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 香港北西部の元朗駅の構内で21日夜、香港の「逃亡犯条例」改正案の撤回を求めるデモに参加した市民らが突然、木の棒や籐(とう)のつるを持った数十人超の集団に襲撃された。計45人が負傷し、うち1人が重体だという。改正案に対する一連の抗議活動で、デモ参加者を標的にした大規模な暴力事件は初めてとみられる。

 香港メディアによると、この集団は白いTシャツ姿で服装を統一。駅になだれ込んだ後、通路だけでなく、停車していた電車の中まで入り込み、デモ参加者の頭や背中などを手当たり次第、殴って回った。改正案に反対する民主派の立法会(議会)議員や記者も襲撃され、負傷したという。デモ参加者はシンボルカラーの黒い衣服を着用していることが多く、見分けがつきやすい。

 警察は出動が遅れたため、駅に到着した際、集団はすでに現場から立ち去っていた。集団の素性はわかっていない。同じころ、警察は香港島で、中国政府の出先機関「中央駐香港連絡弁公室」に抗議活動をした後に道路を占拠した若者と衝突し、催涙弾などを発射して制圧した。民主派団体は襲撃した集団を非難するとともに、集団に対する措置が手ぬるいとして警察への批判も強めている。(香港=益満雄一郎)