はじめの一言
(日本の街を歩いていると)
「われわれはいつでも気楽に招き入れられ、冗談をとばしての談笑で時の経つのを忘れてしまう。もっとも日本語の知識は貧弱なので、笑いの種になるのはたいていわれわれの方である。(スエンソン 江戸時代)」
「日本絶賛語録 小学館」
前回の記事で、今の日本でよく使われる「ノルマ」という言葉はロシア語だと書いた。
なんでこのロシア語が、一般的な日本語になったのか?
それは、この言葉をソ連から「持ってきた日本人」がいたから。
第二次世界大戦のとき、ソ連軍に捕まってシベリアで強制労働をさせられた日本人がたくさんいた。
そんなシベリア抑留者(よくりゅうしゃ)がソ連で覚えて、帰国後、日本に広めた言葉がこの「ノルマ」。
個人的にはノルマという言葉よりも、「シベリア抑留」という歴史があったことを覚えて覚えてほしい。
「日本に戻りたい。家族に会いたい」という願いもむなしく、凍えるシベリアの地で数万~数十万もの日本人が亡くなっている。
この事実は日本人として、知っておいた方がいい。
シベリア抑留(シベリアよくりゅう)は、第二次世界大戦の終戦後、武装解除され投降した日本軍捕虜らが、ソ連によっておもにシベリアなどに労働力として移送隔離され、長期にわたる抑留生活と奴隷的強制労働により多数の人的被害を生じたことに対する、日本側の呼称。厳寒環境下で満足な食事や休養も与えられず、苛烈な労働を強要させられたことにより、多くの抑留者が死亡した。
(ウィキペディア)
このソ連のよる「奴隷的強制労働」とは、どのようなものであったか?
寒い日には、零下 40 度を越え、すべての物を凍て付かせる大地・シベリヤ、彼等の送り込まれたのは、この白い地獄であった。
-40度での奴隷的労働。
そんな言葉を聞くと、強制収容所でのソ連国民の家畜のような生活を思い出す。
スターリン(ソ連)の大粛清②強制収容所の生活、-50度での労働
このシベリア抑留で命を奪われた日本人の数は、はっきりしてない。
25~34万人という説もある。
犠牲者数が34万人であれば、これは広島と長崎を合わせた原子爆弾の犠牲者数「29,000–246,000人(ウィキペディア)」をも上まわる。
ソ連によるシベリア抑留では、これだけ多くの日本人が命を奪われた。
広島と長崎の原爆以上の犠牲者がでたわりには、このことは日本ではあまり知られていない。
このソビエト共産党による行為は、ロシアもその非を認めて、「非人間的な行為」と日本に謝罪の気持ちをしめしている。
今回、なんでシベリア抑留のことを書いたのか?
もちろん、読者にソ連への敵意をもたせるためではない。
そもそもスターリン時代のソ連では、ソビエト国民の多くが命を奪われている。
スターリンの大粛清(だいしゅくせい)よって700万人ものソビエト国民が死亡したといわれる。
大粛清
ソビエト連邦共産党内における幹部政治家の粛清に留まらず、一般党員や民衆にまで及んだ大規模な政治的抑圧として悪名高い出来事である。
ロシア連邦国立文書館にある統計資料によれば、最盛期であった1937年から1938年までに、134万4923人が即決裁判で有罪に処され、半数強の68万1692人が死刑判決を受け、63万4820人が強制収容所や刑務所へ送られた
(ウィキペディア)
700万人となると、これはナチス=ドイツのユダヤ人虐殺をも上まわる。
シベリア抑留やこの大粛清は、ソビエト共産党がしたこと。
責任は、彼らにある。
ソビエト国民ではない。
でも、このソビエト共産党もソビエト国民の手によって倒されて、現在はロシアという国になっている。
日本人として、シベリアに強制連行されて命を落とした数十万の日本人がいたことは覚えておいてもいい。
「どうしても日本に帰りたい」、「日本で家族に会いたい」と願ったけど、その想いがかなわかった日本人があまりにも多くいた。
捕虜の一人山本幡男は、その厳しいノルマと激しい飢餓によって病の床に就き、その衰弱した身体に鞭打って母と妻、そして二人の息子に切々とした遺書をしたためる。
1954年8月、山本、絶命。享年45。
遺書を書いてから、わずか2週間後のことだった。
「ノルマ」という言葉以上に、その言葉を生んだ「シベリア抑留」という歴史の方が日本人にとっては大切なはず。
今回の復習
・「ノルマ」は、どこの国の言葉?
・第二次世界大戦の終戦後、ソ連に捕まった日本人がおもにシベリアなどで奴隷的強制労働をさせられた出来事は?
・広島と長崎を合わせた原子爆弾の犠牲者数は?
答え
・ロシア、ロシア語
・シベリア抑留
・29,000–246,000人(ウィキペディア)
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