4話 ゴブリン将軍と異能強化

スキルはある程度書きますが、ステータスは書きません。変動が多すぎて記録を取れそうにあれません。

 ゴブリン・ジェネラルとの戦闘を避けるため、ゴブリン・ジェネラルが率いる10匹ほどのゴブリンの群れをマップで確認し、大きく迂回するように移動している。

 道中で遭遇したゴブリンやゴブリン・ソードマンを倒しつつ、目的であるゴブリン・ソーサラーの位置を目指す。

手にはソードマンから奪った片手剣がある。大していいものではないが、素手よりはマシだろう。地味に<剣術>よりも<棒術>の方がスキルレベルが高いのだが、棍棒を持って戦うのも嫌だし、剣の方が強いし、何よりファンタジーといえば剣だから、剣を使うことにしている。

 マップ上で確認したら、この森にゴブリン・ソーサラーは3匹いるようで、その全員が単独行動している。魔術師系のゴブリンは他にゴブリン・シャーマンとゴブリン・ヒーラーがいるが、シャーマンも単独行動しているようだ。直接戦闘力のある、魔術師系ゴブリンは単独行動を好むのかもしれない。あるいは、ハグレ者のボッチが頑張って魔法を使えるようになったのだろうか。そう考えると切ない。


「魔法には基本的に詠唱が必要だ。詠唱って呼ばれているが、実際には声は出ないし、発動待ち時間っていう方が正解なのかもしれないけど…」


 歩きながら魔法についての説明を行う。


「発動待ち時間ですか。それは外から見てわかることなんですか?」

「詠唱状態では、呪文の属性を象徴する色の魔法陣が出現する。呪文によって決まった時間が経ってから魔法名を宣言すると魔法が発動するというわけだ」


 当然、全てヘルプ先生の受け売りだが、自信満々に説明する。ヘルプは俺の能力だから、俺が知っているのと同じだよね。


「ゲームとかだと、詠唱時間を減らしたり、なくしたりできるものもありますけど、この世界ではどうですか?」

「ああ、あるよ。スキルで<詠唱省略>や<無詠唱>があるみたいだね。他にも魔法系の補助スキルとして、<連続魔法>とかもあるらしいよ」

「さすがにそんな珍しそうなの、ゴブリンは持っていませんよね?」


 念のため、今近づいている個体のステータスを確認する。


ゴブリン・ソーサラー

LV7

<火魔法LV1><氷魔法LV1>

「ゴブリン魔術師の杖」

備考:マントをつけたゴブリンの魔術師。


ゴブリン魔術師の杖

分類:片手杖

レア度:一般級

備考:魔力がほんの少し上がる


「確認してみたけどそんなの持ってないみたいだね。それよりもコイツ、火魔法と氷魔法の2つが使えるみたい」

「ゴブリンなのにですか?それは少しびっくりしますね」


 さくらも驚いた表情を見せた。俺もゴブリンが魔法を使う姿が想像しにくいのに、その上複数種類の魔法を使えるとは思わなかった。


「まあ、詠唱中に奪い切れば魔法も発動しないだろうから大丈夫だよ」

「そういえば今回はどのような作戦で戦うのですか?私にもできることはありますか?」


 さくらがやる気を見せているが、今回の戦闘では残念ながら出番はない。


「一応作戦があるんだが、すまん。さくらの出番ない」

「そうですか。少し残念です。それで、どんな作戦なんです?」


 素直に伝えたら、さくらも無理にとは言わなかった。


「ゴブリン・ソーサラーは単騎だろ?1対1で詠唱が終わる前に体当たりで詠唱を止める。その間にスキルを奪う。奪いきったら倒すという流れにするつもり。さくらは悪いけど、他の敵が寄ってきたときの対処をお願い」


 マップで敵の位置は分かるが、寄ってこられたら引き離すのが面倒だ。申し訳ないがその際のフォローをお願いした。


「まだ、魔物を殺せるかわからないから、時間稼ぎでもいいですか?」

「ああ、無理はしなくていいからな。魔法は欲しいが、さくらに無理をさせてまで得るものではないからな」

「はい!」


 さくらが嬉しそうに返事をするので言いそびれたが、ソーサラー周辺には魔物がほとんどいない。魔法を使えば音で寄ってくるかもしれないが、魔法を使わせる気がない以上、それほどの心配はいらないだろう。

