恐怖のグラフ

テーマ:

株式会社経世論研究所 講演・執筆依頼等、お仕事のご依頼はこちらから
三橋貴明のツイッターはこちら
人気ブログランキングに参加しています。

チャンネルAJER

『MMTとハイパーインフレ論者(その2)(前半)』三橋貴明 AJER2019.7.9
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
※「知識ゼロからわかるMMT入門」は、ケルトン教授招聘プロジェクトに寄付してくれた方及び月刊三橋会員の皆様に、月末に特別価格でご案内が参ります。上記からのご購入はお控え下さい。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
令和の政策ピボット呼びかけ人に映画批評家の前田有一氏が加わって下さいました。
また、メルマガ「令和ピボットニュース」が始まりました。皆様、是非とも、メルマガ登録を!
 
【三橋貴明×ステファニー・ケルトン】MMTと日本経済の謎
 参議院選挙が終わりました。10月の消費税増税は、もはや覆ることはないでしょう。日本国民は実質賃金が下落している状況で、強制的に物価を引き上げる消費増税という「苛政」を民主主義で選択したことになります。

 特に、今回は10%という「分かりやすい税率」になるため、需要(消費量)に与える影響は大きい。

 しかも、色々とリサーチしたところ、今回は「駆け込み消費」が全くない。すでに、国民は駆け込み消費ができないほどに貧困化しているのです。

 もっとも、希望がないことはありません。本件については、ラストに。

 グローバリズムのトリニティは、「緊縮財政」「規制緩和」「自由貿易」の三点セットをパッケージとして推進し、「今だけ、カネだけ、自分だけ」のグローバリストを富ませ、多数派の国民を貧困化に叩き込み、国家の安全保障を破壊。最終的には、国民国家そのものを亡ぼす路線です。

 ケルトン教授との対談(第二回)でも示した通り、日本は21世紀に入って以降(厳密には97年以降)、政府支出を全く増やさず、反対側で、消費税は増税。
 
【国民経済のシンク(水槽)】
 国民経済のシンクに水を入れず、排水管から抜きまくっていたわけです。それはまあ、デフレーションが続いて当然です。

 もっとも、「グローバリストを富ませる」ためには、緊縮財政だけでは不十分です。金融市場や労働規制の緩和、さらには法人税減税、分離課税など、企業というか「企業に投資している投資家」に有利な政策を進める必要があります。

 というか、本気で「緊縮財政」を貫くならば、法人税は増税、分離課税は廃止しなければならないはずです。現実には、日本政府は法人税減税で企業を富ませ、分離課税で富裕層を富ませる政策を推進しつつ、反対側で消費税を増税。つまりは、
「高所得者層に減税し、ツケを国民全体で負担する」
 という政策を採ってきたわけです。

 法人税減税にしても、目的は配当金や自社株買いを増やすこ。株主を富ませる政策であることに変わりはありません。

 一連の、グローバリズムのトリニティは、デフレで所得のパイが拡大しない中、特定のグローバリストに所得、富を偏在させることが目的で推進されました。結果的に、国民が貧困化するのはもちろん、企業側も大変な状況になってしまっています。
 
【歴史音声コンテンツ 経世史論 始動!】
http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※6月16日(日)から、中野剛志氏との特別対談コンテンツ【歴史とナショナリズム】をご視聴頂けます。是非、ご入会下さい。
 
 本グラフの作成者は、福岡で企業を経営しつつ、大学院で博士課程で勉強されている相川清氏。施先生の研究室の院生さんです。グラフは相川氏の修士論文「グローバル化時代における日本型資本主義の理想と可能性」に掲載されたものでございます。
 
【日本の資本金10億円以上の企業の売上高、給与、配当金、設備投資等の推移(97年=100)】
 嘘だろ! という印象です。

 97年を基準に資本金10億円以上の日本の大企業は、2017年までに配当金を5.7倍に増やしました。極端な株主優遇政策です。
 そして、経常利益は3倍になっているにも関わらず、売上は横ばい。どういうことでしょう。

 簡単です。
 企業はデフレで売上が伸び悩む中、人件費(97年比で▲7%)、設備投資を(同▲36%!!!)削減。販管費や減価償却を抑え込み、強引に利益を膨らませ、配当金を支払ってきたわけです。

 無論、政府の法人税減税も、配当金拡大に貢献したことは言うまでもありません。

 今回の図の注目点は、予想通り人件費は抑制されているのですが、それ以上に「投資▲36%」です。日本の大企業は、配当金の原資となる利益拡大に注力するあまり、企業のコア・コンピタンスたる「投資」を怠ってきたのです。

 日本企業は、恐るべき勢いで弱体化していっています。これほどまでに投資を減らしてしまうと、生産性は高まりようがありません。

 相川氏の図は、日本企業が人件費や自らの生産能力(資本)を削りながら、配当金を株主に貢ぎ続けたことを明瞭に示しているわけです。まさに、恐怖のグラフです。
 
 日本国民にしても、所得低迷(賃金抑制)や法人税減税(&消費税増税)という形で、配当金拡大に「協力」させられています。

 というわけで、希望の話。

 わたくしは以前、日本のグローバル化は相対的に進んでいないため、欧米のように「国民主義」の政治勢力が勃興する時期は、もっと遅いのではないかと考えていました。とはいえ、相川氏の図を見る限り、我が国はすでに相当に「食い尽くされている」状況に至っています。

 このタイミングで、MMTが広まり始め、かつ国民経済のデフレを深刻化させることが確実な消費税増税が強行される。
 
 山本太郎氏が、全国比例としては落選者として史上最大の90万票を獲得したことからも分かりますが、反・緊縮財政の「国民の声」は高まっており、消費税増税でさらに高まることになるでしょう。

 妙な話ですが、日本は本格的な移民国家に落ちぶれる「前」の段階で、デフレとグローバリズムにより「反グローバリズム」勢力が勃興する下地を整えられたことになります。

 相川氏の図から「日本で何が行われてきたのか」は、あまりにも明らかなのです。次の選挙において、「グローバリズム? 反グローバリズム?」という明確な争点を示すことができれば、まだ間に合うかも知れない。

 日本国のナショナリズムの三つの柱、「日本国民」「日本語」そして「皇統」。移民政策、英語教育、女系天皇(あるいは女性宮家)という日本破壊政策で、三つの柱が倒れる前に、グローバリストのためではなく、国民の国家を取り戻せるのか。

 やれることは、全てやりましょう。
 
「日本国民の国家を取り戻そう!」にご賛同下さる方は、↓このリンクをクリックを!
本ブログへのリンクは以下のバナーをお使いください。
◆関連ブログ
日本経済復活の会のホームページはこちらです。