電源さえあればすぐに使える!「WiMAX HOME 01」を試してみた

2018年12月、UQコミュニケーションズからNECプラットフォームズ製のWiMAXルーター「WiMAX HOME 01」が発売されました。

WiMAXルーターといえばスマホよりも小さなモバイルルーターが思い浮かびますが、「WiMAX HOME 01」はバッテリーを内蔵していません。宅内に据え置いて使うことを前提とした、いわゆるホームルーターのひとつです。

WiMAX HOME 01

WiMAX HOME 01

「WiMAX HOME 01」最大の魅力は、ACアダプターをつなぐだけで自宅にインターネット環境を構築できる手軽さにあります。固定通信サービスでは申し込んでから実際に使えるようになるまで日数を要しますが、ワイヤレスでネットワークに接続できるホームルーターなら、早ければ契約したその日のうちに通信環境が整います。

筆者は数年前に引っ越しを経験しましたが、新居で光回線が使えるようになるまでおよそ1か月かかりました。あの体験以来、転居にも素早く対応できるホームルーターに興味津々です。今回「WiMAX HOME 01」を利用する機会が得られたので、使用感をチェックしてみました。

ペットボトルよりも小さいコンパクトサイズ

「WiMAX HOME 01」のサイズは、155(高さ)×100(奥行き)×70(幅)mm。高さは一般的な500mlのペットボトルでラベルのフィルムが巻かれている部分と同程度で、幅もペットボトルの太さとほぼ同じ。すっきりとしたデザインなので、室内の見える場所に置いても目立ちません。

500mlのペットボトルと並べたところ。高さはペットボトルのラベル部分と同じくらいです

500mlのペットボトルと並べたところ。高さはペットボトルのラベル部分と同じくらいです

正面には各種ランプが配置されています。上から順に、4段階で表示されるWiMAXの電波強度ランプ、現在の通信モードを示すModeランプ、ファームウェアアップデートがある場合に点灯するUpdateランプ、機器の動作状況を示すStatusランプとなっています。

ランプはサイズも小さく明るさも控えめなので、夜間でもあまり気になりませんが、後述する設定画面から未操作時に消灯させることも可能です。

稼働中のランプの様子。控えめな明るさなので、夜間に点灯していてもまぶしくありません

稼働中のランプの様子。控えめな明るさなので、夜間に点灯していてもまぶしくありません

いっぽう、裏面にはボタンや端子が集中しています。上から順にリセットボタン、WPS機能を利用するためのWPSボタン、WiMAX 2+のネットワークだけを利用する「ハイスピードモード」とLTE回線も利用する「ハイスピードプラスエリアモード」を切り替えるためのModeボタン、SIMカードスロット、有線LAN端子、ACアダプター用の電源端子です。

ボタンや端子は裏面に配置されています

ボタンや端子は裏面に配置されています

また、天面にはファームウェアアップデート用のボタンが配置されています。後述する管理アプリからでも本製品のアップデートは可能ですが、このボタンを約5秒間長押しするだけでもアップデートを実行できます。

ルーターのアップデートにはセキュリティ対策なども含まれることがあるため、なるべく速やかに実施したいものです。本製品のアップデートボタンはすぐに見つけられる天面にあるので、IT機器の操作が苦手な人でも、管理画面を開くことなく手軽にアップデートができます。

唯一天面に配置されているボタンはファームウェアのアップデート用

唯一天面に配置されているボタンはファームウェアのアップデート用

対応するWi-Fiの規格は、5GHz帯のIEEE802.11a/n/acと、2.4GHz帯のIEEE802.11b/g/nです。Wi-Fiのネットワーク名(SSID)や暗号化キーは、本体底面のシールに印字されています。

底面にはSSIDや暗号化キーなどが記されたシールが貼られています

底面にはSSIDや暗号化キーなどが記されたシールが貼られています

なお、「WiMAX HOME 01」には、専用のACアダプターと、後述する「らくらくQRスタート」用QRコードの印字されたシールが同梱されています。また、通信を利用するには契約時に発行されるSIMカードも必要です。

「WiMAX HOME 01」の同梱物とSIMカード

「WiMAX HOME 01」の同梱物とSIMカード

どんな機能を備えている?

すでに述べたように、「WiMAX HOME 01」の初期設定は簡単です。背面のSIMカードスロットに発行されたSIMカードをセットし、電源を入れてしばらく待てば、自動的にWiMAXのネットワークにつながります。

契約時に発行されたSIMカードは、本体背面のSIMカードスロットに挿入します

契約時に発行されたSIMカードは、本体背面のSIMカードスロットに挿入します

接続方法は、Wi-Fiと有線LANのどちらかを選べます。据え置き型のゲーム機やデスクトップPCなどは、有線LANケーブルを介したほうが安定して通信できるでしょう。

Wi-Fiで接続する場合、初期設定時にWPS機能の利用が可能です。背面のWPSボタンを2秒間長押しすると2.4GHz帯、5秒間長押しすると5GHz帯に接続されます。暗号化キーの入力が不要なので、AndroidスマホではWPSを利用するのがおすすめです。

いっぽう、WPSに対応していないiPhoneでWi-Fiの設定を行うには、管理用のアプリ「NEC WiMAX 2+ Tool」が便利です。アプリ上の表示に従い、以下の4つの手順を順番に行います。

1.アプリを起動して「接続設定ウィザード」を選択
2.ログインパスワードとして、本体の底面または同梱のシールに記載されている「Web PW」を入力
3.同梱のシールに印字されているQRコードを読み取り
4.構成プロファイルをインストール

