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三河大島、カワウふん害か 蒲郡、樹木の立ち枯れ広がる

枯れた木々の上空を舞うカワウの群れ=蒲郡市の三河大島で

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 蒲郡市の三河大島で、カワウのふんが原因とみられる樹木の立ち枯れが広がっている。海水浴やバーベキューに訪れる渡船客の目には触れにくい島の南側だが、関係者によると年々その範囲が拡大しており、山肌が崩れるおそれもある。

 三河大島は三谷町財産区が所有する約六・五ヘクタールの無人島。立ち枯れが目立つエリアは、七~八月に運航される定期船が着く渡船場からは反対側にある。

 西浜で売店を営み、家族向けのカヌー体験などで島を一周する機会も多い柘植基成さん(56)の案内で、現地を訪れた。

 ヨットで西側から回り込んでいくと、島を覆う常緑樹の中に、枝がむき出しになった箇所が目につく。南の沖合から眺めると、島の西端から中ほどにかけて標高四十メートルほどの山の所々が枯れて灰色になり、まだら模様に見えた。山頂付近の木々の枝には、無数のカワウ。一斉に飛び立った群れを見ると、少なくとも数百羽はいそうだ。

樹木の立ち枯れが目立つ三河大島の南側=蒲郡市の三河大島で

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 柘植さんによると、二十年前はカワウは目立たなかったが、よそから移ってきて営巣・繁殖するようになったとみられる。海の魚を食べた大量のふんが木を衰弱させ、立ち枯れの範囲が広がってきた。「国定公園の三河大島を守っていかないと。カワウは羽が傷つくのを嫌がるので、木の枝にテグス(釣り糸)を張るなどの対策を考えるべきだ」と危機感を募らせる。

 財産区管理会の小林俊雄会長(73)も「島の南側は風をしのげて暖かく、産卵や子育ての場になっているのだろう。駆除するすべがなく手の打ちようがない」と頭を悩ませている。

 県自然環境課によると、三河大島は二〇〇五~〇九年には県内に約三十カ所あるカワウ調査地点の一つだった。当時、県は千~千三百羽前後の生息を確認したが「(産卵・繁殖する)コロニーは見られない」と判断し、調査を打ち切った。その後の推移は「把握していない」という。

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 カワウは一九七〇年ごろには絶滅が心配されたほどだったが、その後急増して各地でふん害や漁業被害が問題になっている。県内では今も積極的な駆除は行われておらず、日本野鳥の会愛知県支部は「追い払って分散させるのが現実的な対策だろう」と話す。

 滋賀県や山梨県では、アユなどが食べられる被害を重く見て駆除に乗り出したり、巣に偽卵やドライアイスを投入して繁殖を抑えたりする事例がある。

 (木下大資)

 

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