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FXコラム

米韓FTAにみる暗い為替条項が示唆する日米交渉

2018.03.29 | 
米韓FTA...
トランプ米政権は27日、韓国と米韓自由貿易協定(FTA)の見直しで大筋合意したと正式発表しましたが、その中でも特に注目されることとなったのが為替条項の存在で、両国が競争的な通貨切り下げを禁じることを明確に文書として盛り込んだことが非常に注目されることとなりました。

米国としては初の条項

この条項は米国への輸出拡大を狙った韓国の通貨安誘導を防ぐためで、今回他国と結んだ条項としては初のものになっているようですが、当然今後日本との貿易協議でもこの問題は顕在化してくることは間違いなく、一体日米間ではどのような条項になるのかが非常に注目されるところです。
米政府高官によると、為替条項は(1)競争的な通貨切り下げを禁じる(2)金融政策の透明性と説明責任を約束する――といった内容で、これまえで安倍政権の過去5年の為替政策は直接的な介入こそしなかったもののPKO総動員で円安を醸成してきたわけですから、説明責任と言われても森友問題以上に説明しにくい状況に陥ることは間違いなさそうで、結果この条項入りのFTAなどを締結したら為替については一切なにもできなくなることはほぼ間違いなくなりそうです。

日本も自動車の貿易問題で輸入拡大を求められるのは必至

韓国とのFTAではやはり自動車貿易の不均衡の是正が求められ、韓国内で販売される米国車の台数を大幅に増加させることが盛り込まれています。
国がこうしたことを盛り込んでも国民が買うのかどうかは非常に疑わしい状況ですが、こと日本に関してはいくら日本政府が台数を増加することを約束しても、軽自動車とハイブリッド以外まともにクルマが売れない社会になってしまっているわけですから果たして米国車がこの場に及んで普及するのかどうかはきわめて懐疑的な状況と言えます。
台数の確約がとれないとなれば米国向けの日本車が売れなくなるようにするしかないわけですから、価格競争力のない為替を実現することもいよいよ現実の問題になりそうで、ドル円相場の落ち着きどころが一体どのあたりになるのかが非常に注目されます。
おそらく今でも105円程度なわけですからこれが100円になってはいそうですかとは到底言われないはずで為替でどういった落としどころが登場するのかも非常に大きな関心となりそうです。
安倍政権は当初すっかりトランプとの関係が良好なものになったと錯覚していたようですが、政権発足から20回以上電話会議ができてもニヤニヤしやがってと名指しで馬鹿呼ばわりをされているわけですから、ピーターナヴァロなどの厳しい人物に押しまくられることになればそれこそ不平等条約を結ばせられかねない厳しい状況に立たされていることがわかります。
FTAその他もどこまでの内容が盛り込まれるのかは今のところまったくわかっていませんが、為替に関するかぎり、少なくとも今年後半、11月の中間選挙ぐらいまではまともにドル高円安が示現することはほとんどなくなってしまったのではないでしょうか。
市場の一部には森友問題など国会でいつまでも時間をとっている場合ではないという指摘が起きていますが、それでは国会で貿易不均衡の問題について議論したら米国の厳しい追及をかわすことはできるのでしょうか?
残念ながらその答えはまったくもってNOであり、現状の日米関係を考えれば日本はとにかく米国の言うことに従って大幅に譲歩を求められることになるのはほぼ間違いなさそうです。
ドル円は過去40年以上政治的な通貨としてその価格を推移させてきましたが、ここへ来て再度その役割を確認せざるを得ない状況に陥ることになりそうです。短期的にドル高円安がでても必ず米国政府の意向にしたがって修正がかかる相場になりそうな嫌な雰囲気が漂います。
(この記事を書いた人:今市太郎

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