屋上扉「開けにくいタイプ」=悲鳴直後、らせん階段から黒煙-京アニ社員証言
2019年07月21日 10時00分 時事通信
2019年07月21日 10時00分 時事通信
2019年07月21日 01時00分 時事通信
京都市伏見区のアニメ制作会社「京都アニメーション」スタジオの放火殺人事件で、出火時に2階で勤務していた男性社員が20日、時事通信の取材に応じ、屋上に通じる扉はレバー2カ所の操作が必要で、「開けにくいタイプだった」と証言した。消防の到着時に扉は閉まっており、手前の階段では折り重なるようにして19人の遺体が見つかった。
男性は「らせん階段から黒煙が上がってきた直後、目の前が真っ暗になった」とも証言。ベランダから飛び降り、軽傷で済んだという。
男性は扉について、金属製レバーが上下に2カ所あり「珍しいタイプ。最初はうまく開けられなかった」と話した。消防によると、救助活動時に扉は閉まっていたが、施錠はされていなかった。
男性によると、2階には当時約30人の社員がいた。らせん階段から離れた北東の角の机で背景画を描いていると、男のもめる声が1階から聞こえ、直後に女性数人の「キャー」という悲鳴が響いた。
「ドドドド」という大きな音がし、1階から上がってきた男性が「火事だ」と叫んだ。2階にいた女性が防災ベルを押して15秒ぐらいすると、正面玄関脇に設置されたらせん階段から、黒いきのこ状の煙が上がってきて、直後に視界が閉ざされたという。
吸い込むと卒倒しそうなにおいが充満し、息をせずにしゃがんでベランダへ。下を見ると体を炎に包まれた女性2人がよろめきながら歩くのが見えた。
既に飛び降りた男女数人が下におり、「飛び降りなさい」という複数の声に押され、決死の思いでベランダを蹴った。コンクリートの地面に両肘を打って負傷したという。
保護されたマイクロバスには2階から飛び降りて助かったとみられる20人弱の顔が見えた。2階では11人の遺体が見つかっており、「前途ある若い人が亡くなったのは悔しい」と話した。
逮捕状が出た青葉真司容疑者(41)について、男性は「苦楽を共にした仲間の命が失われ、憤りを感じる。回復して裁きを受けてほしい」と語気を強めた。 【時事通信社】