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Ontology早見一覧データ | |
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通貨名 | オントロジー/Ontology |
通貨略号/ティッカー | ONT |
規格 | 前:NEP-5(NEO規格) 現:独自ブロックチェーン上で稼働中 |
ICO価格 | オントロジー (Ontology)はICO行わず、NEO保持者等にエアドロップ |
価格 | 1.85USD / 1ONT (2018年9月現在) |
特徴 | パブリックチェーン(非公開) |
コンセンサスアルゴリズム | VBFT |
創業者 | Jun Li |
開始日 | 2017年11月27日 |
本拠地 | シンガポール(前・上海) |
発行数 | 207,016,949 ONT |
発行上限数 | 10億 ONTOLOGY |
ホワイトペーパー | オントロジー(Ontology)ホワイトペーパー |
1. オントロジー(Ontology)とは?
出典:https://cryptobriefing.com/
オントロジー(Ontology)とは、ONTという仮想通貨ならびに、「デジタルIDの取得」「個人情報の保護」「デジタル資産の運用と保管」用途にフォーカスした、「クロスチェーン」機能を兼ね備えた分散型プライベートブロックチェーンのプラットフォームです。
仮想通貨としてのオントロジー(Ontology)だけでなく、独自のスマートコントラクトやコンセンサスアルゴリズムを持ち、プライベートチェーン(非公開チェーン)にフォーカスすることにより競合他社と差別化を図っています。
”中国のイーサリアム”と呼ばれる「NEO」を開発するOnChain社がオントロジーも開発しています。
2. 仮想通貨ONT (オントロジー)の価格チャート
仮想通貨ONT(オントロジー)のマーケット価格は、ランキング中29位(2018.07.17現在)から27位(2018.09.25現在)と、とても高い位置につけ、順調にランキングを登っていいます。
バイナンスに上場し、知名度とともに価格も2倍に上昇。その後は価格が伸びることなく、2018年7月には「1ONT = 400円」へと下落。
メインネットワークの「Ontology 1.0 Ver.」を発表するも、価格変動に影響はみられず、価格は現在まで緩やかに下がってきています。
3. オントロジー(Ontology)の特徴
上記で大まかにオントロジーについて説明しましたが、より細かく、オントロジーが目指す立ち位置やサービスについて知って行きましょう。
3.1 オントロジー(Ontology)の歴史
オントロジー(Ontology)は、2018年3月に「NEO」(ネオ)というアルトコインの所有者とオントロジーのメールマガジン購読者に対して、仮想通貨:ONT(オントロジー)としてエアドロップ(無料で配布)されたのが始まりです。
「NEO」は、エリック・チャン(Erik Zhang)とダ・ホンフェイ(Da HongFei)により創設され、中国のイーサリアムと題されるほど有名で、「DBFT(Delegated Byzantine Fault Tolerant / マイニング代表者選出型&ビザンチン耐性型)」と呼ばれるコンセンサスアルゴリズムを有しており世界的な知名度を有する仮想通貨です。
そんなNEOの保有者とオントロジーのメールマガジン購読者に、1.0NEOあたり0.1ONTが配られたのが始まりであり、ICOは実施していません。その後更に、1NEOあたり0.1ONTがメインネットが正式発表になると同時に配られました(2018.06.30)。テクニカルコミュニティへの報酬用として用意された10%のONTトークンはOnechain社へ割り当てられています。
以前、ONTトークンは、NEOの「NEP-5」規格の仮想通貨でした。オントロジー(Ontology)独自のメインネットに移行するまではNEOのブロック上で管理されていた「NEP-5トークン」でしたが、メインネット 1.0 への移行に伴って、独自ブロックチェーン規格の仮想通貨に移行しました。
メインネットに移行した後、ONTとOntology Gas (ONG)の2種類の仮想通貨を使用しており、Ontology Gas (ONG)はイーサリアムのガス(GAS)トークンと同様に、手数料としてOntologyブロックチェーンシステム内で機能します。
3.2 オントロジー(Ontology)の目標
