ISIL-イスラム国(イスラム教スンニ派過激組織)


イスラーム過激派
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イスラム過激派またはイスラーム過激派とは、自分たちの理想を「イスラーム」により理論化し、そのような社会の実現を図るために
     武力・暴力の使用を容認する戦闘的な組織を総称する用語である。こうした組織は、非支持者の側から見ればイスラームの名を使用して主張を
     実現するために「犯罪テロ」を行う過激派(extremist)とみなされることになる。この中にはサラフィー・ジハード主義を掲げるアルカーイダ系の
     組織なども含めるのが普通である。なお、95%以上がスンナ派ハンバリー法学派の信徒で占められている[1][注 1]
  最近では[いつ?]イスラーム過激派に対して、ジハード主義(Jihadism)あるいはジハード主義者(Jihadist)という言葉を海外メディアがよく使用している[2][3][4]
     また日本のメディアでも、例えば時事通信が「ジハーディスト(聖戦主義者)」という表現を用いている[5]。なお、ジハードの語源は「苦闘・抗争努力
     であり、1880年頃から「あらゆる種類の教義的な聖戦運動」を指す語になった[6]
特色
  イスラーム過激派は、伝統的にはイスラームの理想とする国家・社会のあり方を政治的・社会的に実現しようとする運動であるイスラーム主義の中から
     生まれ、現代社会の中でイスラーム的な理想の実現にとって障害となっているものを暴力によって排除しようとする人々のことである。
     エジプトムスリム同胞団の理論家であったサイイド・クトゥブ(Sayyid Qutb)の「イスラム教国世俗化・西洋化・共産化を志向する指導者が統治し
     腐敗と圧制が蔓延する現世は、イスラム教成立以前のジャーヒリーヤ(無明時代)と同じであり、武力(暴力)を用いてでもジハードにより真の
     イスラム国家の建設を目指さなければならない」とするクトゥブ主義(Qutbism)がイスラーム過激派の行動の原点となっている。
  冷戦終結により共産主義を志向したソビエト連邦が消滅した結果、現在のイスラーム過激派の主たる排除対象となっているのは、ムスリムの土地を
     占拠するイスラエルや、イスラエルを支持したりイスラム教国で戦争を行うアメリカ合衆国を初めとする欧米諸国や、これらと結んだり妥協したり
     イスラム教の世俗化を志向する「背教者」と認定されたムスリム政権である。一切の世俗的な価値観を認めない急進的な
     イスラム主義(イスラム原理主義、イスラム過激派)は、世俗的な価値観と妥協して国家の発展を目指すムスリムの政権にとっても危険であり、
     特にクトゥブ主義の発祥の地であるエジプトでは歴代政権によりイスラーム過激派に対して法的根拠のない拷問や処刑等の苛烈な弾圧が加えられ、
     その度に世界各地に過激派が拡散し先鋭化する悪循環を繰り返している。
  彼らは、個々人が結合した団体を組織するが、最近の[いつ?]傾向として「草の根テロリズム」という言葉が使われるように、プロデューサーディレクター
     テクニカルアシスタント、リクルーターソルジャーなどの役割ごとのゆるやかなネットワークで結ばれた人々からなっていると分析されており、
     こうした人々は中東のイスラーム社会のみならず、欧米まで含めた世界中に存在するムスリムの中に溶け込んで活動していると考えられている。
     現在、ムスリムの社会の間では、個々人や地域によって程度の多少はあるものの、反アメリカ、反シオニズム反ユダヤ主義とは必ずしもイコールでは
     ない)などの漠然とした感情があるとされ、分析者たちは過激派はこうした感情を背景に居住地域に浸透していると見ている。
  最近では[いつ?]、ヨーロッパに住んでいたキリスト教徒のヨーロッパ人が、改宗してイスラーム過激派に参入するというケースも少なくない[18]
     ドイツ連邦憲法擁護庁によると、ドイツ人・ドイツ移民合わせて約250人が、海外のテロリストキャンプで軍事訓練を受け、その一部はドイツに
     戻っているという[18]
  イスラム過激派を詳しく見ていくと、近代化した国を中心としたものと近代化していない国を中心としたものとに分けることができる。前者はインターネット
     などの通信手段を自らの思想を広めるため積極的に用いるのに対し、後者はターリバーンのように『西洋』由来のものを否定的に捉える傾向がある。
     ただし、ターリバーンは政権掌握時にラジオを唯一のメディアとして活用しており、処刑に拳銃を用いていた。
原因または背景
マレック・チーベルフランス語版によると、民衆の悲哀とエリートの堕落への、社会的抗議の状況におけるテロリズムそのものがイスラムの国家統治の失敗を
