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ポンティック基底面形態の分類【図】

ポンティックの形態的特徴による分類【図】

最適なポンティック基底面形態の選択

 

ブリッジを作製する上で、最適なポンティックを基底面形態を選択することは、非常に重要です。

 

ポンティック基底面に求められる要件を満たすためには、次の点について考慮する必要があります。

 

・欠損部位

 

・顎堤の形態

 

・口腔清掃状態

 

ポンティック基底面形態の分類

 

ポンティック基底面形態は、その特徴に応じて7つに分類することができます。

 

それぞれの特徴は、図を見ると一目瞭然です。

 

 

A 偏側型 / B リッジラップ型 / C オベイト型 / D 離底型 / E 船底型 / F 鞍状型 / G 有床型

 

A 偏側型ポンティック

 

偏側型ポンティックは、片側だけ顎堤粘膜接触しているため「偏側」という名称がつけられています。

 

接触しているのは、ポンティック基底面の頬(唇)側縁です。

 

ですので、舌側方向に向かって三角形の空間ができているのが最大の特徴といえるでしょう。

 

頬(唇)側縁が粘膜と接触しているので、審美性は悪くありません。

 

ただし、見た目通り装着感はやや劣ります。

 

・頬(唇)側縁が顎堤粘膜と接触

 

・舌側に向けて三角形の空隙

 

・審美性は悪くないが装着感がやや劣る

 

B リッジラップ型ポンティック

 

リッジラップ型ポンティックは、審美性にも装着感にも優れた形態を有しています。

 

基底面は頬(唇)側頂部で顎堤粘膜と線状に接触しています。

 

それに加えて、舌側方向にも歯槽頂部まで接しています。

 

ですので、基底面と顎堤粘膜との接触面はT字型を呈することになります。

 

とてもバランス良く接しているため、装着感にも優れているのです。

 

ちなみにリッジ(ridge)とは、山の尾根(おね)を表わしている単語で、線状の接触面がこれに当たります。

 

・審美性と装着感に優れる

 

・接触面はT字型を呈する

 

C オベイト型ポンティック

 

オベイト(ovate)とは、卵型という意味があります。

 

ですので、ポンティック自体も卵型を呈しています。

 

Cオベイト型ポンティックでは、卵の基底面である凸面を顎堤粘膜の陥凹部に入れ込みます。

 

そのため見た目が良く、審美性に優れたポンティックといえるでしょう。

 

ただし、顎堤粘膜側には、補綴前外科処置で陥凹部を形成する必要があります。

 

また、基底面の清浄性が確保されないような症例では、適用することが難しいです。

 

・卵型の基底面形態

 

・顎堤粘膜の陥凹部に入れ込む

 

・審美性に優れる

 

・補綴前外科処置が必要

 

・基底面の清浄性の確保が不可欠

 

D 離底型ポンティック

 

離底型ポンティックは、文字通りポンティックの基底面が顎堤粘膜から離れています。

 

具体的には、2~3mm以上離れています。

 

ポンティックと粘膜との間に空洞があるので、清浄性が非常に高いです。

 

そのため、プラークの為害性を極力排除することができます。

 

ただし、装着感と審美性は低下します。

 

・顎堤粘膜から2~3mm離れている

 

・清浄性に優れプラークの為害性を排除

 

・装着感と審美性が劣る

 

E 船底型ポンティック

 

船底型ポンティックは、基底面が船底型や楕円型をしています。

 

基底面の頂部が顎堤粘膜と線状あるいは点状に接触しているのが船底型ポンティックの特徴です。

 

離底型の底面を膨らましたような形態で、装着感が改善されています。

 

・船底型か楕円型

 

・顎堤粘膜と点状あるいは線状に接触

 

・装着感は比較的良い

 

F 鞍状型ポンティック

 

鞍状型ポンティックは、馬の背中に乗せる鞍のような形態をしています。

 