 1番近くのゴブリン・ソーサラーに接近した。茂みの中に隠れて、戦闘前のブリーフィングを始めることにした。


「<詠唱省略>や<無詠唱>とかのスキルがなければ、魔法の発動にはほぼ一定の時間がかかる。あのゴブリン・ソーサラーはファイアボールとアイスボールの2つの魔法が使える。それぞれ詠唱は5秒。だから走って近づき、殺さないように体当たりで詠唱を防ぐ。詠唱を開始したら5秒以内で体当たりを繰り返す。その隙にスキル<火魔法>と<氷魔法>を奪う」

「私はその間、他の敵が来ないように見張っていればいいんですよね」

「ああ、今回は魔法優先だから混戦になったら、他のゴブリンはスキルとかを奪わずに倒すつもりだ」


 軽くそれだけ伝えると、一旦さくらには離れていてもらう。万が一魔法を使われてしまったとき、同じ射線上にいると危険かもしれないからだ。

 少し離れたさくらに合図を送る。5、4、3、2、1、突撃!

 草むらから飛び出し、ゴブリン・ソーサラーに向けて走り出す。俺が急に出てきたことで、驚くソーサラー。気を取り直して詠唱を開始するが近接戦闘の戦士相手にその隙は大きすぎた。


「遅い」


-ドンッ-


 俺の体当たりが決まり、ゴブリン・ソーサラーがふらつく。当然詠唱は中断されてしまう。ここで俺もスキル強奪を開始し、最優先で魔法を奪っていく。<火魔法>のポイントがどんどん減っていくのが、ソーサラーのステータスを見るとわかる。その分が俺の方に流れてきて、俺はこの世界で念願の魔法を取得した。

 馬鹿の1つ覚えなのか、再び<火魔法>を詠唱するソーサラーだが、今度は体当たりなどしない。なぜなら詠唱が終了するよりも<火魔法>のポイントが0になる方が先だからだ。

 あと2秒で魔法が発動するというところで、ゴブリン・ソーサラーの詠唱により生じていた魔法陣が消える。


「ギャウ?」


 ゴブリン・ソーサラーも何が起こったかわからないようだ。その隙に<氷魔法>の強奪も開始する。よくわからないなりにゴブリンも<氷魔法>の詠唱を開始した。ちっ、奪い切る前に魔法が発動するな…。そう思うと俺はゴブリンに近づき再び体当たりを喰らわせて詠唱を止める。よし、<氷魔法>も奪い切った。

 魔法が使えないソーサラーになす術はなく、貴重な魔力ステータスともども俺の糧となった。


「グギャッ」


 すべてのステータスを奪ったところに剣でとどめを刺す。

 結局1発も魔法を使わせることなく倒せた。魔法が発動したらその音で他のゴブリンを引き寄せることになり、さくらの出番があったかもしれないが…。

 魔石を回収しているとさくらが戻ってきた。


「お疲れ様です。問題なかったみたいですね」

「ああ、作戦が上手くいってよかったよ。これで念願の魔法を手に入れたぞ」


 <火魔法>と<氷魔法>を確認する。


<火魔法LV1>

ファイアボール、ファイアバレット、ファイアウォール


<氷魔法LV1>

アイスボール、アイスバレット、アイスウォール


 あれ?ゴブリン・ソーサラーより使える魔法が多い。まあ、多くて困ることはないから、考察は後回しにしよう。


「はぐれソーサラーがあと2匹いるから、そいつら倒して一旦村へ戻ろう。魔石を売れば金になるだろうから、ジェネラルとヒーラーを倒す準備しよう」

「わかりました。作戦は今と同じでいいですか?」

「ああ」


 ゴブリン・ジェネラルからは離れる方向に行くので、マップを軽く確認しつつ残る2匹の下へ向かう。

 結局、同じ作戦で全員倒すことが出来た。最初の1匹と同じように、残る2匹も何も考えずに詠唱を繰り返すだけだったので、手こずることは全くなかった。

 もちろん、全ての魔法を奪ったが、驚くことに習得していた魔法スキルの種類が見事にばらばらだったのだ。


1匹目

<火魔法><氷魔法>

2匹目

<水魔法><雷魔法>

3匹目

<風魔法><土魔法>


 スキルポイントが1ポイントでもあればいい俺からしてみれば、おいしい結果だったといえるだろう。ヘルプ先生によると、基本属性は後<光魔法>と<闇魔法>があるらしい。ちなみに、ゴブリン・シャーマンが闇魔法を持っているので、後で必ず奪うつもりだ。


