消防上の不備はなかった(C)共同通信社

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 不運が重ならなければ、ここまでの大惨事にはならなかったはずだ。

33人死亡の大惨事 京アニ“無差別放火テロ犯”の動機と素性

 京都市伏見区にあるアニメ制作会社「京都アニメーション」のスタジオが放火され、34人が死亡し、35人がケガを負った事件。普段は専用カードがなければ第1スタジオ内に出入りすることはできないが、事件当日(18日)は午前11時からNHKの取材が入っていたため、システムを解除していた。

 身柄を拘束された青葉真司容疑者(41)が火を放ったのは、NHKの取材班が到着する前の午前10時30分すぎだった。

「当然、京都アニメーション側もそれなりの立場と人数のスタッフが待機し、取材を受けることになっていたそうです。青葉容疑者が会社に強い恨みを持っていたとすると、残念ながら最悪の事態を招いてしまった。SNSとか、何らかの方法で情報を入手していたのではないかと考えてしまう」(テレビ局関係者)

 入り口が開いていたため、青葉容疑者は難なく建物内に侵入し、バケツに入ったガソリンをフロアにまき、火をつけることができた。火は瞬く間に建物内に燃え広がり、76人のうち、無事逃げられたのはわずか7人だった。

「青葉容疑者は7年前、茨城県坂東市のコンビニに押し入り、強盗と銃刀法違反で逮捕されています。遊ぶ金欲しさの犯行でしたが、事件を起こしてから約11時間後にはビビって自首しています。そんな男が、なぜこんな大胆な犯行に及んだのか」(マスコミ関係者)

 青葉容疑者はその当時、茨城県常総市鴻野山に住んでいた。

「この辺りの小学校、中学校の卒業名簿を調べましたが、青葉という卒業生はいませんでした。近所の人たちにも聞いたのですが、誰も知らず、当時の電話帳を見ても実家すら載っていません。アパートかどこかで1人暮らししていたのかもしれません」(地元住民)

 青葉はその頃から無職で、服役後、埼玉県にある更生保護施設で生活し、3年ほど前から、現在のさいたま市のアパートで1人暮らしを始めた。

「築15年ほどの1Kで家賃は5万円弱です。働いている様子はなかったし、深夜や早朝に出掛けていましたが、どうやって生活費を得ていたのか分かりません」(近隣住民)

 青葉は身柄を確保された際、警察官に「小説を盗んだから放火した」という趣旨の話をしたそうだが、何から何まで謎だらけだ。