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 与党が改選過半数を確保したものの、改憲勢力は国会発議に必要な3分の2を維持できなかった――。今回の参院選の結果は、全国32の1人区すべてに「統一候補」を擁立した野党共闘が、一定の効果を発揮したことを示している。

 全体の結果は10勝22敗。統一候補を初めて立てた3年前の11勝には及ばなかった。しかし、野党がバラバラに戦った6年前は、わずか2勝である。今回、イージス・アショアの配備計画に揺れる秋田など7県で、自民党の現職を破った。政権与党への批判票の受け皿として機能したといえよう。

 勝利した10人の顔ぶれは、新顔が9人で、うち5人が女性。政治に変化や可能性を求める有権者の期待に応えた面もありそうだ。8人は無所属のまま戦った。支援態勢さえ整えば、党の看板がなくても与党に対抗できることもみえた。

 もちろん、選挙全体を俯瞰(ふかん)すれば課題や反省点は多い。

 今回投票率は48・80%と過去2番目の低さとなった。自民党比例区の得票数は1771万票と、3年前の2011万票から大きく減った。勢いを欠く与党が勝利したのは、野党の力不足の裏返しでもある。

 まず候補者選びが難航した。統一候補の顔ぶれがほぼ固まったのは5月末。政策面でも、民間の「市民連合」主導で13項目の共通政策で一致したが、党によって力の入れ方がまちまちで共闘の旗印にならなかった。

 次の国政選挙は衆院選だ。残り任期は2年余り。安倍首相はきのうの記者会見で、衆院解散はいま念頭にないとしながらも「あらゆる選択肢を排除しない」と語った。野党は今回の共闘から教訓をくみ取り、次につなぐ努力を始める必要がある。

 ただ、政権選択を問う衆院選での共闘には難しさもある。

 289ある小選挙区で、どこまで統一候補を立てるのか。

 基本政策の違いを乗り越え、信頼される政権構想を示すことができるのか。

 立憲民主党枝野幸男代表は選挙後、「こういう連立政権を組みますという姿を、しっかりと示す」と意欲を語った。政権党のおごりとゆるみをただし、政権交代可能な受け皿をつくる。野党第1党の使命の重さを肝に銘じてほしい。

 今回、4月に旗揚げしたばかりの「れいわ新選組」が、比例区で220万票余りを集め、2議席を得た。SNSを駆使し、街頭では有権者と徹底的に対話を重ねる。そうした山本太郎代表らの姿勢が広く共感を呼んだのではないか。政治と国民の距離をどう縮めるのか、各党が問われる重い課題である。

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