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なつたちの短編映画がようやく完成に向かい声を吹き込むアフレコの時を迎えました。
(坂場)それじゃ よろしくお願いします。
♪~
♪「重い扉を押し開けたら暗い道が続いてて」
♪「めげずに歩いたその先に知らなかった世界」
♪「氷を散らす風すら味方にもできるんだなあ」
♪「切り取られることのない丸い大空の色を」
♪「優しいあの子にも教えたい」
♪「ルルル…」
(魔女)「私が お前たちを食べるって?そんなことはしないさ グレーテル。これから お前たちを森のお城に連れていくんだよ」。
(グレーテル)「お城に?」。「そう。 お城には 森の王がいてこの森が平和なのはその王様がいてくれるからなんだよ。ありがたいことに ヘンゼルはその王様のために働けるんだ。よかったね」。
(グレーテル)「嫌!そんなことは 絶対にさせないわ!」。
「いいからさっさと ヘンゼルを連れておいで!」。
(魔女)「ヒェ~! 何をするんだいおやめ! おやめって!」。
(グレーテル)「さあ こっちよ!」。(ヘンゼル)「うん!」。
「ヘンゼル 今よ!」。(ヘンゼル)「グレーテル 逃げよう!」。
♪~
(魔女)「そうはさせないよ!」。
(ヘンゼル)「うわ~!」。(グレーテル)「ヘンゼル!」。
(ヘンゼル)「グレーテル!」。
(うなり声)
(悪魔)「ハハハハ さあ食え!腹を満たせ! 闇のオオカミたちよ!」。
(グレーテル)「うっ… うっ…」。
(魔女)「おや!」。(グレーテル)「うっ… ああ~!うっ… うっ…」。
(魔女)「全く なんて子だい!あの子は 何があっても最後まで諦めない気か」。
(グレーテル)「うっ… えい! ヘンゼル!」。
(ヘンゼル)「グレーテル!」。(オオカミのうなり声)
(魔女)「えっ… えい!さあ おゆき!」。
「魔女め 裏切ったな!」。
(ヘンゼル グレーテル)「はあ はあ はあ はあ…」。
(鳴き声)
(グレーテル)「あっ!」。(ヘンゼル)「大丈夫か!?」。
(グレーテル)「うん」。(ヘンゼル)「行こう!」。
(グレーテル)「うん!」。
(ヘンゼル グレーテル)「はあ はあ はあ はあ…」。
(鳴き声)
♪~
(ヘンゼル グレーテル)「はあ はあ はあ はあ…」。
(グレーテル)「ありがとう」。
♪~
大丈夫ですね…。
はい オッケーです。(一同)お疲れさまでした!
(雪次郎)お疲れさまでした。(蘭子)ありがとう。 どうだった?
まるで 魔女に蘭子さんが乗り移ってるみたいでした。
そう。 私の演じた魔女はとても いいキャラクターね。気持ちが 自然と入ったのよ。絵も チャーミングだし とても好きだわ。(雪次郎)はい。
(麻子)ありがとうございます。
あっ…。あっ すいません…。
(なつ)魔女は ほとんどこのマコさんが考えて描いたんです。
本名は麻子です。大沢麻子と申します。
そう… 魔女には大沢麻子さんの魂が込められていたのね。
はい…。
イッキュウさん。
仲さん 何か言ってましたか?
いや 何も。
きっと 大丈夫ですよね?
あなたは大丈夫ですか?
えっ?
これで満足してますか?
してません。
もっと イッキュウさんと作りたいです。
それなら 私と同じです。
♪~
短編映画を作り終えて なつたちはしばしの休息を味わいました。
はいはいはい イッキュウさん ああ…!
(下山)ちょっと まあ… ドンマイ ドンマイ!ドンマイ!
やっぱり 僕は抜けます。(下山)大丈夫だって。
ダメよ! できるまで 何度でもやるの!
無理です!あんたね人には さんざん 何度も描かせといて自分は 簡単に諦めるわけ!?
