2019年7月20日(土)
【論説】参院選21日投票 若者の声を政治に
憲法改正や消費税増税、年金問題、安全保障の在り方など日本の将来を見据え、国の根幹を成す課題が問われる令和初の参院選は21日投票日を迎える。安倍政権への評価を含め、日本の針路にも関わる重要な選挙である。選挙結果は日本の国の在り方にも影響を与えるだけに、重大性を認識し、主権者として1票を行使してほしい。
 
 今回の参院選は、国の未来の方向に対して意思を示す機会であるが、気になるのは国の未来を担う若者たちの投票率の低さだ。選挙権年齢が18歳以上に引き下げられて初めて実施された前回、2016年の参院選での茨城選挙区の投票率は50・77%で、10代の投票率は42・85%と全体の投票率を下回った。内訳は18歳が47・73%、19歳はさらに約10ポイント下回る37・93%だった。年齢引き下げ後、参院選以外の知事選や衆院選、県議会議員選を見ても10代の投票率は30%台で推移。20%台で推移している20代前半よりは高いが、60〜70%台で推移している70代に比べれば格段に低い。
 
 なぜ若者の投票率が低いのか。茨城大学の学生たちに聞くとさまざまな理由が浮かび上がった。特に、4年生は就職活動もあるためか日々の生活が忙しく、「(投票に)行こうと思っていても忘れてしまうこともある」との声があった。「投票しても何も変わらないのではないか」といった諦めにも近い思いも政治への関心の低さにつながっているようだ。逆にNPO法人での活動を通して社会的課題に接して政治や選挙に関心があるが、住民票を移していないため、わざわざ投票のために地元に戻りづらいという声もあった。
 
 こうした声を踏まえて、寺地幹人准教授は「最近に限らず構造的に若い人が政治に関心を持ちにくいような社会になっている」と指摘。「いまの投票の仕組みが時代に合っているのかという視点があっていい。世界には電子投票もある。将来の投票率を考えれば、小さいころから少しずつ家庭や学校教育の場で自分と政治との関わりを考える場をいかにつくるかだろう。多様な人が政治の場に登場できるような仕組みも必要だ」と語る。
 
 若者の低投票率が続けば政治に若者の意見が反映されにくい状況となっても文句は言えない。若者に政治に参加する意識を持ってほしい。投票も立派な政治参加だ。1人でも多くの若者が投票し、その声を政治に反映させてほしい。
 
 投票率向上に向けて、さまざまな試みが行われた。14日は「統一啓発デー」として、県内一斉に街頭啓発を実施。県選管はイオンモールつくば(つくば市)で大学生などとキャンペーンを行った。選挙実務を担う市町村選管は大型ショッピングセンターや駅前に期日前投票所を設置するなど工夫も凝らした。今回から北茨城、高萩、神栖各市は車を活用した移動型期日前投票所を導入し、有権者の元に投票所が出向く試みを始めた。
 
 各選管ともあの手この手で若者に投票を呼び掛けているが、大切なのは、若者が主体的に選挙の重要性を理解し、投票することである。一票一票が政治を大きく変えることもできるのだということを知ってほしい。
 
 政党側にも要望したい。各党とも若者世代を意識した政策論争を繰り広げてほしい。若者の支持があってこそ政党の未来もあるのだということを忘れないでほしい。