元メンバーAさんへの本人尋問
15分ほど休廷がありまして、Aさんが入廷。グレーのTシャツを着ていた永田氏とは対象的に、真っ白なブラウスに黒いジーンズ姿。肩から30cmほど伸びたストレートヘアーで、傍聴していたファンからも感嘆の声があがっていました。尋問はAさん側の弁護人からでした。弁護人B「虹コンが事務所を移籍したのは知ってますか?」
Aさん「知ってます」
弁護人B「誰から聞きましたか?」
Aさん「メンバーだったか永田さんだったと思います」
弁護人B「盗撮疑惑のある1月6日、7日の件ですけど、永田氏は全く身に覚えがなく、あなたが設置したという主張をしていますがどうですか?」
Aさん「私には全く身に覚えがないですし、押しつけるなんてひどい話だと思います」
Aさんは泊まった初日(1月6日)に小型カメラを見つけたと話しているんですが、スマホを持って浴室に行き小型カメラを撮影すると、小型カメラにスマホで撮っているところが映ってしまう。これでは永田氏に小型カメラに気がついたことがバレると思ったそうなんです。そこでスマホを操作しているフリをしてシャッター音の鳴らない無音カメラで撮影したらしいんですね。この話のあと弁護人Bの尋問です。
弁護人B「撮影されていることが分かっていながら服を脱いで風呂に入るってどういうことなんですか?」
Aさん「とにかくパニックで多くのことを考えられませんでした。永田さんを怒らせたくなかった」
弁護人B「最初に相談したのは誰ですか?」
Aさん「新しい事務所の女性スタッフCです」
弁護人B「なぜその人に相談したんですか?」
Aさん「女性のスタッフだったら心強いと思いました」
弁護人B「自分は撮られたわけですよね。他のメンバーがそういう被害にあったという話はありませんでしたか?」
Aさん「私は参加してないんですけどハワイでMVを撮影した時に不審なことがあったそうです」
弁護人B「その証拠はあるんですか?」
Aさん「それはないです」
弁護人B「1月6日、7日の盗撮疑惑の件。誰かに話したいと思っていましたか?」
Aさん「当時は積極的に話そうとは思っていませんでした」
Aさんは新しい事務所のスタッフに相談したところ「永田氏は総合プロデューサーとして相応しくない」という話になったそうです。この時点で、女性スタッフCから「永田氏を役員から降ろすことになったよ」とLINEが届きました。その後、Aさんは地元に帰ってお母さんに盗撮疑惑の件を相談するんですが、お母さんは「うちの娘を盗撮するなんて考えられない」ということで地元の弁護士に相談をしました。すると弁護士から「ちょっと微妙な案件」だと言われたそうです。
今回は盗撮“疑惑”ですが、盗撮事件の刑事裁判の傍聴を何度もしたことがあるんです。法律的な見解ではなく、過去の傍聴を見ていた経験から言うと、弁護士さんの「ちょっと微妙な案件」というのは私も同じことを思ったんですよ。盗撮って2つあって。駅とかで女性のスカートの中を撮るのは迷惑防止条例違反なんですよ。隠れているものを撮影する辱める行為。
もう1つ、トイレとか脱衣所とかの撮影は、撮影そのものではなくて建造物侵入で起訴するケースが多いんですよ。今回のケースはAさんが自分で脱いでいるので、普段隠しているものを撮影する迷惑防止条例違反としては微妙なのかな。建造物侵入に関しては永田氏の自宅にAさんが泊まりに来ています。しかも小型カメラを設置した人がはっきりしていない。法律家ではないので正確には分かりませんが、非常に絶妙なところだなと思いましたね。
他のメンバーから聞いた不審な点
弁護人の尋問は続きます。弁護人B「弁護士と話し合いをするというのは永田氏への復讐心があったんですか?」
Aさん「多少はあったかもしれません。永田さんに逆上されるんじゃないか。一生恨まれるんじゃないかと怖かったです」
弁護人B「でもその時、あなたは虹コンを辞めてたんじゃないですか?」
Aさん「私の友人や両親、高校の時の同窓の人と永田さんは一緒に仕事をしたり、永田さんが仕事で私の地元に来ることがあったのでこれは縁が切れないと思いました」
永田氏がどこまで高圧的だったのかは分かりませんけど、Aさんの口からは何度も「永田氏が怖かった」という言葉が出てきていました。
弁護人B「グループを辞めた後、永田氏に連絡を取って受験の時の宿泊先を聞く必要はないんじゃないですか?」
Aさん「永田さんは色々不動産を持っていて住んでいない物件もあるので。アイドル時代も一人で表参道ヒルズに住まわせてもらっていたこともあるので『空いてますかね?』みたいな感じで聞きました」
