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【大相撲】

鶴竜が横綱決戦制し、名古屋場所初V

2019年7月22日 紙面から

6度目の優勝を果たし、パレードでファンに手を振る鶴竜(右)。左は豊ノ島(大月崇綱撮影)=ドルフィンズアリーナで

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◇大相撲名古屋場所<千秋楽>

 (21日・ドルフィンズアリーナ)

 鶴竜(33)=井筒=が結びの一番で1差で追っていた白鵬(34)=宮城野=をもろ差しからの寄り切りで破って14勝1敗とし、7場所ぶり6度目の優勝を果たした。新小結の阿炎は注文相撲で琴奨菊を退けて勝ち越した。西前頭2枚目の遠藤は北勝富士を寄り切って10勝目を挙げ、秋場所での三役復帰を有力にした。三賞は、殊勲賞に鶴竜に唯一の土をつけた友風(24)=尾車、敢闘賞に12勝の照強(24)=伊勢ケ浜。技能賞に遠藤(28)=追手風=と関取最軽量の炎鵬(24)=宮城野=が選ばれた。

   ◇

 横綱決戦の熱狂と歓声を力に、巻き替えてもろ差しになった鶴竜が迷わず前へ前へ。渾身(こんしん)の力で白鵬を寄り切った14勝目の先に、7場所ぶり6回目の賜杯が待っていた。念願の名古屋場所初優勝だ。

 「名古屋というのが、本当にうれしいですね。簡単にあきらめたくない気持ちが良かった。腐らず自分と向き合った」

 腰を痛めて場所前の1週間は、まわしを締めることもままならなかった。師匠の井筒親方(元関脇逆鉾)の言葉を借りれば手負いの獅子。だからこそ、右まわしを浅く取って頭を付ける基本の攻めを徹底。この日も下手から上手、また下手と目まぐるしい展開でも、右でのまわしにこだわり続けた。

 オールラウンダーらしさ全開の15日間だった。今場所中の朝稽古後、いつになく冗舌になる話題が、母国モンゴルで打ち込んだバスケットボール。NBAのドラフトで、八村塁(21)がウィザーズから日本人で初めて1巡目指名されたことに興奮。「何でもできるのはプラス。リバウンドから3点シュートまで」と目を輝かせた。

 その上で「どういう方向でもいろいろできるなら、やるに越したことはないですよ」と、土俵上での心得を金言に送った。14勝の決まり手は7種類と有言実行だった。

 なじみの名古屋宿舎との同時復活も果たした。2016年3月、宿舎を置いてきた愛知県東浦町の宇宙山乾坤(けんこん)院の本堂などが火災で焼失した。移転を余儀なくされた3年間はいずれも途中休場。昨年の名古屋場所後、同院関係者と「一緒に頑張りましょう」と誓い合い、今年5月の再建と勝手知ったる地への帰還が、復活に一役買った形となった。

 幕内通算出場1000回の節目で、賜杯を抱いた横綱は「今年の名古屋は涼しかったけど、雨で大変だったと思います。応援ありがとうございました」とにっこり。ファンへの感謝を胸に、気は優しくて力持ちの力士像を体現し続ける。 (志村拓)

 

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