オントロジー(Ontology)の目標は、「信用」に関する情報をデジタル化し、分散管理・保存できる環境を構築することです。例えば、「個人のID」を国家ではなく、ID保持者同士で発行・管理しあったり、「保険」を保険会社からではなく、保険契約者同士で手続き・管理したりすることが可能な世の中の実現に向けて活動しています。
言い換えると、中央で支配的な立場にある機関や団体、会社等にサービスや個人情報に関する権利を全て委ねるのではなく、本当の意味での「平等な社会」の仕組みを作り上げようとしているのです。
例えば、現在の企業や行政機関等の「中央集権組織」は、私たちの個人情報を集め、有益な情報を取り出し、悪質な場合にはその情報を売却することで利益を得ています。
そのような支配的な地位にある集権的な組織がハッカーからの攻撃を受けると、大量に我々の個人情報が盗まれてしまう可能性もあります。
今後、IoTが普及するにつれ、サービス提供者が我々利用者から集める情報の量は飛躍的に増加し、我々に関するありとあらゆる情報が企業に集約され、ハッカーからの脅威に常に晒され可能性があります。さらに言えば、集権組織内は我々の情報をいつでも簡単に書き換えることが可能な立場にいます。
利便性を鑑みながら選択を行う必要はありますが、こういった現状を踏まえると、個人情報を分散的に管理・保存できる環境の構築と、データ所有権の帰属先のユーザー回帰はとても重要な課題であり、この課題に正面から向き合い解決しようとしているのがオントロジー(Ontology)をはじめとしたブロックチェーン企業なのです。
3.3. オントロジー(Ontology)とNEOの関係性
上記で示した通り、オントロジー(Ontology)はNEOを開発・運営する「Onchain社」が開発しています。
現在、オントロジー(Ontology)とNEOは別々に運営されていますが、お互い有益なテストデータを集約した後に合併する可能性があると言われています。
実際にオントロジー(Ontology)とNEOはNeoVM(ネオ仮想マシーン)とNeoContract(NEOのスマートコントラクトならびにDapp開発キット)を共同開発すると公言しており、両者の関係性は今後ますます深まると見込まれます。
3.3.1 オントロジー(Ontology)とNEOの違いとは?
出典:https://medium.com/pikciochain/
では具体的にOnchain社は、何を目的にオントロジー(Ontology)というプロジェクトを始めたのでしょうか?NEOとの決定的な違いとは何なのでしょうか?
まずオントロジー(Ontology)のメインターゲットは、パブリックブロックチェーン(以降、パブリックチェーン)を使いたくないビジネスオーナーです。パブリックチェーンとは、ブロックチェーン自体の支配的な立場にある所有者が存在せず、誰でもブロックを組めたり、ブロックチェーン上の情報(※暗号化された情報は暗号文として)を確認できる公開型のチェーンです。
パブリックチェーンは透明性や平等性に特化した構造ですが、その中には、
- ブロックチェーン自体を自身で所有したい
- ブロックチェーンのコンセンサスアルゴリズムをアレンジしたい
- ブロックを組める人を自分で決定したい
- ブロックチェーン上に書き込まれた情報を非公開にしたい
- 社内に複数の異なる機能を持つプライベートなブロックチェーンを導入したい
と考えるビジネスオーナーも少なくありません。オントロジー(Ontology)はこういった細かい需要にも応えられるようなツールを提供し、ブロックチェーンの導入増・利活用の拡大を目指しています。。
オントロジー(Ontology)は特に以下のサービスを展開する企業・団体に利用されることを目指し活動しています:
- 資産運用(誰がどの資産を保有しているのか)
- 著作権の保護(誰が著作権を保有しているのか)
- 個人ID (誰がどの個人IDを所有しているのか)
- 保険(誰がどの保険に加入しているのか)
- IoT(どの機械がどの個別IDを保有しているのか)
- 政治(分散型の評価機関:誰が誰をどう評価しているのか)
これらのサービスに共通する特徴は、
- 「誰が何をどれぐらい所有・使用しているのか」という情報を一括管理できる
- データが一切改ざんできない
という2つの機能と性質を有するツールが必要不可欠であり、まさにオントロジー(Ontology)がそのツールとして利用されることを目指しているのです。
オントロジー(Ontology)は自身を「信用経済の基盤」と位置づけており、NEOの掲げる「スマート経済の基盤」とは少し異なり、「物」「資産」「権利」「情報」「評価」それぞれの所有権を一般・非公開に証明できるツールになりたいのです。
3.4. オントロジーのコンセンサスアルゴリズム「VBFT」とは?
