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参院選・東京選挙区の終盤情勢は各マスコミで下位予想が異なるという異例の混戦模様になっている。
2019年参院選・終盤情勢。東京選挙区の各マスコミ情勢予想まとめ
当初は劣勢だった音喜多氏もかなり巻き返して来ているようだ。一体何があったのかと思うが、その理由の1つが自民党支持層からの支持だと思う。
JX通信社・米重氏「音喜多氏は無党派層から一定の支持を受けるほか、自民党支持層の一部からも支持を集めている音喜多氏は無党派層から一定の支持を受けるほか、自民党支持層の一部からも支持を集めている」
確かに7月13〜15日の3連休辺りから
「自民党は2枠が確定している。しかしこのままでは立憲民主党も2枠当選してしまい、改憲勢力が過半数を超えない。自民党支持者は維新の音喜多氏を応援して改憲勢力を応援しよう」
という意見がネットで多く見られるようになった。実際、静岡選挙区では官邸の指示で自民党が野党の国民民主党候補を応援しているという情報が流れている。
是非はともかく理屈としてはわかる。自民党の議席を減らさずに改憲勢力の仲間が増えるならば政治的には有利だ。
だがその理屈を言うならば、音喜多氏を応援しても何の意味も無い。音喜多氏はこれまでに所属政党を裏切りまくって来た歴史がある。さらに維新を裏切る火種も十分に整っている。仮に当選したとしても維新を裏切る可能性は極めて高い。
歴史は繰り返すどころか、1年に一度くらい分裂・崩壊してますね
音喜多氏は2013年6月にみんなの党から都議選に当選して政治家のキャリアをスタートさせたが、それからわずか6年の間に9つの政党・会派を渡り歩いている。1年に1度ってペースじゃないんだよね。
2013年06月 みんなの党(都議当選)
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2014年11月 かがやけTokyo(みんなの党解党で分裂)
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2015年01月 日本を元気にする会・かがやけTokyo
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2016年01月 かがやけTokyo(日本を元気にする会離党)
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2017年01月 都民ファーストの会(都議再選)
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2017年10月 かがやけTokyo(都議選のわずか3ヶ月後に離党)
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2018年10月 あたらしい党(週刊文春の記事を巡って上田都議を一方的に攻撃、喧嘩別れ)
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2019年04月 無職(都議を辞職。スラップ訴訟までして万全を期したが逆効果になり北区長選に落選)
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2019年06月 日本維新の会(参院選東京選挙区出馬)
うーん。すごい。最長で1年しかもってない。そりゃ「維新は応援したいが音喜多氏は応援できない」って声も出まくるよ。
無論、音喜多氏サイドも理解しており火消しに必死である。音喜多氏の支援者は
「確かに離党はしたが、それは政党が消滅したなど、どうしようもない理由があっただけ」
と言い訳に必死である。だがそれが通用するのは解党した「みんなの党」の時だけである。
日本を元気にする会は政党要件を失ったと思いきや仲間を裏切ってさっそうと逃げ出した、都民ファーストの会は都議再選後のわずか3ヶ月に離党した、結局未だに何のアクションも起こしていない週刊文春の記事の件でかがやけTokyoを喧嘩別れした、あたらしい党を立ち上げておきながら維新から参院選に出馬する、これらは全ては完全に音喜多氏が原因の裏切り・離党・分裂である。
ちなみに維新から裏切りといえば、2015年8月の「維新の党」分裂が思い出される。その中心人物であった江田憲司氏は民進党に合流してからも分裂・裏切りを繰り返し、今は立憲民主党である。
2017年1月にそんな江田憲司氏の派閥分裂報道を受けての音喜多氏の味わい深いコメントがこちら。
当然、「人のことは言えない」とのツッコミ多数。ちなみに「あの人」とは柿沢未途氏を指しているようにも思える。
「維新とはずっと近い」とのアピールに余念が無いが、「共同親権」という圧倒的火種
音喜多氏は流石に今回は誤魔化せないと思ったのか、(恐らく初めて)「今度は裏切りません」アピールを維新支持者に行なっている。
おときた駿と維新について -既得権打破と経済成長を目指す「第三極」最後の可能性
また、受け入れて下さった維新の皆さまにとっても、これまでの私の行動から不信感を持たれる方がいるのは当然のことだと思います。
「今度は裏切らないで!」という声は、真摯に受け止めなければなりません。
信頼を失うのは一瞬だけれども、取り戻すのは大変なのが世の常。
私自身のこれまでを省みながら党内や支援者に受け継がれるスピリッツを学び、信頼を得れるよう行動してきます。
だがもうすでに裏切っている。
③LGBT・夫婦別姓・ひとり親・里親…多様性あふれる社会を実現
多様性を尊重できる社会の実現を目指します。特にこれまでマイノリティとされてきた障害者やLGBTの方の支援に積極的に取り組みます。
日本維新の会のマニフェストに記載されている「共同親権・共同養育」が削除されているのだ。
共同親権とは、現在は離婚後にどちらかの親にしか認められていない親権を、両方の親に認める法改正である。維新の会では串田議員が中心となって推進しており、橋下氏なども賛成している。目玉政策とまでは言えないが、維新の会としては推進していると言って良い。
しかし、音喜多氏にとっては決定的なアキレス腱である。あたらしい党の幹事長である駒崎美紀氏の夫、駒崎弘樹氏は断固とした共同親権反対派である。
駒崎氏の支援を失ってはあたらしい党は崩壊である。そこで音喜多氏は駒崎氏に配慮し、共同親権の文字を削除したのでは。
しかしもし音喜多氏が当選したとしても、共同親権の法案審議の時になると果たして賛成してくれるのか?
