2019年6月17日、東京地裁民事18部615号法廷にて、「虹コン裁判」の第二回口頭弁論が開かれ、本人尋問が行われました。四時間近い長丁場でした。

 [出廷人物]

 出廷は元ピクシブ代表取締役社長の永田寛哲氏と虹のコンキスタドールの元メンバーSさん、Sさんの代理人で「ERA」(日本エンターテイメントライツ協会)の代表理事5人のうち、河西邦剛弁護士、向原栄大朗弁護士の二人です。(以下、永田寛哲氏を永田氏、虹のコンキスタドールを虹コン、元メンバーのSさんをS女史と表記します。)

 [双方が原告被告、ERAの代理人も提訴された]

 アイドルオタクでもあった永田氏自らがプロデュースして作ったのが女性アイドルグループ「虹のコンキスタドール」。そのメンバーであったS女史が永田氏に盗撮等のセクハラされたと訴えたというものです。しかし、この裁判はS女史も、 S女史の代理人二名も被告として出廷しています。

 [その理由]
 平成30年2月に永田氏のセクハラ・パワハラ訴訟の事情を書いた内容証明郵便を永田氏の関係各社に河西弁護士、向原栄大朗弁護士らがS女史を代理して連名で送付しました。ですので、この裁判内容は永田氏の周辺に周知される事となりました。(送付されたのはディアステージ ピクシブ アニメイトホールディングスの三社)

 このために、永田氏は役職を辞める事を余儀無くされ、失職しました。永田氏はS女史から提訴される前にS女史と河西弁護士、向原栄大朗弁護士を名誉毀損等で平成30年3月19日に提訴、S女史も平成30年4月26日に提訴し、これで双方が原告・被告になりました。二つの裁判が併合で行われています。

 この日は本人尋問。
永田氏とS女史が双方の代理人と裁判官に尋問されました。いわば裁判のクライマックスです。
最初は永田氏から、次に S女史の尋問が続きました。


 事件番号 平成30年(ワ)8872  
      原告 永田寛哲 代理人 平岩利文 亀山由紀
 
      被告 虹コンメンバーS女史(以下S女史と表記)
      河西邦剛、向原栄大朗

 事件番号 平成30年(ワ)13414 
      原告 S女史  代理人 望月宣武
      被告 永田寛哲、㈱ディアステージ、ピクシブ㈱、ピクシブプロダクション

 民事18部 合議2係

 裁判長 品川幸男
 裁判官 長谷川秀治
 裁判官 上野瑞穂
 書記官 久保田浩

 裁判の主張ではS女史が三つのパワハラ・セクハラを受けたと主張しています。

①アルバイトとして全身マッサージをさせられた。
②京都旅行に行きたいというと、強引に同行し、同じ部屋に宿泊させられた。
③脱衣所で盗撮行為をされた。

 とするもの。  

 ①マッサージは一回5千円で合計20万超えるくらいはお小遣いとしてもらっていた。S女史からマッサージを申し出ることがあった。

 ②平成27年12月12日の京都旅行では旅費を全て永田氏に出してもらっており、S女史が旅行の同行をある程度納得しているように思えました。隣り合わせの布団で就寝したが、永田氏が触るなどの行為をする事はなかっと尋問で双方が認めています。(だからセクハラではない、という事ではありませんが、法的にどうなんだろうか、これで精神的苦痛を受けたと賠償責任を問えるのか、というのが正直な感想です。)

 ③これは永田氏は盗撮を否定しています。私見ですが、平成30年の1月6日と7日、 S女史は入浴前の脱衣所で二日に渡り盗撮機を確認しているのですが、なぜ一回めの時に逃げ出さなかったのか?なぜ警察に被害届を即日出さなかったのか?なぜこの事件は民事訴訟なのか、という疑問がこの日、最後まで解ける事はありませんでした。女性裁判官も怪訝な面持ちで尋問していたように思います。