「さくら、ちょっと離れていてくれるかな」

「はい、何をするんですか?」

「魔法を使ってみるんだ。1度も使わせてないからどんな感じか気になるんだよ」

「そうですね。異世界にきて初めての魔法ですからね。気になります」


 ジェネラルから十分離れたのを確認し、さくらと少し距離をとってから詠唱を開始する。きっかり5秒後に<火魔法>ファイアボールが発動した。

 ファイアボールは真っ直ぐ飛んでいき、俺が狙いを定めていた木に直撃する。


-ぼんっ!-


 ファイアボールが直撃した木が激しく燃えている。うん、何の考えもなしに森でファイアボールを撃つもんじゃないね。俺は再度詠唱し、アクアボールをぶつける。火は治まったが、木は酷く焼け焦げていた。

 この威力が適当なのか過剰なのか判断がつかないので、ヘルプ先生に聞く。


Q:魔法の威力はこれで正常?

A:正常です。魔法の威力は魔力量で決まります。戦士職ばかりとはいえ、魔物何体からも魔力を奪っていれば、威力も上がっていきます。ゴブリンが撃った場合、ここまでの威力にはなりません。ゴブリンは種族特性で、魔法の威力や使える種類に制限がかかります。


 へー、つまりゴブリンって魔法苦手な種族なんだ。それでファイアボールしか使えなかったのか。


「すごい威力ですね。ゴブリンが撃っていたら大変なことになっていたのではないでしょうか…」

「いや、これは俺だからみたいだよ。奪ったステータスで魔力が上がっていたからね。ついでに言うと、ゴブリンは種族的に魔法が苦手で、ボール系しか使えないみたいだけど、奪った俺は他の系統の魔法も使えるみたいだよ」

「そうなんですか。やっぱり仁君はすごいですね」


 相変わらず尊敬の目を向けてくるさくら。と、そんなことよりもだ。


「とりあえず、この場を離れよう。大きな音でゴブリンが寄ってくるかもしれない」

「あ、そうですね。行きましょう」


 少し急いで、その場を離れる。マップを見るとジェネラルの群れがこちらに近づいているようだった。そのまま森を出て、村に戻ることにした。帰り道は数回ゴブリンと戦闘をするだけで済んだ。贅沢は言わないが、そろそろゴブリン以外の魔物と戦いたい。とはいえ、マップで探して追い回すほどでもないので機会があればということにしよう。


 村に戻り道具屋へ向かった。慌てる必要はないと思うが、早いうちにゴブリン・ジェネラルと戦いたいので、買い物が終わり次第もう1度森に向かう予定だ。


 道具屋の店番は朝とは違うようで、魔女っぽい格好をした老婆だった。雑貨屋ベースの道具屋だが。この老婆のせいで、怪しい薬品を扱う道具屋のように見えてしまう。


「すいません。魔石を売りたいんですけど」

「はいよ、どの魔石だい?」


 俺は老婆にゴブリン・ソーサラーの魔石を1つ手渡す。


「ふむ、ゴブリンの上位種でも倒したのかい?この魔石は一個3000ゴールドで買い取れるよ」

「じゃあ3個売ります。他にもゴブリンの魔石の買取りをお願いします」


 すべての魔石を老婆に渡すと、老婆は軽く驚いたようだった。


「こいつはすごい。おまえさん方なかなか腕利きみたいだね。それにゴブリンの魔石ばかりということは、お前さんたちゴブリンの森にでも行ったのかい?」


 やっぱりゴブリンの森でした。正式名称でも問題ないよね。あと、腕利きとか言われたが、まともな戦闘は昨日が初めてです。あと、さくらは攻撃していませんから、腕利きも何もありません。