政党を裏切り続けてもう維新しか頼る政党が無い音喜多氏が維新の政策に賛成する可能性は高い。というか、維新の議員なら賛成するのが当然だ。しかしそうなればあたらしい党は崩壊する。
恐らく、音喜多氏は共同親権の法案審議の期間は、あの豊洲市場の時のように「私は共同親権に反対なので必死に維新の執行部を説得してます」というアピールを繰り返すだろう。そしてそのアピールそのものが維新執行部に睨まれ、離党の原因になると思う。
最近除名になった丸山穂高議員は、2017年の衆院選後に「代表選を実施しよう」という極めて真っ当な発言をしただけで(一時的に)離党になったのを忘れてはいけない。
当選してからでは手遅れ。維新支持者こそ音喜多氏を批判するべき
私のこの「音喜多氏がもし参院選に当選したとしてもまた維新を裏切る」との意見は確かに個人的な予想である。
しかし二度あることは三度ある。既に8回あった音喜多氏の離党・分裂が9回目もあると思うのはとても自然な考えだ。しかも共同親権という火種が存在しているのだから尚更だ。
維新支持者は悲願の東京での議席獲得のために今必死に音喜多氏の事を応援している。
しかしそんな維新支持者こそよく考えて欲しい。
国政維新は裏切られの歴史である。江田憲司氏、松野頼久氏、中山恭子氏、アントニオ猪木氏、渡辺喜美氏などなど。維新から国政選挙に当選して裏切っていった議員は数知れない。それだけ自民党にも民主党系にも行き場の無い政治家にとって「無所属は有利だ」と選挙の利用されて来たのだ。
この参院選での日本維新の会の改選議席数は7議席(選挙区3、比例4)である。そして現状8〜9議席程度が予想されており、支援者は「躍進だ!」と喜んでいる。
だがちょっと待って欲しい。そもそも2013年の維新の会の当選議席は8議席である。しかも比例は6議席である。今の「比例で5議席行けそうだから躍進」というのはまあまあ勘違いだ。
維新の会は選挙後の数々の裏切りによって確実に伸び悩んでいる。
そして、この参院選で当選しても裏切りそうなのが2人いる。それが神奈川選挙区の松沢成文氏と東京選挙区の音喜多氏である。
例えば2人とも当選して10議席に到達したとしても、当選後にこの2人が離党すれば8議席である。そんな候補を応援しても「維新は利用しやすい」とさらに舐められるだけではないか。私は維新支持者こそ、この2人の公認をもっと批判すべきだと思う。まあ、そうしないからこそ毎回利用されるのかも知れないが。
ま、1つだけわかっている事がある。例えちょろいと思われても、離党すれば維新支持者は徹底的に批判する。今応援している100倍の強さで。
だから、今、音喜多氏を応援している維新支持者は決して味方ではない。むしろ音喜多氏の政治生命を本当に絶ってしまう最強の敵だろう。
参照:参院選静岡選挙区 野党激突に「不思議」な動き、官邸介入か、おときた駿と維新について -既得権打破と経済成長を目指す「第三極」最後の可能性、民進最大勢力の旧維新系分裂 江田グループが再出発