 S女史は一方的な被害者ではないです。S女史も借りていた永田氏のマンションの部屋で平成28年5月に永田氏がある人物の調査を依頼した報告書を見つけて記録を取ったり、(これについては、平岩弁護士から永田さんに関係ない女性のもので、プライバシーの侵害では?と問われていました)同年7月には永田氏のトートバックから私物のDVDを見つけ、永田氏のプライベートな行為が写っている場面を再生、画像にして虹コンメンバーの古株の女史に送り付けたりしています。永田氏の提訴の理由としては充分だと思いました。

 [S女史の代理人がERAの代表理事らになった経緯]

 まず、S女史はお母さんに相談、お母さんが地元の弁護士に相談、難色があり、S女史は虹コンの古株メンバー M女史に連絡、M女史から望月弁護士に連絡、望月弁護士が代理人になった。

[何故代理人が訴えられているのか]

 平成30年の2月1日にS女史の代理人2名は訴訟内容の「永田氏にセクハラ・パワハラされた、訴額一千万で訴える」との趣旨を書いた内容証明郵便を永田氏が関係する関係各社に送付。当然の結果、永田氏は社会的信用度を失いました。(尋問で職業について聞かれた「永田氏は今は何もしていない」と答えていましたから、全ての役職から退いたのでしょう)

 
 この「永田氏をセクハラ・パワハラで訴える」との趣旨を書いた内容証明郵便の宛先を永田氏本人ではなく、永田氏の関係先に送りつけて名誉と信用を毀損させる事を考えたのはS女史ではなく代理人だと永田氏は考えている様子でした。それで内容証明に署名捺印した河西、向原両代理人を被告にしたという経緯です。(望月弁護士は S女史を紹介した人物との繋がりが知られるとまずいという理由で連名から名前が外れているということです。)

 当事者と代理人が法廷内で解決すべき民事訴訟の内容を、永田氏の関係する関連会社に内容証明郵便で送りつけ、公然と判決前に告知されたのですから、名誉毀損の構成要件は満たしています。いわば、怪文書事件を法律家が行った事案だと思いました。


 [不可思議なS女史の行動]

 S女史は永田氏を訴えるとした内容証明郵便を本人ではなく、第三者的関係者に送りつけた理由は、当人に送れば当人が激怒する、怒らせたくなかった、というようなことを陳述していました。

 しかし却って永田氏を社会的に追い詰めるような事をして被告になってしまった訳です。S女史の主張には若干の矛盾があるような気がしました。

 パワハラされて恐れている永田氏と旅行に行く、旅費は全額費用を負担してもらう、マッサージのアルバイトをS女史から提案する、永田氏の私物を漁る、映像を画像化して知人に送りつける。受験の為に上京するとホテルではなく、永田氏の自宅に泊まりに行く。(この理由については裁判官に何度も尋問されていましたが、親には「気をつけなさいと言われた。」と答えていました。要領を得ないな、と感じました。)

 随分と報道されている事と内容が違うじゃないか、というのが傍聴してみた正直な感想です。


[ ディアステージも被告に ]

 この裁判、永田氏が平成29年の12月に取締役に就任するはずだった芸能プロダクションの株式会社ディアステージ社もS女史から訴えられて被告になっています。
(以下、ディアステージと表記します。)

 ディアステージの HPには報道された裁判について、このように告知しています。
 「弊社らに対する訴訟報道等について」 以下一部転載します。

 「プレスリリース配信サイトであるPRTIMES(2017年12月1日19時20分発表)において、永田氏が弊社の取締役に就任することをお知らせ致しましたが、その後、同氏から取締役就任を辞退する旨の申し出を受けたため諸事情を考慮し同氏の弊社取締役就任は中止致しました。したがいまして、永田氏が弊社の取締役に就任した事実はなく、今後もその予定はございません。」

 S女史が永田氏の自宅で盗撮されたと告発する事件があったのは平成30年の1月6日と7日です。
この時にはディアステージの取締役に就任することが決まってはいたが、事件当時は在職ではなかったことが伺えます。それではなぜ、ディアステージは被告になったのでしょうか。

 S女史はディアステージを被告にした理由をこのように述べていました。
S女史が平成30年1月6日、7日に上京したのはディアステージのライブに出演するためでした。

望月弁護士:ディアステージのライブに関連したことで盗撮事件が起きたので個人の問題ではなく、会社の問題だということで、ディアステージにもお金を請求する根拠があるということですか?
 S女史:はい。