出典:https://medium.com/ontologynetwork/
オントロジー(Ontology) / OCE(Ontology Consensus Engine)の中核となるコンセンサスアルゴリズムは「VBFT」(Verifiable-random-function Byzantine Fault Tolerance / ランダム関数付きビザンチン障害耐性型)と呼ばれているものです。
オントロジー(Ontology)が開発したVBFTアルゴリズムは、
- PoS(プルーフ・オブ・ステーク/代表者に各トランザクションを承認してもらう)
- VRF(Verifiable Random Function/検証済みランダム関数)
- BFT(ビザンチン・フォルト・トレランス・アルゴリズム / ビザンチン障害耐性)
の3つを組み合わせた新しいコンセンサスアルゴリズムです。
VBFTは、特にコンセンサスグループのスケーラビリティを解決することを目的にデザインされており、オントロジーのブロックチェーンネットワークの性能を大幅に向上させています。
3.5. オントロジー(Ontology)のブロック構築&承認プロセス
では実際にオントロジー(Ontology)内ではどのようにトランザクション承認・ブロック作成しているのでしょうか?
まず初めに、VBFTコンセンサスアルゴリズムを機能させるため、オントロジー(Ontology)は全ノード(ユーザー)を3つのグループに分けており、「トリオンズ・コンセンサス・グループ」と呼んでいます。
トリオンズ・コンセンサス・グループをうまく配置・使用することにより、オープンで調和性の高い、安全な分散型信用エコシステムを構築しているのです。
- ブロック検証ノード(Candidate Node Group)
- ブロック提案ノード(Node Group)
- 一般ノード/投票ノード(Dynamic Participator Node Group)
この3種類のノードを、VRF (Verifiable Random Function)の「ランダムに」と「公平性」を加味して選びます。毎ブロックごとに、VRFが全ノードをそれぞれの役割にランダムに分けてから、承認とブロック組み上げプロセスが始まります。
またブロック提案ノード数とブロック検証ノード数の比率は、「6:1」になるように設定されています。
以下はオントロジー(Ontology)におけるブロック承認ステップの詳細です:
- 「ブロック提案ノード」がVRFに従ってランダムに選ばれる。
- 各ブロック提案ノードは独自に手数料(ONG)が高いトランザクション候補順に並べて、その回のトランザクションブロックを提案する。
- ブロック提案ノードの1/6の数の「ブロック検証ノード」がVRFに従ってランダムに選ばれる。
- 各ブロック検証ノードは、ブロック提案ノードから提案されたブロック群を収集し、それら全てを検証し、最も優れたブロック(もっとも合計手数料ONGが高いブロック)に投票する。
- ブロック検証ノードの投票がもっとも多かったブロックをブロックチェーンに加える。
- 一般ノードを含めたすべてのノードは、今回のトランザクション結果を受け取り、自身の台帳に「チェーン」と「ログ」データをそれぞれ書き込む。
- 提案ノードへ50%、検証ノードへ50%の総手数料をそれぞれに公平に分配する。
- 新しいコンセンサスラウンドを開始する。(1〜8の繰り返し)
提案ノードと検証ノードは毎回必ずランダムに入れ替えられ、次にどのノードがどこの担当になるのかVRFのおかげで誰も予測できないようになっています。そのため、ハッキング耐性も高く安全にブロックを組んでいくことが可能です。
上記のようなステップでブロックが組み上がる際、オントロジーメインネット1.0のトランザクションスピードは約5,000回/秒であり、オントロジーメインネット2.0になれば、8000〜1万回/秒ほどになるとOnchain社は公言しています。
3.6. オントロジー(Ontology)のクロスチェーン技術とは?