弁護人B「それはホテル代を浮かせたいという気持ちだったんですか?」
Aさん「そうです。軽い気持ちでLINEをしました」
弁護人B「こうなったのは盗撮疑惑を多くの人に知ってもらいたいからですよね」
Aさん「知ってほしいとは思ってないんですけど、同じ人がいれば助かって欲しいと今は思うようになりました」
弁護人B「最初は思っていなかったのに、去年5月か6月に週刊誌のインタビューを受けてますよね。それはなぜですか?」
Aさん「永田さんに訴えられたので」
弁護人B「盗撮疑惑を私(弁護人B)、お母さん、相談していた女性スタッフC以外に話しましたか?」
Aさん「虹コンを辞めたメンバー数人に話しました」
弁護人B「それはいつですか?」
Aさん「1月7日のライブの合間に話しました。具体的なことは話してないんですけど『永田さんには気をつけた方がいいよ』という話をしました」
弁護人B「そんなことを卒業メンバーに話したのはなぜですか?」
Aさん「寮に住んでいる他のメンバーからも不審な点を聞いていたので」
弁護人B「不審な点というのは?」
Aさん「永田さんの持っている物件が寮になっていて、そこに住むことになっていたんですけど、帰ったら永田さんが個人の部屋から出てきたと聞きました」
これはあくまでもAさんが言っている主張なので事実関係は分かりません。このあたりAさんは泣いていて涙声になっていましたね。
弁護人B「訴えようと思っていたら裁判を起こされた件についてはどう思いましたか?」
Aさん「悪いことをしていないのになんで?」と思いました。
弁護人B「これこそあなたが最も恐れていた報復なんじゃないですか?」
Aさん「はい」
弁護人B「永田氏はプロデューサーとしてどんな人ですか?」
Aさん「気に入った子は可愛がってくれるんですけど、厳しい一面もありました。とにかく怒らせると『一生許さない』と言っていました。だから怒らせることだけはしてはいけないと思っていました」
弁護人B「京都旅行について伺います。一緒に行きましたよね?イヤって言えば断れたんじゃないですか?」
Aさん「永田さんが『私のためにやっているんだよ』という感じだったので断れませんでした」
弁護人B「事件から1年半経ってますけど今も永田氏は怖いですか?」
Aさん「怖いですし、夢に出てきます。ただ怖いという気持ちを取り払わないと前に進めないと思っています」
これでAさんの味方である弁護人Bからの尋問は終わりました。続いて、永田氏側の弁護人Aからの質問です。
弁護人A「マッサージのアルバイトは4年前、2015年の9月からやってたんですね?」
Aさん「はい」
弁護人A「マッサージをしてお金をもらうことについてどう思っていましたか?」
Aさん「前々からアルバイトをしたいと言ってたんですけど『ダメ』と言われていたのでこれしかないんだなと思っていました」
弁護人A「気持ち悪いと思いませんでしたか?」
Aさん「説教をされた後に言われたので断れませんでした」
弁護人A「2015年9月から週1〜2回マッサージをやっていたということで間違いないですね。いくらもらっていたんですか?」
Aさん「1回当たり5000円です。週1の時もあるので月に3万円ぐらいになります」
弁護人A「単純計算ですけど、8ヶ月やっていたということなので24万円ぐらいですかね?」
Aさん「もう少し少なかったとは思います」
弁護人A「その24万円は何に使ったんですか?」
Aさん「生活費です。食事や日用品や消耗品に使いました」
弁護人A「ちょっと待ってください。寮で食事が出ると聞いていますよ」
Aさん「食事は週2回、朝ご飯だけです」
永田氏の言い方だとアイドルとしての月給は3万円だけど、食費や生活費はそれとは別に負担しているという話でした。「食費を出している」と話していたのでてっきりたくさん食事が支給されているようなイメージだったんですが、実は週2回、朝食だけだったんです。
弁護人A「あなたが(グループを)辞めたい。一人旅にでも行きたいと言った時、そんな金銭状態なのにお金はどうしようと思ったんですか?」
Aさん「そもそも旅行に行くこと自体、現実的ではないと思っていました。『もう辞めたいな』と思っていた時、永田さんから『息抜きしたら?何したいの?』と聞かれたので『旅行ですかね』と答えました」
弁護人A「京都旅行では同じ旅館の同じ部屋に泊まっていますね。布団も隣り合わせだったようですが、その時に触られたり、迫られたりということはありましたか?」
Aさん「ありませんでした」