 また S女史が相談相手にした「F女史」が永田氏をディアステージから外す、という話やラインをS女史に頻繁にしており、これは永田氏を更迭するための怪文書事件、という側面もあるのではと思いました。
弁護士らの内容証明と「F女史」の話が一方的に広まって恣意的な人事権が発動されているように、見えなくもないですね。

 また平岩弁護士は S女史は摂食障害があり、それを永田氏に叱られていたのを S女史はパワハラだと思っていたのでは、と尋問する場面があり、うーん、闇が深いなぁ、と、背後関係は何かあるんじゃないかと思いました。

 次回で結審です。
 次回期日9月9日3時から615号法廷にて。


 ここから傍聴記〜 同じ日に傍聴した
「阿曽山大噴火さんの傍聴ブログ」に詳しく書き出されています。尋問が長いので途中で書き落とした部分も沢山あります。こちらをご参照ください。←こっちの方が面白いと思います。

 弁護士から永田氏へ尋問〜

 弁護士:( S女子が自宅に)宿泊した経緯は?

永田氏:前年の10月頃受験の際に泊められるのであれば泊めてほしい(と言われた)

[S女子が永田氏を1千万円で訴えるとに内容証明郵便が送られたことについて]


亀山弁護士:知ってどう思った? 
永田氏:びっくりしたんですけど、掲載されてる事実というよりは、どうして会社宛に送られていて僕には来ないんだろう 

亀山弁護士:ピクシブプロには届いていない
永田氏:関係のない会社に届いている...
(内容証明が送られたのは、ディアステージ・ピクシブ・アニメイトホールディング)

亀山弁護士:理由はなんですか? 

永田氏:マスコミにプライベートな理由を話されたからです。

亀山弁護士:ディアステージには取締役に就任していませんよね?

永田氏:はい。

亀山弁護士:あなたは今現在重松さんに対してどのような気持ちを持っていますか?


永田氏:悪感情を持っていません。


永田氏:理由は内容証明郵便の宛先を決めたのはSさんじゃない。どう考えてもそう思えない宛先だったんで。これは代理人の方々が決めたんだろうなと。


永田氏:これに関しては(内容証明郵便を関係者に送られたことは)この尋問の前にとある人物から、代理人達がS女史の代理人になる経緯を色々と詳細に伺う機会がありまして…


永田氏:その方と私とある人物の私怨だったり

あるいは望月氏との因縁だったりとそういうことを(聞きました)

Sさんが利用されているんだなと感じる内容でした。


永田:その方は平岩先生をディアステージの代理人から外すように働きかけを(聞き取れず)


永田:そういった内容も出てきまして...

裁判の当事者でもない人たちがそういった?色々な働きかけをしているっていうことがわかった以上、何かしらそういった感情を抱くということはないです。




傍聴席で気分が悪くなった女性の退席者あり

 
 平岩弁護士からS女子へ尋問〜 


平岩弁護士:平成二十八年の寮で住んでいた5月に表参道のマンションで一室で
探偵が作った報告書を見つけていますね

S女子:はい

平岩弁護士:7月4日にトートバックプライベートな行為を記録したDVD見つけてますね
DVDとかね、当時そのメンバーの方のではなくて永田さん個人の所有物だとわかってましたか?

S女史:はい

なのにわざわざ中を確認した理由は何ですか?

S女史:いけないことだとは認識はしてあったんですが、辞めたメンバーが永田さんにいかなる虚偽や問題永田さんの要求を聞きますと書類を書かせられて印鑑も押させられて ずっと脅されていたので怖くて 

平岩弁護士:よくないことだと解っていた?永田さんに何見てもいいよと言われていたわけではなかった?

S女史:はい

平岩弁護士:お守りとか、役に立つて具体的にどうされるつもりだった?

S女史:脅された時に、永田さんの弱みを一つでも持ってる事が...どうするとか広めてやろうとか思ってなかったんですけど精神的に楽でした。


 〜了〜(まだ沢山あるのですが、裁判が終わったらまた特集できればと思います。)
長いので読むのも疲れてしまったでしょ?お疲れ様でした!