ローカル駅線形考 前編
半世紀前のTMS、手放してしまった号に常連投稿者河田氏の国鉄駅線路配置連載がありました、河田氏は国鉄職員だったと思います。 筆者が鉄道旅を始めた昭和40年代、DC列車運転席直後に陣取り、タブレット授受や運転士と運転助手の指差称呼を見聞きしながら、様々なローカル駅構内線形観察の際に非常に役立ちました。
その経験に基づく類型化で正誤保証できませんが、ローカル駅線形マニアとしてまとめてみます。 もっともローカル線定義は曖昧で、非電化・単線・特急1本/日までが大雑把な定義とお考えください、当時の羽越本線や山陰本線は実にローカル色豊かでした。
【終列車】
JR化後のローカル線は大幅な合理化が進み、通票閉塞は自動閉塞へ、ポイント/信号機遠隔操作による無人化、貨物輸送量激減による交換施設撤去などローカル駅も様変わりしましたが、その痕跡はアチコチに残っており、ルーツ種明かしも一興かと思います。
第一章:2線駅
北海道仮乗降場に代表される無人駅は昔から存在しましたが、ローカル駅の基本形は2線駅でした。 単線ローカル線は交換施設が必要で駅になるのが自然でしたし、旅客需要が見込めない場合は信号所になりました。 運転必要性で信号所が開設され、後に客扱いを始めた信号所昇格駅が数多く存在します。
1-1.対向式ホームの2線駅
国鉄ローカル駅標準仕様類型1です。
駅舎と貨物側線がある1番線、改札口前の階段踏切から渡る対向ホームが2番線です。 路線毎に本線有効長が決まっており、それに対しホームが短いのが国鉄駅の特徴でした、ラッシュ時長編成列車後部は駅に到着してホームがないのは珍しくない事でした。
【中山平駅】
本線左側通行駅進入ポイント定位直進が約束事でした、その理由は個人的解釈ですが、
①次閉塞区間始点の駅出口に安全側線設置が必要だった。
②駅出口ポイント通過制限速度45-60km/h減速が通過列車通票授受に好都合だった。
と考えてます。 急行運転がなくても貨物側線が開いてない貨物列車は通過です。 従って、駅出口で列車がウネウネ身をくねらせないとローカル駅らしくないと思ってます。
安全側線は普通のポイントもありましたが多数派がコレ、平板型トングが外から被さり、フログも含め乗り越し型です。 本線通過列車の振動を抑え通過速度を上げる為と思われます。 中山平に設置したかったのですがウデと相談し断念しました(笑)
せめてもと、機関庫保線車両留置線入口にダミーポイントとして作ってみました。
階段踏切式2線駅ではオフセットホームを良く見ました、短編成列車を階段踏切手前停目で収容する為です。 ローカル駅は上屋なしが普通で駅舎差し掛けと待合所だけです。 列車到着直前改札なので、ホーム待ち時間が短く不要だったからだと思います。
貨物輸送量に対し旅客需要が少ない鉱石運搬路線等(長い貨物列車と短い旅客列車)では完全オフセットホームも珍しくありませんでした、踏切階段通せんぼ問題起きません。
出入口Y字ポイントで安全側線がない駅も多くありました。 本線有効長が短い閑散線区駅に多かった様です。 Y字ポイント+安全側線駅もあり、国鉄には安全側線設置基準があったと思われますが、そこまで調べてません。
また貨物側線は工場・鉱山・製材所等引き込み線を除き交通路や貨物掛業務効率から駅舎側の一方向にあり、開通方向が逆の駅もありました。 開通方向進行貨物列車で出発し、次の拠点駅で編成換え目的地へ向かう運用で、トラック輸送に負けたのは必然でした。
【ローカル駅の信号梃子小屋】
2線駅は上下本線固定なので信号機は各場内/出発の4基です。 まれに相互に副本線として逆本線待避を行う駅があり、この場合は信号機8基になります。
河田氏記事に出入口ポイント反位の2線駅があり、解説ありませんでしたが信号所昇格駅と推定します、昇格組は貨物扱いなしが通例でした。 1番線上下本線、2番線上下副本線とすると信号機8基です、本当にそうだったのか?、今となっては確認不能です。
1-2.島式ホームの2線駅
線形Aが国鉄ローカル駅標準仕様類型1なら島式ホーム2線駅は類型2です。
島式ホーム駅はホーム端踏切と地上レベル駅舎が一般的でした。 対向式/島式ホーム比率は6対4程度で、列車有効長が短く運転密度が低い路線ほど島式ホーム比率が高かった印象があります。 島式の方が効率的に見えますが、ホーム中央付近駅舎配置可能、構内見通しが良い、貨物ホームに近いなど対向式ホームの利点も多かったのだと思います。
2-3両編成が走る閑散線区ローカル駅では、Y字ポイント島式ホームが多数派でした。 ホーム端駅舎のデメリットが少なく効率的だったからだと思います。
【スプリングポイント】
国鉄末期貨物扱い廃止になると、これらのローカル駅はスプリングポイント化で真っ先に無人化されました。(貨物列車入替作業にはポイント切替必要)
1-3.レイアウト2線駅
レイアウトはスペース制約が非常に厳しい宿命を負ってます、筆者は実感重視の変人ですが、3x6尺サイズでも長編成列車を走行させたい願望を否定する気はありません。 東京赴任時代利用した京王線特急待避駅つつじヶ丘は、踏切ギリギリまでホーム延長し有効長10両、車掌が立つホーム幅は1m未満でした、レイアウトにも同様な工夫が必要です。
ほとんどの駅は直線区間設置ですが、レイアウトはそうもできません。 図は3x6尺用のKATO4番ポイント&付属レールとローカルホーム5本構成例で4両編成停車可能です。 線形としては駅出入口ポイント定位が同じ線形Cのバリエーションです、違うのは駅出入口を各15度振って有効長拡大してる点です。
都市近郊路線や私鉄ならホーム幅を広げ橋上駅舎にし、ポイント付近までホーム延長すれば5両編成分ホーム有効長が取れると思います。
それでも満足できない人の為にカーブポイントも用意されてます。 実在しても曲率全く違います。 コレ両側に使った駅線形はハロウィンカボチャの口の様になります。
もし貴方のレイアウトが蒸機やDCが走るローカル線なら、Y字ポイント使用をお薦めします、R315/15度組合せで標準線形と同スペースでホームを長く取れます。 ローカル駅の雰囲気出ますし、列車は駅出入口でクネクネしてくれます(笑)
また交換施設のない小駅を作る際も、駅出入口に小さなS字カーブを作ると、かつて交換施設があった駅を演出できます、草に埋もれた対向ホーム跡があれば完璧です。
勾配区間なら廃止スイッチバック跡も面白いです、線路痕跡だけで表現できます、有効長や周辺風景整合は気にする必要ありません、10年もすれば自然に還りますから。
【2017.09.13更新より転載】・・・廃止スイッチバック
次回後編でローカル3線駅について書きます。
ではまた。