図を見てもわかる通り、顎堤粘膜との接触面積が広いので、審美性と装着感に優れたポンティックといえます。

 

けれども、清浄性を保つのが困難であるため、適用されるのは可撤性ブリッジに限られます。

 

・鞍のような形態

 

・接触面積が広い

 

・審美性と装着感に優れる

 

・清浄性が保てない

 

・可撤性ブリッジに限定

 

G 有床型ポンティック

 

有床型ポンティックは、基底面が床形態を有しています。

 

鞍状型と同様、顎堤粘膜との接触面積は広いのですが、清浄性は最も悪いといえます。

 

ですので、適用は可撤性ブリッジに限定されます。

 

歯の喪失によって、歯槽骨が大幅に吸収された場合、この床部分が大きな効果を発揮してくれます。

 

機能面だけでなく、審美性の改善も期待できます。

 

・床形態の付与

 

・接触面積が広い

 

・審美性と装着感に優れる

 

・清浄性が保てない

 

・可撤性ブリッジに限定

 

ポンティック基底面に求められる要件」と「ポンティックの補綴部位による分類」は個別ページで解説します。

 

補綴部位に応じた基底面形態については、こちらにも表を載せておきます。

 

補綴部位 ポンティック基底面形態
上顎前歯部 リッジラップ型、偏側型、オベイト型
上顎臼歯部 リッジラップ型、偏側型
下顎前歯部 船底型、偏側型
下顎臼歯部 船底型、偏側型、離底型

 

参考文献

 

『クラウンブリッジ補綴学』 第四版 医歯薬出版株式会社

 

 

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ダイナミック印象(動的印象)
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両側性平衡咬合(リョウソクセイヘイコウコウゴウ)
分割復位式模型(ブンカツフクイシキモケイ)
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歯槽頂間線の法則
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Simonの顎態診断法
移行義歯(イコウギシ)
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コンダイラー型咬合器
堤状隆起(テンションリッジ)
側方顆路角(ベネット角)
ベネット運動
バイトゲージ
維持腕(イジワン)
チェックバイト
接着ブリッジ
個歯トレー(コシトレー)
パラトグラム
シリコーンブラック法
Tweedの三角(ツィードノサンカク)
ウィリスの顔面計測法(Willis法)
矢状切歯路(シジョウセッシロ)
矢状切歯路傾斜角(シジョウセッシロケイシャカク)
二重同時印象(ダブルミックス印象法)
コーヌステレスコープクラウン
サベイドクラウン
スマイルライン(笑線)
リップサポート
咬合面再形成(コウゴウメンサイケイセイ)
咬合採得(コウゴウサイトク)
閉口印象(ヘイコウインショウ)
オッセオインテグレーション
アンテリアガイダンス
半固定性ブリッジ
咬合印象(コウゴウインショウ)
咬合圧印象(コウゴウアツインショウ)
複印象(フクインショウ)
終末蝶番運動(シュウマツチョウバンウンドウ)
耐火模型(タイカモケイ)
すれ違い咬合
暫間義歯(ザンカンギシ)
S字状隆起(エスジジョウリュウキ)
全調節性咬合器
半調節性咬合器
モダイオラス
ガルバニー電流
義歯維持筋(ギシイジキン)
ガム模型
無口蓋義歯
残根上義歯
義歯性口内炎
義歯性線維症(ギシセイセンイショウ)
プロキシマルハーフクラウン
7/8冠(ハチブンノナナカン)
4/5冠(ゴブンノヨンカン)
3/4冠(ヨンブンノサンカン)
臼歯離開咬合(キュウシリカイコウゴウ)
犬歯誘導咬合(ケンシユウドウコウゴウ)
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副歯型式模型(フクシケイシキモケイ)
作業用模型(サギョウヨウモケイ)
研究用模型(スタディモデル)
歯型固着式模型(シケイコチャクシキモケイ)
歯型可撤式模型(シケイカテツシキモケイ)
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