出典:https://twitter.com/ByteSizeCapital/
オントロジー(Ontology)が企業や団体に提供するブロックチェーンは主に「プライベートブロックチェーン(以降、プライベートチェーンと称します)」です。
プライベートチェーンとは、上記で説明したように、限定された機関や個人のみが分散台帳(パブリック・レジャー)上の情報にアクセスできたり、承認作業をすることができるブロックチェーンのことです。
プライベートチェーンごとにコンセンサスアルゴリズムを変更したり、承認者(バリデーター)を決めることができるため、社内で異なるサービス毎や部署ごとにプライベートチェーンを設けて分散型アプリケーションを運営したい、などの多様なニーズにに応えることが出来ます。
各チェーンが各々に保存されているデータを相互にやり取りできるインターオペラビリティを完備したブロックチェーンプラットフォームは他に存在せず(※2018年11月にイーサリアムとEOSがクロスチェーンでのアセットの交換に対応しました)、多くのブロックチェーンプラットフォームが開発を急いでいます。そんな中、オントロジー(Ontology)にはすでに「クロスチェーン」というそれぞれのブロックチェーンがチェーンを跨いでデータを交換できる機能がプロジェクト始動当初からデザイン・搭載されています。
そのためオントロジー(Ontology)で作成したあらゆるプライベートチェーン同士でチェーン内のデータを要求・受信・送金等することが可能です。通貨だけでなく情報もやり取りできるのは、クロスチェーン機能が各プライベートチェーンの最下層「オントロジーネットワークチェーン」層というところに組み込まれているためです。
出典:https://twitter.com/ByteSizeCapital/
またオントロジー(Ontology)のブロックチェーンはNEOのメインパブリックチェーンとも互換性があるため、オントロジー(Ontology)のプライベートチェーン内のデータを一般公開したい場合には、NEOのパブリックチェーンからオントロジー(Ontology)のプライベートチェーンへアクセスし、情報を取得・公開することも可能です。
このようにクロスチェーン技術はプライベートチェーンを数多く保有・管理する際にとても重宝する技術であり、企業や個人がオントロジー(Ontology)を選ぶ大きな理由の一つになります。
3.7. スマートコントラクトを発動させる仮想マシーンの種類
出典:https://github.com/ontio/ontology-smartcontract
スマートコントラクトとは、ブロックチェーン上に書き込まれた情報がある条件を満たしたら、自動的にある動作をするという機能のことを言います。
オントロジーの場合、ブロックチェーンの情報を常に監視する「インタラクティブサービス」と、条件や動作を自動的に命令してくれる「仮想マシーン」という2つの機能が無いと複雑なスマートコントラクトは実行できません。ブロックチェーンだけでは本当に簡易なスマートコントラクトしか動かすことが出来ないのです。
「スマートコントラクト・レイヤー・ディスパッチ・センター(Smart Contract Layer Dispatch Center)」内で「インターラクティブサービス」、「ブロックチェーン上の情報の監視」、さらには実際にどの仮想マシーンを使うかという判断が全てここで行われます。
そして、オントロジーには3つの異なるタイプの仮想マシーンが存在し、1つは「簡単なコントラクトを実行」し、2つ目は「より信頼性の高いスマートコントラクトを提供」し、3つ目は「さらに複雑で高速なスマートコントラクトを提供」します。
その3つの仮想マシーンとは:
Native Contract (ネイティブコントラクト)は、ブロックチェーン内だけで完結する特別なスマートコントラクトを実行します。とても簡単な内容しか行うことは出来ませんが、高速です。
NeoVM(ネオ仮想マシーン)はNEOでは既に使われている仮想マシーンです。NEOのパブリックチェーンで動作が検証されています。軽量型のネオ仮想マシーンのAPIを使って、オントロジーのブロックチェーンから交信できるように設計されています。スケーラビリティ問題にも対応したした信頼性の高い仮想マシーンを使いたい場合に推奨されます。Java、C#、およびPython言語で使用することができます。
Ontology WasmVM(オントロジーウェブアセンブリー仮想マシーン)は、ウェブアセンブリー(WebAssembly)という、C言語やC++言語をWebブラウザ上でバイナリーフォーマット(二進法)に変換してくれるプログラミング言語で、他言語(現在はC, C++, Rustのみ)で書かれたプログラムをWebブラウザ上で超高速に動してくれる言語です。この言語で書かれたAPIを使って、あらゆるオントロジー専用仮想マシーン(第三者機関が作成したオントロジー仮想マシーンを含む)と高速に接続することができます。最後に、この仮想マシーン自体はGo言語で創られています。
