ジャニー列伝（７）　「日航機」搭乗予定が…

　１９８５年８月１２日、羽田発大阪行きの日航機が群馬県の御巣鷹山に墜落し、５２０人が死亡した「日本航空１２３便墜落事故」。乗客の歌手坂本九さんが犠牲になり、芸能界にも衝撃が走ったが、実はジャニーさんは少年隊とともに同じ便に搭乗予定だった。

　前日の１１日、大阪の新歌舞伎座で近藤真彦の主演舞台「森の石松」が初日を迎えた。ジャニーさんは少年隊と一緒に翌１２日に「応援のため」観劇に行く予定だった。

　しかし、少年隊のコンサートの現場だった、東京・中野サンプラザにいたジャニーさんに、大阪の舞台のスタッフから電話が入る。「マッチが舞台の会見を開くから、急いで来てほしい」。ジャニーさんだけが急きょ１２日の搭乗予定を１日前倒しして、大阪に飛び、少年隊は東京に残ることになった。

　「チケットを変更したんです。忘れもしません」。２０１３年４月の取材でしみじみとジャニーさんは語った。運命は紙一重。あのスタッフからの電話がなかったら、その後、ＳＭＡＰや嵐が誕生することはなかったかもしれない。

　　（石井知明、２０１０～１３年担当）