     もたらす。[29]。《金持ちがぼろを着たろくでなしの単なる報復として乱暴にこの現象を解釈するような、イデオロギー上の闘争において同じのこちらの、
     ものである富める国家の無理解》においてテロリズムは永続する[29]
  社会学者のドミニク・バレ(フランス語:Dominique Baillet)はその原因が経済的、政治的、社会的そして心理的に重なっていることを考える:経済的な面で、
     これは開発途上国の経済のひとつの状況において見られる、イスラム世界のことから考えて、それは南北の不均衡にたいしてそれと同時にもたらされる。
  政治的な面で、それは植民地解放以来の立場における体制での専制的なそして権威的な特徴による圧力であり、それと同時にパレスチナ問題や、
     イラク経済制裁のような未解決の問題についてのことによる圧力である。社会的な面で、それは失業、社会的苦悩、ならびに個人の自由の不存在、
     の増加によって引き起こされる。他の原因は心理的である:失望、より良いひとつの世界の夢、唯物論の拒絶、恨み、欲求不満、感謝の欠如、
     によって陥り易いことはそれをとりわけ与える。[28]
  ドミニク・バレによると、いくらかのイスラム人は屈辱を受けたと意識しているのと同様に堕落させられたと思う、そして後進的な宗教のようにイスラムを考える
     西洋も堕落していると思う。彼によれば屈辱は結果における原因ではない。
 J.ナイリンク(フランス語:J.Neirinck)によれば、そして説教師で神学者のイスラム人のタリク・ラマダンによれば、西側諸国において多神教もしくは
     《金銭、充足、セックス、暴力、騒音、全部の道徳と全部の超越性における、すべての精神性の巧妙なまたは乱暴な否定》の崇拝のひとつの形が宗教の
     否定を形作るのをイスラム教徒たちは見ている。それらのこれがこの意識の周囲に連なるのを認識する。
  哲学者ルネ・ジラールによれば、《テロリズムは私たちの異なったひとつの世界、けれども想像もつかないようさせる、私たち同士の遠く離れたこの違いを
     かきたてるところの、これに束縛する。それは目的への集中そして類似の極度の欲望とは正反対である》。それそのものはそれゆえ《欲求不満の
     人々のひとつの第三世界をめぐる再結集と呼びかけの意思、そして西洋諸国をもって模倣的な敵対関係の彼らの報告における死傷者》において
     仲間を受け入れる。[30]
  テロリズムの原因における複雑さは理解と対話による終結のために込み入った思考フランス語版に解決を求めることが必要である。
  21世紀からは、ひとつの類似の議論での理由において、そしてパレスチナ、ボスニアまたはカシミール地方において不当が多くのイスラム教徒において
     耐え忍ばせることの:正しさを示すところのいかに大きな《原因》であるかの以前における事例としての、グローバルな動きのひとつであるかのように、
     イスラムのテロリズムはしばしば考えられている。それが西洋の国、そして主に伝統的なイスラム教徒の国、とりわけアフリカと中近東において、
     明らかになる。Boko Haram: Inside Nigeria's Unholy Warにおいて、マイク・スミス(フランス語:Mike Smith)によれば、見られるその起源は、
     ソマリアまたはチャドにおけるような、たとえ一般的な注目点をつけ加えても、時代の国家への抵抗での社会における宗教のひとつの手段化
     (フランス語:instrumentalisation)においてそれはしばしば生じる。
  一般のイスラム文化に表現力のあるオリビエ・ロイフランス語版は、グローバルなイスラムにおける2つの要因を強調する:《道徳と国家の決定の優位は、
     新‐原理主義のための周辺のジハードでの手段化だけでなく、一般のウンマ》からの、欠点をおぎなう、中身を与えるためにも》。国家による行政からの
     反対者と(パキスタンカノならびにナイジェリア…などの)シャリアを制度化している、ダゲスタンまたはイスラムのたくさんの首長国から、
     イエメンの南部での、タリバンにおけるものを見分けるものであるこれが、この《イスラモトラバリスム(フランス語:islamotrbalisme)》である。
     [31]2005年において、いかにグローバル化がテロリズムを生んできたかをRetour de flammeにおいて教える、アリ・ライディ(フランス語:Ali Laïdi)
     によれば、テロリズムの10のうちの9近くというものは国家の弱さである、しかしながら逆に《本質的に独裁者によって統治されたイスラム教徒の世界
     においては、イスラムは、暴力活動によって弾圧された、不安定化の要因とならざるをえない》。[32]