(茜)いや そんな真剣に怒らなくても…。
何でも 真剣にやらないと身につかないわよ。
とにかく 頑張りましょう!
はい!マコちゃん!
はい!あ~!
イッキュウさん!はい!
ナイス~!
イッキュウさん お握り食べませんか?
ありがとうございます。
それじゃ 僕のパンをあげましょう。
ありがとうございます。
(桃代)あっ…お握りは落とさないで下さいね。
モモッチ!フフフ… 冗談でしょ。
冗談が通じるような相手じゃないでしょ。(桃代)そっか。
通じますよ。 僕だって 冗談は大好きです。えっ そうでした?
なっちゃんこそ冗談と真面目の境目がない人だもんね。
マコさん!何よ 文句ある?
今 なっちゃんって呼んでくれました?えっ?
マコさんに 初めてなっちゃんって呼んでもらいました!
初めて? そうだった?
何か うれしい!
(麻子)泣くことないでしょう!(笑い声)
よかった よかった。今度の短編でみんなの気持ちがぐっと近づいたってことだ。 ね。
(神地)あっ 茜ちゃん ちょっと それ頂戴。あっ ちょっと…!
あんたは 最初から近すぎなの。(堀内)ずうずうしいんだよ。
分かりましたよ。
あげないとは言ってないでしょ。
えっ!はい。
あっ… 頂きます!
ここに 作画をする前に来たかったですね。
(下山)その余裕があればね。ハハハ…。
今度作る時には必ず こういうことをやりましょう。
はい。
♪~
マコさん どうしたんですか?何か 見つけました?
見つけた。えっ 何を?
私… 結婚するの。
やっと白馬に乗った王子様を見つけました!
マコさんちょっと よく分かんないんですけど…。
学生の時に つきあってた人がいて彼は 一人前の建築家を目指してて今度 イタリアに行くことになって…。
それで プロポーズされて別れるべきか悩んだんだけどこの作品やってやっと ふんぎりがつきました。
えっ それは…アニメーターを辞めるってことですか?
そうよ。
それはないですよ マコさん!
だから 私は この作品を絶対に成功させたかったの。
成功させて 私には これしかないってそう自分に思えたら彼と別れることも決心がつくかなと思ってた…。
けど 実際は反対だった…。
仕事に満足したから結婚してもいいと思えたの。
マコさん…。
この先 私が もっと何かを作るためにはここで立ち止まることも大事なのかなって思えたの。
なっちゃんやイッキュウさんと比べると私には 何か足りないような気がして。
それが悔しくてね。
そんなことないです!
マコさんのようには私は まだ描けません。
楽しめないのよ。あなたのようには まだ。
それが どうしてなのか…才能なのか 迷いなのかここで一旦 立ち止まって考えてみたくなったの。
あなたは いいアニメーターです。
少なくとも 日本にはあなたのようなアニメーターはまだ そういないと思います。
ありがとう…。
そうやって冷静に言われるとかえって うれしい。
マコさん必ず また戻ってきて下さい!
また戻ってきたくなるような羨ましくなるようなもっとすごい漫画映画をこれから作ってよね なっちゃん。
分かりました。
俺も頑張ります!
あなたは いいの。何で?
あなたが言うとちょっと嫌みに感じちゃうの。
嫌み?
(麻子)でも みんな 勘違いしないでよね。
私は もっと幸せになるんだから。
安月給のアニメーター暮らしとはおさらばできるんだから。
羨ましい!
モモッチ…。でしょ。
はい…。
(堀内)下山さん 何描いてるんですか?
マコちゃんとみんなのこの幸せな瞬間を描いてんだ。
忘れないように。
じゃ みんなで集まって描いてもらいましょう。
木漏れ日の降り注ぐ平和な森でなつは 新たな誓いを立てました。
自分は 一生アニメーターを続けていたいと。
笑顔で 笑顔で。
♪~
ああ なつよこれからも 好きな仲間と思いのままに生きよ。
こら! まだまだ終わらせるなよ。
来週に続けよ。