3.8. SmartXで数あるスマートコントラクトを一括管理
上記でご理解して頂けたように、オントロジー(Ontology)のスマートコントラクトはいくつものオプションがあり複雑です。しかし、これらスマートコントラクトを一括管理できるツールが提供されています。そのツールは「SmartX」と言います。
SmartXは、オントロジーが提供するスマートコントラクトのコンパイラ・デプロイ・呼び出しが可能なワンストップなIDE(Integrated Development Environment/統合開発環境)です。
たくさんのスマートコントラクトのテンプレートとコンパイラが用意してあり、ユーザーが簡単にオントロジーのスマートコントラクトを自身のウェブサイトやビジネスに反映できるようになっています。
さらにSmartXを通して、まだ存在しないスマートコントラクトの仕様やコンパイラを、オントロジーのSmartXコミュニティに開発を委託することも可能です。また、スマートコントラクト開発者は、SmartXを軸に、世界中のOntologyの一般開発者と協力してスマートコントラクトを作成することもできます。
将来的にSmartXは、「GitHub」のように、あらゆる分散型ソフトウェアプロジェクトの開発プラットフォームとして機能するようになります。 世界中からのスマートコントラクト開発に参加したり、自身のプロジェクトを共有・サポートの要求を行ったり、Ontologyから、経済的なインセンティブ付きのプロジェクトに参加することができます。実際に、10%のONTトークンはOnchain社が保有しており、オントロジー開発&投資費としてのみ割り当てられており、オントロジーバウンティプログラム(Ontology Bounty Program)の報酬としても使用されています。
さらに2018年上旬にオントロジーは、NEOによって創設された「オープン・ブロックチェーン・財団(Open Blockchain Foundation)」に参加したことによりブロックチェーンに関連する最先端の技術のテストを大学や研究機関と共同で行なっています。
3.9. オントロジー(Ontology)のスマートコントラクト機能
オントロジー(Ontology)のスマートコントラクトは複数のプログラミング言語をサポートしています。
- C#
- VB.Net
- F#
- Python
- Java
- Kotlin
- C
- C++
- Rust
- Go
- JavaScript
また、オントロジー(Ontology)のスマートコントラクトを実際に使って、以下の機能を実現することが出来ます:
3.9.1. オラクル (Oracle)
ブロックチェーンシステム外の信用できるデータセットにアクセスし、その情報を使ってスマートコントラクトを発動させることができる機能です。例えばサッカーの試合の結果に基づいてスマートコントラクトを稼働させる等、外部データにスマートコントラクトを紐付ける際に必要な機能です。
3.9.2. オントロジーDID(ONT ID)の検証可能な注文プロトコル
オントロジーDID (ONT ID)は分散型のIDです。「個人」の他にも、「組織」「物」「コンテンツ」など、あらゆる固有の物に対して分散型IDを提供します。こういった各エンティティがオントロジーIDを所有していると、以下のことが国家や企業などの集権的な組織の存在無しに可能になります:
- 所有権の確認
誰がどの「人材」「組織」「物」「コンテンツ」を所有しているのか証明できる - データ使用の承認
所有者に対して、所有物に関するデータの使用許可発行の依頼・認証ができる
例えば、ONT IDで承認された携帯電話の持ち主は、自身が所有している携帯電話内にある情報をGoogleなどの企業に集められたり、無断で使用・売買される心配が無くなります。その代わりに、企業などのデータが欲しい団体が、あなたの情報へのアクセスの許可を都度申請し、時には情報の持ち主から購入しなければいけなくなります。
オントロジー内の情報の開示リクエストを個人等に送れるオントロジー公認企業・団体・政府機関(トラスト・アンカー)は限られています。オントロジー公認になるにはこちらより直接申請してください。
実際にブロックチェーン上にある暗号化されたデータを開示して欲しい時、以下のステップを踏むことで個人データの内容を開示してもらうことが出来ます:
- 情報要求者(Claim Issuer:Ontologyに認められた企業・団体・政府機関のみ)は情報所有者(Recipient)に対して、「情報の開示」の要求メッセージを送る。
