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2020年度 みんなで考える大学特集 入試の展望と対策

中部の著名大学・短大にアンケート
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安全志向、多数志望で倍率上昇も 変化少なく、対策しやすい入試に

 大学入試を控える受験生にとって、情報収集や入試対策などが本格化するシーズンです。各私立大学では募集要項の配布などが始まり、オープンキャンパスのスケジュールも続々と発表されています。今年度の入試を振り返るとともに、最後のセンター試験実施年となる2020年度の大学入試対策について、学校法人河合塾・教育情報部の富沢弘和氏に話を伺いました。

各大学の出題傾向に大きな変化は見られず センター試験は新テストを見据えた出題も

学校法人 河合塾 教育コンテンツ本部 教育情報部 部長 富沢弘和氏
学校法人 河合塾 教育コンテンツ本部
教育情報部 部長 富沢弘和氏

 2019年度の大学入試は、今年1月に行われたセンター試験をはじめ、各私立大学の出題傾向にも顕著な変化は見られず、前年の傾向を踏襲した設問、出題形式が目立ちました。

 センター試験の出題では、2年後に導入が控える「大学入学共通テスト」を意識した設問もみられました。例えばセンター試験の国語では、本文の趣旨を生徒の話し合いの対話文で問う形式の問題が出題されました。対話の流れを踏まえながら、本文全体を見渡し考える力が問われるものでした。新しいテストでは、知識・技能に加えて、より思考力・判断力・表現力を問うことを重視した試験とする方向性が示されています。また、身近なシチュエーションをテーマにしたり、さまざまな形式の文章・資料の読み取りを意識した出題が検討されています。ただ、これらはすでにセンター試験においても盛り込まれている内容であり、そうしたものを意識した出題が徐々に増えてきている印象があります。来年は最後のセンター試験となります。2019年度と同様に、出題傾向が大きく変わることはないと思いますが、新テストの方向性を意識した出題は盛り込まれるでしょう。

入学定員厳格化は一段落も私立大学一般入試倍率は引き続き上昇

 近年、私立大学の出願傾向に大きく影響を及ぼしてきたのが、国の入学定員超過是正に関する施策を受けて進められていた、定員管理適正化です。合格者数絞り込みの動きの中で、2015年度には3.2倍だった私立大学一般入試の倍率は、2017年には3.6倍、2018年度には4.0倍まで上昇、2019年度も4.1倍という推測値が出ています。

 一方で2019年度のデータによると、各私立大学では合格者数を前年度並み、もしくは前年度以上に増やすなど、極端な合格者数絞り込みの動きは沈静化したという見方もできます。

 中部地方の主要な大学の定員充足率を見ても、2016年度時点では110%前後だった値が2018年には100%前後まで下降しました。このように、各大学における定員管理適正化の流れは落ち着いたものの、近年の私立大学入試難化の影響を受け、受験生一人あたりの出願数が増え続けたことで、結果的に延べ志願者数が増加。2019年度も倍率は引き続き上昇しました。また、難関大学や近年倍率の高かった大学、経済系の学部・学科など人気の分野が敬遠されるなど、安全志向が際立つ入試でした。

 2020年度も、「大学入学共通テスト」への移行を前に、安全志向がさらに強まる可能性が高いとみられます。私立大学では、おそらく2019年度並みの合格者数を維持するという流れになると予測されますが、受験生一人あたりの出願数の増加によって、今年度以上の倍率になることも十分に考えられるでしょう。

センター試験の有効活用など対策を講じて臆せず挑戦を

 2020年度の入試対策としては、夏休みにかけて確実に弱点克服、基礎固めをすることが最優先です。2020年度入試も倍率の上昇が予測される中で、安心材料として多くの大学、学部に出願しようと考えている受験生は特に、センター利用方式を活用するのも一つの方法です。

 同じ大学でも2科目型、3科目型、5科目型など、複数のセンター利用方式を導入している大学もあります。センター試験を受けて出願すれば、各大学の受験会場に行くという労力が省け、時間的な負担も軽減。一般入試よりも比較的安価に出願ができるという、費用面でのメリットもあります。

 センター試験で確実に成果を残し、選択肢を広げるためには、苦手分野を極力作らず、基礎的な内容を網羅することが必須条件になります。

夏休みを活用して情報収集 志望校の見極めが重要に

 入試へ向けて本格始動する夏休み。受験生にとってもう一つ重要となるのは、自分が学びたいこと、興味がある分野について改めて見つめ直すことです。具体的に志望する学部や分野を決めるのが難しい受験生は、立地や大学名を入口に絞り込んでいくのも良いでしょう。気になる大学について情報を収集すると同時に、より関心の高い大学については、ぜひオープンキャンパスの機会などを活用し、先輩や教職員の話を聞いてみてください。大学生活がより具体的にイメージでき、モチベーションアップにもつながるはずです。

 第一志望はもとより、受験する可能性がある大学については、この時期を利用して幅広く予備知識を得ておきましょう。

 実際に受験シーズンに突入すると、2020年1月18日、19日のセンター試験を皮切りに、2月には各私立大学の入試が本格化、合格発表後は間髪入れずに入学手続きの締め切り日がやってきます。並行して入試が進む中で、短期間での決断が迫られた時に慌てないよう、合格したら本当にこの大学へ行きたいのか、大学で何を学びたいのかということを含めて、今の時期から判断材料を揃えておくと良いでしょう。

<企画・制作> 中日新聞広告局 <協力> 学校法人 河合塾