「ええ、森でしばらく戦っていましたよ」

「あの森にはゴブリン・ジェネラルって呼ばれている、かなり強い魔物がいるらしいからね。気を付けるんだよ」


 今から倒しに行くとは言えない…。


「よし、全部で3万7000ゴールドだね。待ちな、奥から大銀貨引っ張ってくるから」

「使いやすいように細かい硬貨多めでもらえますか」

「あいよ」

「ありがとうございます」


 午前だけで思っていたよりも稼げたな。そのまま道具屋で買い物を済ませる。物を入れるための背嚢を買った。それに加えて、念のためということでポーションを買うことにした。ファンタジーお約束のポーションだ。飲んでよし、傷口にかけてよしのタイプで、1本2000ゴールドした。少し高い。次の戦いで、<回復魔法>さえ手に入れば要らなくなるかもしれないけど。

 マップで見た通り、武器・防具はほぼ売っておらず、軽めの胸当てと、念のために籠手を買った。多少はましになったと思う。


 宿に戻り昼食をとり一休みすると、再びゴブリンの森へ向かった。


「いよいよ、ゴブリン・ジェネラルと戦うんですね」

「ああ、ステータスを確認したらだいぶ余裕ができたからな」


 さくらにもステータスとスキルを与えて強化している。今回は<身体強化>に加え魔法を少しずつ与えた。ゴブリン・ソーサラーの杖によって魔力を少し上げ、武器としても使えるように<棒術>スキルを与えることにした。


 森に入りマップを確認すると、ゴブリン・ジェネラルの群れが、移動していた。やはり俺が魔法を使ったあたりだ。ジェネラルの群れは相変わらずヒーラー以外の魔法系はいない10匹くらいの集団だ。シャーマンは森の奥の方でぽつんと動かない。…やっぱりボッチなのだろうか。


「次の作戦を説明するぞ」

「はい」


 今度はさくらにも動いてもらう予定だ。


「まず、最初に魔法で奇襲をする。ジェネラルやヒーラーには当てないよう注意して、できれば数を減らす。混乱している内にヒーラーに接近し、<回復魔法>を奪い、倒す。周囲の雑魚を蹴散らしつつ、ジェネラルからスキルとステータスを奪い、倒す。ジェネラルとヒーラー以外のスキル、ジェネラル以外のステータスはあきらめる方針だ。さくらは魔法発動後、俺から遠い位置にいる敵に魔法を撃ってくれ」

「敵が私の方に来たらどうしましょうか」


 さくらには森に来る前に棒術と魔法の練習をしてもらった。まだぎこちなさはあるものの、ジェネラル以外のゴブリンに殺されるほど弱くはない。


「その場合は分断できたと考えよう。3~4匹ならさくらでも十分相手ができるだろう。倒せるなら倒してもいいが、基本的には回避優先の時間稼ぎ。ウォール系の魔法で身を守るのもありだ」


Q:ウォール系の魔法ってどういう効果?

A:指定位置から各属性の壁を出現させます。位置は半径2mで指定可能。効果範囲は魔力量で変動し、調整可能です。


「わかりました。5匹以上来たらどうしますか?」

「その場合は俺がそっちに向かって数を減らすから、数が減ったら数匹連れて離れてくれ」

「はい」


 さくらへの指示を終えた俺はマップの位置を確認しつつ、ジェネラルの周囲で準備する。よく見るとジェネラルの持っている剣、ソードマンのよりはるかにいいものだな。


ゴブリン×8

ゴブリン・ソードマン×2


ゴブリン・ナイト

<身体強化LV1><槍術LV1><盾術LV1>

「ゴブリン騎士の槍」「ゴブリン騎士の盾」

備考:鎧を着たゴブリンの騎士。


ゴブリン騎士の槍

分類:槍

レア度:一般級


ゴブリン騎士の盾

分類:盾

レア度:一般級


ゴブリン・ヒーラー

LV5

<回復魔法LV2>

「ゴブリン魔術師の杖」

備考:白いマントを着たゴブリンの僧侶。


ゴブリン・ジェネラル

LV8

<身体強化LV3><剣術LV3><統率LV2><鼓舞LV2>

「ゴブリン将軍の剣」

備考:ゴブリンの指揮個体。


ゴブリン将軍の剣

分類:片手剣

レア度:希少級

備考:ノックバック効果


 レア度はそれほど高くないが、特殊な効果が付いている。ノックバック、相手が怯んだり、仰け反ったりし易くなるのだろう。結局俺の剣はソードマンのモノのままだ。これを機会に上の武器に乗り換えたい。回収は忘れないようにしよう。