  トマ・ピケティパリ同時多発テロ事件について、緊縮財政政策が国家主義的緊張を作りだし、所得格差が中東におけるイスラム過激派のテロリズムを促す
     大きな要素だという見解を示した[33]。 人口の10%にも満たない石油王らの生産量が地域のGDPの60から70%を占めており、地域の発展にお金が
     使われていない。女性や移住労働者を含む大多数は準奴隷同然だとピケティは述べた。そして近年における中東の若年失業率は25%に達する。
     大学卒の失業率はエジプトやヨルダンでは15%を超えている[33]
  オリヴィエ・ロワフランス語版は1995年以降にフランスで活動したテロリストのプロフィールを調査した結果、移民二世がテロリストになった事例が突出して
     多い事実を見いだし、イスラム過激派への入信現象の本質は移民家庭内の世代間闘争であると主張した[34]。ロワは、移民二世は自発的に移民した
     一世より格差や貧困に対する覚悟が足りず、憎悪や復讐心を募らせ、自らのアイデンティティを問わずにはいられない。そういった不安定な状況を
     「宗教的な目覚め」が後押ししてイスラム過激派になる、と推測した。

ニッポン放送より
アメリカが来週にもISの完全制圧を発表へ( http://www.1242.com/lf/articles/157076/?cat=politics_economy&pg=cozy)
トランプ大統領「1週間以内にIS制圧」~アメリカのシリア撤退で混迷する中東情勢
アメリカが来週にもISの完全制圧を発表へ
  アメリカのトランプ大統領は6日、ワシントンでの国際会議で演説し、イスラム過激派組織IS、自称イスラム国が1週間以内にシリア国内の全支配地域
     を失うという見通しを示した。
  飯田)ISとの戦いについて、国務省で開いた有志国連合の閣僚会議で明らかにしたということで、勝利宣言のように見えますが。
  手嶋)大統領選挙を2年後に控えているトランプ大統領は、成果が欲しいですから、「自分がISを打倒した」と高らかに勝利宣言をするのだと思います。
     一般教書演説でも、「朝鮮戦争が避けられたのは自分の力量だ」と言っていました。事実とはかなり違いますが、すべて「良いことは自分の成果」
     だと言うトランプ大統領の一環です。
アメリカが撤退すればさらに情勢が悪化するシリアとイラク
  手嶋)情勢だけを見たら、シリア全体から言うと、ISはかつて3分の1、場合によっては半分近くを制圧していましたから、それを縮ませて打倒されたのは
     まんざら嘘ではありません。ところが、それによってシリアや隣のイラクに平和が訪れたのかと言うと、むしろ逆です。これまではアサド派と反アサド派の
     武装グループとISの三つ巴だったわけです。ISはいなくなるのですが、反アサド派もアサド大統領もアメリカと敵対していますから、残り2つは共に
     アメリカにとって敵対勢力ということになります。反アサド派を見てみますと、その背後にはイラン。この国はアメリカと核合意を巡って厳しく対立をしている。
     更にもう1つ、ロシア。アメリカとロシアは対立をしていますから、全部アメリカと敵対しているところになります。ISが打倒されたということで、
     この地域からアメリカが完全撤退をしてしまうと、ただ単に自分たちはいなくなるということになります。
  単なるシリアの情勢に留まらず、戦後一貫して中東情勢は、石油もありますし重要なところです。日本にとっても重要な中東全体が戦乱のなかで、
     とにもかくにも安定を保って来たのは、超大国アメリカの影響力という部分があります。しかし、アメリカは引き始めている。これを「中東でのアメリカの
     ダンケルク撤退作戦」と呼んでいますが、そのきっかけになって来ます。日本にとっても大変気がかりな動きとなります。
  飯田)反アサド派を推していたクルド人の方々を、アメリカがバックアップしていたと言われています。その人たちはどうなるのか、また一緒に推していたのは
     サウジアラビアだと思いますが、彼らはどうなのですか?手嶋)サウジアラビアも、この点についてはアメリカと連携が取れているかどうかわかりません。い  ままで反アサド派の一部をバックアップしていたということになりますと、この背後には、各地の勢力があって、全体としては本当にグレーです。
     アサド大統領の背後にはロシアとイランがいる。反アサド派ですら定かではないのですから、これは本当に混迷した情勢だということになって来ますね。

東洋経済(https://toyokeizai.net/articles/-/258589)
アメリカを沈ませかねない5つの深刻な危機




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