- 情報所有者はオントロジーDIDアプリを起動。「情報の開示」要求を「了承」し、自身のオントロジーIDとデジタル署名した「リクエスト」を自身のパブリックキー付きで情報要求者に送り返す。
- 情報要求者は、送り返された「リクエスト」にデジタル署名し、情報所有者と情報要求者双方がデジタル署名した「リクエスト」のハッシュ値をブロックチェーンに書き込む。
- 再度、情報要求者は双方がデジタル署名した「リクエスト」を情報所有者へ送る。
- 双方からデジタル署名された「リクエスト」を情報所有者は「リクエスト承認者(Claim Verifier)」へ送る
- リクエスト承認者は「リクエスト」が適切にブロックチェーンに書き込まれているか確認し、リクエストを承認する。
3.9.3. オントロジー分散データ交換フレームワーク(ONT DDXF)
出典:https://github.com/ontio/ontology-ddxf
オントロジー分散データ交換フレームワーク(ONT DDXF – ONT Distributed data exchange framework)を利用することで、あなた個人のデータを売買することも出来ます。
以下のステップにより、あなたのデータを国家、企業、団体などに売ることが出来ます:
- すべての取引参加者がONT IDを取得する
- データ取引の要求の前に、「情報要求者」はまず指定の契約アドレスに資金を入金する
- 情報要求者は、オントロジーのブロックチェーンを介して情報保持者にデータトランザクションのリクエスト(トランザクション情報、ONT ID情報を含む)を送信する
- 3.と同時に、XSC(データ・エクスチェンジ・スマート・コントラクト)の資金ロックコマンドが呼び出され、契約アドレス内の資金をロックする
- データトランザクションのリクエストを受信した後、情報提供者は「ユーザーエージェント」にアクセスし、「許可リクエスト」を送信する
- ユーザエージェントは、オントロジーを介して情報提供者のIDとプライバシーポリシー設定を確認し、開示許可のあるデータを集める
- 情報提供者は、情報要求者によって作成された非対称鍵アルゴリズムに従って、ワンタイムセッション鍵を生成・使用して個人データを暗号化し、暗号文を中間記憶システム(IPFS)に送信する
- XSC(データ・エクスチェンジ・スマート・コントラクト)は、コントラクトルールに乗っ取って、資金をリリース、決済と利益配分を行う
- データトークン(D.Token)が、資金リリーストリガーを機にプッシュされ、情報要求者に送信される
- スマートコントラクトの業務終了通知を受信した後、情報要求者はデータトークン(D.Token)と引き換えに中間記憶システム(IPFS)から暗号文を取得、それをワンタイムセッション鍵で解読する
情報売買のステップは以上です。
要するに情報提供者は情報要求者にデータトークンを買ってもらい、データをIPFSにロックし、そのトークンで開示してもらうといった「アトミックスワップ」的取引により、安全な個人データ売買を可能にしています。
3.10. ONTOの機能
出典:https://medium.com/ontologynetwork
オントロジー(Ontology)のONTO(オント)とは一般ユーザー向けのスマートフォン専用ツール(iOS, Android)であり、基本的なオントロジーの機能を使う際に必要です。
具体的には以下のような機能が含まれています:
- 統合クライアント(デジタルID管理、デジタル資産管理、エンティティID管理、個人データの取引)
- ブロックチェーン内検索エンジン(ブロックチェーンエクスプローラー)
- ブロックチェーンシステムへのエントリツール
スマホ上でオントロジーブロックチェーン内の自身のIDなどを確認・更新する場合などにとても便利なツールです。
3.11. オントロジー(Ontology)が提供する開発者専用ツール「CLI」「SDK」
オントロジー(Ontology)のデータ管理、資金管理、ブロックチェーンへのアクセスなどを開発自身や第三者サイトから可能にする際に便利なツールが用意されています:
ハッカーのようにコマンドだけでオントロジーを操作できるツール。ノードの起動・管理、ユーザーウォレットの管理、トランザクションの送信、およびスマートコントラクトの呼び出しなどが可能。
開発者が様々な言語(Java, TypeScript, Python, Golang)でオントロジー上で作業できるようにするために多くのSDKを提供しています。これらSDKには、「暗号化アルゴリズム」「RPC」「Websocket」などがあり、アプリケーションとブロックチェーンとの重要な橋渡しをしています。