 さくらに合図を出して2人で詠唱を開始、ジェネラルとヒーラーから離れた位置にいるゴブリンめがけて魔法を発動する。


「「ファイアボール」」


 2人とも狙いは正確に離れた魔物に直撃して吹っ飛ぶ。俺の魔法は頭に直撃して倒したが、さくらの方は腕に当たっただけなので、死んではいない。やはりまだ殺すのは無理か。

 ゴブリンたちが驚いている内に剣を構え、ヒーラーに向けて突進する。ジェネラルがこちらを睨み付ける。


「グルルルル、ギャオオオオオオ」


 叫ぶジェネラル。<統率>と<鼓舞>が発動し、徐々にゴブリンが落ち着きを取り戻す。だが遅い。俺はもう、ヒーラーから2mの位置に来て、スキル強奪を開始している。<回復魔法>が徐々に俺の方に移ってくる。

 ジェネラルが剣を振るう。俺はそれを回避しつつ、ヒーラーに近づきスキルを奪い続ける。ヒーラーを守ろうとジェネラルが動いているが、俺はスキル強奪の有効範囲である2mを行ったり来たりするだけなので、ずいぶんと楽だ。ジェネラルとヒーラーへの攻撃は考えなくていいので、位置取りさえ気を付けていれば攻撃など喰らわないだろう。

 ちょっと効率は悪いけど確実に<回復魔法>を奪っていった。

 ジェネラルが剣を振ってきた。バックステップで回避しつつ、近くにいたゴブリンを切り飛ばす。ジェネラルとヒーラー以外ならいくら倒しても問題ないからな。隙を見て数を減らしていった。

 さくらのほうには素ゴブリンが2匹向かっただけで、他のゴブリンはソードマン2匹を含め、すべて俺の方に来ている。合計10匹が俺の方に集中していたが、少しずつ減らして今の雑魚ゴブリンは5匹だ。


「うらあ!」


 近くに1匹を切り付けるが、ジェネラルとヒーラーが近くにいたため、当らないように気を付けているので力が乗らない。しかも鎧装備のゴブリン・ナイトなので防御が固く、一撃では倒せなかった。そうなるとヒーラーが回復してくるのでうっとうしいことこの上ない。

 仕方ないのでジェネラルにも少しずつ攻撃を仕掛けて削ることにした。これで動きが悪くなってくれれば御の字だ。ゴブリン・ジェネラルが少しよろめいたのでその隙をついてヒーラーに接近、ついに<回復魔法>を全て奪い切った。


「喰らえ、ヒーラー!」


 ステータスは諦めるのでヒーラーにとどめを刺すべく、斬撃を放った。少し余裕があったから、ほぼ全力の一撃だ。ヒーラーの紙装甲にはオーバーキルだろう。

 と、そこへ…。


「ギャギャアアアアアアア」


 ジェネラルがヒーラーの前に立ちはだかった。庇ったのか?ここで一撃もらったとしても、ヒーラーさえいればリカバリー可能だと判断したのだろう。もう攻撃は止められない。ゴブリン・ジェネラルに当たった一撃は、俺にしか見えないステータス上でジェネラルのHPを0にした。倒れるジェネラル。スキル欄には<統率>と<鼓舞>が残っているが、俺は死体からはスキルを奪えない。


「えーーー!嘘だろーーー!ジェネラル死んじゃったーーー!」


 いくつかの偶然が重なったのだろう。ジェネラルは俺が手加減していたのを知らずに、耐え切れると思ってヒーラーを庇ったのだろう。死にさえしなければヒールで回復できるのだから(まあ、<回復魔法>はすでにないのだが)。そして、事前に削りダメージを入れたのもよくなかった。ステータス差から考えて、HPが満タンなら耐えられた可能性は十分にあった。


