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けものフレンズ2、最終話は予想を光速でぶっちする、ぶっ飛んだ「憎悪アニメ」に

けものフレンズ2、もうエントリにはしないつもりだったんだが、最終話があまりにもアレだったので、多少書くわ。最終回の展開は以前予想してみたが、それを光速でぶっちぎる内容だったので。

創作物として低レベルの内容で、なおかつ悪意がすごく感じられるという、信じられない出来だった。終わってまず頭に浮かんだのは、「このシリーズプロットを作った方は、前作けものフレンズ(一期)の世界を、徹底的に陵辱したかったんだな」という、確信に近い疑念だ。

そんなことあるはずがないと思うじゃん。なにせ一期は奇跡の大ヒットでファンも多い。彼らの需要に従う続編を作って、ファンから最大限利益を引き出そうとするのが、製作者の本能であるはずだ。もちろんそっちのが儲かるし。

ところがプロット作者が用意したのは、次のようなラストシーンだ。

・前作主人公かばんちゃんは、かつての旅の仲間サーバルに完膚なきまでに振られて泣く(サーバルは記憶喪失でかばんちゃんとの思い出がない)。サーバルはうきうきで、今作主人公キュルルとの甘い生活に走ってゆく。その際、前作主題歌をバックに流す。

・キュルルはかばんちゃんよりずっと前にサーバルに出会っており、そこで仲良しだったとわかる。つまりかばんちゃんこそ「いらない子。割り込んできた浮気相手」と言わんがばかり。

――どうよこれ。徹底したntr脚本。見事とすら言える。

バックに前作主題歌流して「一期ざまあ」とばかり煽ったり、かばんちゃんの主人公としての正当性を貶めたりとか、正気かw

この「前作の主人公やファン、制作陣を嘲る脚本」説、実は以前から出ていた。さすがにそれはないだろうと思っていたが、この最終回の展開からすると、当たっていたのでは。いや違っており、単に構成者の能力が足りないせいなのかもしれないが、少なくとも、そう取られても仕方のない作りになっている。意図はどうであれ、それは致命的な欠点だ。

そもそも主人公の名前からして奇妙だ。前作では、「人類の特徴である大脳(知恵の元)肥大」を象徴するのが、主人公の背負う大きなかばんだ。いろいろなものを入れて必要に応じて出して使う。つまり知識の活用を象徴しているわけさ。

だからこそ、かばんちゃんという、人類を表すネーミングになっている。

ところが今作では主人公の名前はキュルルだ。由来については象徴的意味合いどころか、「腹がキュルルと鳴ったから」という謎設定。誰しも思い浮かべるのは、キャラのイラストを起こした「総監督」吉崎観音先生の代表作「ケロロ軍曹」との類似だ。「そうしたかったから」後づけで腹の鳴る音にしたんだろうと、誰でもわかる。

かばんちゃんは唯一、前作のたつき監督が描き起こしたキャラクターでもある。

最終話まで見ればわかるとおり、今作では徹底してかばんちゃんの権威を落として屈辱を味わわせ、キュルルの株を上げて友達まで奪い取る展開になっている。

これつまり、「前作たつき監督はけもフレの貢献者ではなく、真のヒーローは吉崎総監督」という暗喩っぽいキャラ配置と展開だ。誰がどう忖度(あるいは命令)してこのような脚本になったのかは不明だが。

仮にも商業作品(しかも大ヒット作)で、製作者内部の権力争いを脚本に取り込んで相手を嘲るとか、正気か(あえて繰り返すが)。

それに本筋もひどいぞ。最終回、キュルルがやったのは、「ビースト化したアムールトラ(フレンズ)を連れてきて、セルリアン(敵)と戦わせる」こと。

未視聴の方にわかりやすく書けば、ゾンビの群れにバーサーカー状態の友達を放り込んだような感じよ。

思惑どおり虎が敵を全滅させると、崩壊するホテルからキュルルと仲間はさっさと退避。虎は無視され置き去りにされて、がれきの下敷きになって死ぬ(死んだように見える。どうせ生きていたことにして続編で回収するつもりだろうが)。

――この冷酷な作戦を立案実行した主人公、そして自分のために傷だらけになって戦ってくれたイエイヌを邪険に扱った主人公が、どうして「フレンズのみんなが好きだ」とか叫べるのか。性格ブレブレで、説得力もへったくれもない。悪党なら悪に徹してピカレスクロマンにすればいいのに、製作者はあくまでこの主人公を「いい奴」として演出しようとする。

しかもその後、誰も虎のことを話題にせず、大団円的に大喜びという。さらに虎が潰れて圧死した屋上ヘリポートで、仲間でライブして盛り上がるという狂気。ホドロフスキーかw



冗談のように聞こえるだろうが、これすべて最終回で起こった事実だ。この脚本に、誰も反対しなかったというのが、極めて不思議。どんな素人でも「これヤバい」と懸念する内容だろう。

せめて一言退避を促して、それでも虎は狂った自分を許せず自滅を選ぶとか、そのくらいの演出を入れるのが当然だ。なぜなら「兵器として用い使い捨て>見殺し>その後誰一人話題にもせず>死骸の上でライブパーティー」では、「アムールトラかわいそう」どころじゃなく、「この主人公、悪魔か」とすら視聴者に思われてしまう危険性がある。誰の目にも明らかだ。

これ多分、ブラック企業のように、脚本会議の席で誰も本音を言えないんだと思うわ。権力者に忖度して。実際、功労者たつき監督が無慈悲に切られたの知ってるわけだし。中世中国の先制王朝みたいな感じ。

長くなるので書かないが、他もいろいろ酷いぞ。緊張感のかけらもない戦闘シーンに、会話中は襲ってこない敵とか。イエイヌは結局ぼっち確定で、昔の手紙を読んで気を紛らわせているとか。巨大セルリアンや海底火山噴火などの危機は、いつの間にか放置されたまま終わってるとか。そもそもホテルが水没するのが遅すぎるとか(本来、どこに穴が開こうが、短時間で海水面と同じ高さまで内部が水没するはず)。しかもこれが、本来もっとも力を注ぐべき「最終回」だ。

平成最後、そして最低の圧倒的失敗作――。けものフレンズというIPがここまで堕ちるものかと、むしろ感心する。

奇跡の傑作アニメから、奇跡の憎悪アニメへ(駄作でも凡作でもなく)。まさかアニメ自体がラスボス化するとは思わなかった。まさにジェットコースタームービーだな。違う意味で。


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