3.12. Punica Suite(プニカスイート):オントロジー(Ontology)の分散型アプリ開発ツールとは?
出典:https://medium.com/ontologynetwork
オントロジー(Ontology)の分散型アプリ開発フレームワークの「プニカスイート(Punica Suite)」が2018年11月7日に発表されました。
プニカスイート(Punica Suite)は、Ontologyのブロックチェーン上に分散型アプリを作成するためのオープンソース開発ツールです。
基本的に以下の機能が搭載されており、デベロッパーが分散型アプリ開発をスムーズに進められるようにデザインされています:
1. Punica CLI(プニカ・コマンドラインインターフェイス)
「Python」と「TypeScript」両方のプログラミング言語に対応しており、Punica Suiteをコマンド画面のみで以下の操作できる機能:
- スマートコントラクトの「展開」や「呼び出し」等アクション
- 分散型アプリ(Dapps)のテンプレートをインストール
- スマートコントラクトのパッケージを一括管理
- ウォレットの管理
出典:http://punica.ont.io/docs/punica/
2.Solo Chain (ソロチェーン)
テストノードとして「ユーザーインターフェイス」を閲覧できる機能。さらに:
- 各ブロック情報、トランザクション、コントラクト、プッシュ、履歴、その他の情報をリアルタイムで閲覧
- SmartX用・Cyano Wallet用アカウントを自動的に作成
出典:http://punica.ont.io/docs/soloChain/
3. Punica-Box(プニカボックス)
オントロジー分散型アプリ(Dapps)のテンプレート一覧
出典:http://punica.ont.io/docs/punicaBox/
4.分散型アプリ(Dapps)チュートリアル
オントロジー分散型アプリ作成の見本・チュートリアルを提供。
出典:http://punica.ont.io/docs/soloChain/
デベロッパーの皆さんは、ぜひこれらPunica Suite(プニカスイート)の機能を最大限に引き出し、オントロジーブロックチェーン上で分散型アプリ開発を行ってみてください!
3.13. 手数料ONG(オントロジーガス)とは?
出典:https://medium.com/ontologynetwork
オントロジー(Ontology)の場合、イーサリアムと同じようにONTを送金する場合(トランザクションの認証をノードにお願いする場合)少額の手数料「Gasトークン」を払わなければいけません。オントロジーのガスはONG(オントロジーガス)といい、ONT(オントロジートークン)とは別ものです。
ONGもONTと同様にUpbitやBiboxなどの仮想通貨取引所で売買することが可能です。
また、ONGはオントロジーの公式ウォレット「OWallet」や、「O3ウォレット」、「バイナンス取引所」でONTを保管しておくと不定期にエアドロップされます。
3.14. オントロジーの高いセキュリティ
出典:https://medium.com/ontologynetwork
オントロジーはセキュリティ面でも、他のブロックチェーンプラットフォームより熱心です。
最近では、オントロジーは高いセキュリティ実現のため、CertiK、NCC Group、Baimaohuiなどのオンラインセキュリティ会社と提携し、オントロジーの安全を強固なものにしています。
CertiKはその技術を生かし、独自でトークンも発行している企業です。
4. オントロジー(Ontology)を購入可能なオススメ取引所Top5
こちらに海外のONT取引高Top 5取引所をまとめました(2018.11.11現在、国内取引所ではOntologyは購入できません)。
やはり中国の投資家が多いのか、圧倒的にバイナンスで取引され、他の取引所もアジア系の取引所が多く見受けられます。
5. オントロジー(Ontology)の将来性
今後のオントロジー(Ontology)の展望はどうなるのでしょうか?今まで彼らが実際に成し遂げてきたこと、さらにはロードマップ等をこちらで確認して見ましょう。
5.1. オントロジー(Ontology)のロードマップ
オントロジーのロードマップは2つのフォーカスに分けて書かれています。その2つとは:
出典:https://medium.com/ontologynetwork
- 実際のブロックチェーン機能向上に重きを向けた計画案
- ユーザーが信用・権利のやり取りをできる環境を構築することに重きを向けた計画案
です。
以下に示すのは、オントロジー(Ontology)の2020年までの各ロードマップ詳細です:
- 2018年第二四半期:
- メインネットのリリース
- Wasmのサポート開始
- VBFTコンセンサスアルゴリズムを始動
- 平行トランザクション認証を始動
- クロスチェーンの概念実証
- プライベートキーのリカバリー方法構築
- 平行トランザクションを始動
- チェーンネットワークの概念実証(PoC)