 結果、ジェネラルからはスキルもステータスも奪えなかった。


>仁はレベルが上がった


 あ、レベル上がった。


「どうしたんですか?仁君?」


 さくらが少し離れたところで、ゴブリンの攻撃を回避をしながら質問してくる。


「間違って奪う前にジェネラル殺しちゃった」

「それは…、それでは残りはどうしますか?奪っておきますか?」


 ジェネラルがやられて恐慌状態に陥るゴブたち。<統率>や<鼓舞>は使用者が倒れると、対象にバッドステータスを与えるらしい。


「いーやもう。今回は殲滅する」


 イラついたので八つ当たりとして残りのゴブを何も奪わずに殲滅し、経験値に替える。

 あまり時間がたたずに全滅したゴブたち。しかし俺の気は晴れない。


「はあ、もったいない」

「大丈夫ですよ。きっとまた手に入れる機会がありますよ」


 そうなんだけどね。作戦が悪かったのかとか、判断ミスったのかとかいろいろ考えちゃってね…


>生殺与奪がLV2になりました。

>新たな能力が解放されました。

生殺与奪ギブアンドテイクLV2>

所有者が殺した相手に限り、死体からでもステータスとスキルを奪うことができる。死体に与えることは不可能。魔石を取り出している場合も不可能。


「ジャストミーーート!」


 思わず叫んでしまった。タイミングが良すぎる。なんでこのタイミングで使えるようになったんだろう。あ、レベルが5になっている。異能の解放条件にレベルがあるのかもしれないな。


「どしたんですか?急に大声あげて」

「<生殺与奪ギブアンドテイク>の異能がレベルアップして、死体からでも能力を奪えるようになった」

「おめでとうございます!これで強奪とレベリングが両立できますね。後、倒せる実力差があれば、時間の短縮にもつながりますね」

「そうだね、これで色々と楽になるね」


 そっか、今までの苦労の一部が軽減されるのか…。なんにせよ、ジェネラルの力を奪える。

 ジェネラルの死体に近づき、強奪を発動。無事、能力を奪い切れた。ついでに辺りのゴブからも強奪する。死体から奪う場合、一気にすべてのスキルとステータスを奪えるようだ。抵抗とかがなくなるからかな。

 もちろん魔石も回収しよう。お、ジェネラルの魔石がかなり高値で売れそうだ。この魔石を全部売れば、この村を出る準備くらいはできそうだ。

これでこの森ですべきことはあと1つだ…。

 ボッチシャーマンの位置をマップで確認して近づく。


ゴブリン・シャーマン

LV5

<闇魔法LV1><呪術LV1><憑依術LV1>

「ゴブリン魔術師の杖」


 今まで見たことのない面白そうなスキルをいくつも持っている。対魔術師の体当たり戦法など使わず、一気に接近する。<身体強化>がLV7まで上がっており、今までにない素早い動きが可能となった。スキルを奪うまで待つ必要もなく新しい剣を振るい、真っ二つにする。

 死体からスキル<闇魔法><呪術><憑依術>を奪い、村に帰ることにした。


*************************************************************


進堂仁

LV6

スキル:<剣術LV4 up><槍術LV3><棒術LV5 up><盾術LV1 new><火魔法LV1 new><水魔法LV1 new><風魔法LV1 new><土魔法LV1 new><雷魔法LV1 new><氷魔法LV1 new><闇魔法LV1 new><回復魔法LV2 new><呪術LV1 new><憑依術LV1 new><統率LV2 new><鼓舞LV2 new><身体強化LV7 up>

異能:<生殺与奪ギブアンドテイクLV2 up><千里眼システムウィンドウLV-><???><???><???><???><???>

装備:ゴブリン将軍の剣


木ノ下さくら

LV4

スキル:<棒術LV4 new><火魔法LV1 new><水魔法LV1 new><風魔法LV1 new><土魔法LV1 new><雷魔法LV1 new><氷魔法LV1 new><闇魔法LV1 new><回復魔法LV1 new><身体強化LV5 up>

異能:<???>

装備:ゴブリン魔術師の杖


20150911改稿:

修正(6)の内容を反映。

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