ログインパスワードを入力したら「らくらくQRスタート」用QRコードを読み取ります

ログインパスワードを入力したら「らくらくQRスタート」用QRコードを読み取ります

Wi-Fi設定用の構成プロファイルをインストールすれば、暗号化キーを入力することなく「WiMAX HOME 01」に接続できるようになります

なお、「NEC WiMAX 2+ Tool」では、Wi-Fiの接続設定だけでなく、直近3日間や当月の通信量を確認したり、電波強度やWiMAX 2+ネットワークの通信状況をチェックしたりできます。ハイスピードモードとハイスピードプラスエリアモードの切り替えも可能です。

また、WiMAXの主力プランである「UQ Flatツープラス ギガ放題」では、直近3日間の通信量が合計10GBを超えると、18時から翌日2時までの通信速度が1Mbps程度に制限されます。ディスプレイを備えていない「WiMAX HOME 01」では本体だけで通信量を確認できませんが、「NEC WiMAX 2+ Tool」をインストールしておけば手軽にチェックできます。

「NEC WiMAX 2+ Tool」では直近3日間の通信量をチェックできます

「NEC WiMAX 2+ Tool」では直近3日間の通信量をチェックできます

電波強度のチェック機能は、「WiMAX HOME 01」の設置場所を検討するのに便利です

電波強度のチェック機能は、「WiMAX HOME 01」の設置場所を検討するのに便利です

より詳細な設定は、本製品の「クイック設定Web」にアクセスして行います。クイック設定Webでは、専用アプリで提供されている機能に加えて、Wi-FiのSSIDおよび暗号化キーの変更や、3分間操作がなかった場合にランプを消灯するかどうかといった設定が可能です。

クイック設定Webの詳細設定機能を利用すれば、より高度な設定が可能です

クイック設定Webの詳細設定機能を利用すれば、より高度な設定が可能です

通信速度はどれくらい?

最後に、「WiMAX HOME 01」での通信速度をチェックしてみました。測定に用いたのはイードの「RBB SPEED TEST」で、5GHz帯のWi-Fiに接続した「iPhone 7」にて実施。時間帯は筆者が毎月実施しているMVNOの速度調査(関連記事/https://kakakumag.com/pc-smartphone/?id=11526)に準じ、12時台、14時台、18時台にそれぞれ5回ずつ測定し、その平均値を算出しました。実施日は2019年1月8日(火)です。

測定場所は、長野県佐久市の筆者宅となります。WiMAX 2+のエリア内ですが、地方都市ということもあり、東京都内などの都市部とは速度が異なると思われる点をご了承下さい。

なお、通信速度は測定した場所、時間、組み合わせた機器などの要素に左右されます。あくまでもひとつの例として参考にしていただければと思います。

「WiMAX HOME 01」の速度測定結果

「WiMAX HOME 01」の速度測定結果

下りの平均速度は、12時台が16.89Mbps、14時台が19.23Mbps、18時台が22.44Mbpsとなりました。光回線を利用した固定通信サービスに比べれば低速ですが、格安SIMのように通信速度が時間帯に左右されることはなく、オンライン動画もスムーズに読み込める速度が得られています。

いっぽう、上りの平均速度は12時台が1.32Mbps、14時台が1.94Mbps、18時台が1.58Mbpsと、どの時間帯でも1~2Mbps前後にとどまります。TwitterやInstagramなどのSNSで複数の写真を同時に投稿するときなどに時間がかかることもあり、下り通信速度との違いが気になりました。

アップロード速度が許容できるかどうかがカギ

2018年から2019年にかけての年末年始のあいだ、筆者のiPhoneをWi-Fi経由で「WiMAX HOME 01」につなぎっぱなしにしてみました。オンライン動画を多めに視聴するなど意識して通信してみたものの、1日当たりの通信量はおおむね2GB前後にとどまりました。

一部時間帯の通信速度が制限される「3日間で10GB」には届かなかったものの、1か月に換算すれば20GBのデータ利用量が必要な計算です。仮に、格安SIMで毎月20GB使える料金プランを契約すると、月々のコストは5,000円台に達します。

これに対して、WiMAXなら月額4,730円(「UQ Flatツープラス ギガ放題」の場合)で、昼間のデータ利用量は使い放題です。それに、「WiMAX HOME 01」はWi-Fiルーターなので、複数のスマホの通信を1台でまかなえます。

今まで固定通信サービスを使っていなかった家庭でも、自宅にいるあいだはスマホの通信を本製品に任せることで、スマホの料金プランをデータ利用量のより少ないプランに切り替えられるかもしれません。ホームルーターを導入することで、手軽に通信コストを節約できるでしょう。

気になったのは、上りの通信速度が遅めなところ。画像やファイルをアップロードする機会が多ければ、固定通信サービスの契約もあわせて検討するといいでしょう。

また、NECプラットフォームズ製の一部Wi-Fiルーターには、特定のWi-Fi機器の通信時間を制限できるペアレンタルコントロール機能「こども安心ネットタイマー」が備わっていますが、「WiMAX HOME 01」ではこの機能が使えません。

本製品は据え置きで利用することが前提であり、未成年者の利用も想定されるだけに、スマホやゲーム機の利用時間を制限できるペアレンタルコントロール機能があれば、もっと便利になるはず。いささか気が早いですが、後継機への搭載を期待したいところです。

信州佐久からモバイル情報を発信するフリーライターであり2児の父。気になった格安SIMは自分で契約せずにはいられません。上京した日のお昼ごはんは8割くらいカレーです。
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