- シャーディング機能導入(トランザクションの検証作業をノード群ごとに分担して作業を並列化し高速にする)
- パフォーマンスのチューニング
- 未定
- 未定
2018年第三四半期:
2018年第四四半期:
2019年:
2020年:
- 2018年第二四半期:
- ONT IDをリリース
- 分散型IDプロトコルをリリース
- 検証可能な情報要求プロトコルをリリース
- ONTOアプリのリリース
- 分散型データ取引所の基盤の構築・リリース
- 分散型評価機関の基盤の構築・リリース
- 分散型デジタル署名サービスの構築・リリース
- 第一次、トラスト・アンカー発表
- オントロジーの信用検索エンジンをリリース
- 分散型データ取引所の完成
- 第二次、トラスト・アンカー発表
- 分散型信用アプリ設計のサポート
- さらなる仮想通貨のアルゴリズムをサポート
- 分散型コミュニティの基盤の構築・リリース
- 分散型信用共同開発プラットフォームの構築・リリース
- 分散型金融サービスのリリース
- 分散型信用アプリ設計のサポート
- デジタル信用エコシステムプラットフォームの世界一になる
2018年第三四半期:
2018年第四四半期:
2019年第一四半期:
2020年:
おおむね計画通りにOnchain社はオントロジーの開発を進めており、今後もロードマップ通りにプロジェクトが進行して行くだろうと予想されます。
5.2. 最新情報:オントロジー(Ontology)1.0が正式にローンチ
出典:https://medium.com/ontologynetwork
ロードマップに書かれていたように2018年6月30日には、オントロジーが前から公言していたメインネットワーク「オントロジー1.0」が発表されました。
オントロジー1.0では、
- 分散台帳とスマートコントラクトが入ったパブリックチェーン
- 各別々のパブリックチェーンの交信が可能
- 分散型身分証明
- 分散型データ管理
- 分散型信用評価
これら機能が追加されています。
オントロジーの1番の強みである、高性能なカスタマイズ可能ブロックチェーンフレームワークに、これら上記の機能が付け加わることにより、一層ユーザーに支持されるプラットフォームになると思われます。
これらの機能をうまく使えば、ユーザーは、国や企業や友人の元にある自分の情報をオントロジープラットフォーム上で一括管理できるようになります。
又、保険会社や国に病名などを知られずに、薬を薬局から処方してもらうことなども可能になり、ますます便利で安全な世の中が実現されます。
他にも、難民が手持ちで自国IDを持っていなくても、オントロジーの分散型身分証明機能を使えば、DNAや光彩パターンをオンラインIDと絡めて、世界中で認められるオンラインIDを持つことも可能になります。(コンサルタント企業のアクセンチュアも「ソベリン」というブロックチェーンシステムを使い、この問題に立ち向かっています。)
本当の意味で、公平に個人情報というものを捉えられる時代が到来しつつあるのです。
5.3. オントロジー(Ontology)の代表的な分散型アプリ(Dapps)リスト
出典:http://points.org/index.html
5.4. オントロジー(Ontology)の提携企業先
信用エコシステムのインフラ基盤になろうとしているオントロジーはブロックチェーンの開発機関「HyperLedger 」に参加し、IBMともブロックチェーン技術を共同開発しています。
さらに信用や金融のみならず、広告や保険などの他分野の産業まで手を伸ばしています。
最近では、オントロジーと他業界の企業との提携が盛んに行われているのが目立ちます。 例えば、
等の企業と提携をすでに発表しています。
今回のオントロジー1.0が発表され、さらに多くの企業がオントロジーエコシステムに参入しやすくなり、今後もますます業界の垣根を超えて提携企業が増えそうです。
又、「セコイア・キャピタル」、「ジェン・ファンド」、「ダンファ・キャピタル」など多くの大手ベンチャーキャピタル/投資元とも提携を発表しており、共同でパブリックブロックチェーンや分散型エコシステムのアプリケーション開発を進めると公言しています。
次々に新しいサービスを展開し提携、資本金獲得も問題なく進めているオントロジー、攻守ともに完璧なオントロジーの将来性はかなり高いでしょう。
オントロジー(Ontology)の今後の活躍も楽しみです。
6. まとめ
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参考ソース
https://medium.com/ontologynetwork
https://ontio.github.io
https://info.ont.io/view-point
https://news.biglobe.ne.jp
https://www.prnewswire.com
https://ambcrypto.com
https://medium.com/ontologynetwork
https://medium.com/ontologynetwork
取引が開始された日にすでに「1ONT = 138円」と高値がつき、NEOの影響力の大きさを伺うことができます。