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元演歌歌手の香田晋さんが僧侶デビュー 美浜、書や絵画制作に意欲

書などをしたためた御朱印を見せる鷲崎さん=美浜町佐柿の徳賞寺で

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 人気演歌歌手として活躍しながらも、芸能界を引退した香田晋(こうだしん)さん(51)=本名・鷲崎孝二、横浜市=が美浜町佐柿の徳賞寺で、僧侶として新たな人生のスタートを切った。同寺には自身の書の作品も展示。「平成元年のデビューだったので、30年たって令和元年のデビューとは不思議だ」と感慨深い様子だ。

 鷲崎さんは一九八九(平成元)年にデビュー、同年日本レコード大賞新人賞を受賞した。NHK紅白歌合戦の出場経験もある。バラエティー番組にも出演して人気を博したが「精神的に限界になってしまった」と二〇一二年に引退。福岡県で飲食店を営むなどしていた。

 転機は、長年介護をしていた祖母が昨年亡くなったこと。最後まで自分でお経を上げたいと考えていたところ、もともと交流のあった同寺の僧侶から仏門の道に入ることを勧められ、十一月に同寺で得度式をした。僧名は「徹心香雲」。

絵と経を組み合わせた鷲崎さんの絵画=美浜町佐柿の徳賞寺で

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 修行と併せ、鷲崎さんが力を注ぐのは書や絵画などの制作。書は三十七、八歳ごろから、絵は福岡に住んでいたころから始めた。師匠である同寺の粟谷正光住職(71)は、禅画家として知られており、だるま絵を展示する同寺のギャラリーには、自身の作品も追加された。鮮やかな夕日を背景に川にお経が流れる、絵画とお経を組み合わせた作品などが目を引く。作品を知った企画会社の縁で、英国のギャラリーで展示する予定があり「作品を世界に向けて発信したい」と、書家「香雲」として意気込む。

 今月六日には僧侶としての初仕事として、早朝から徳賞寺で御朱印に書をしたためた。「心こそ心迷わす心なれ」などと軽やかな手つきで筆を進め、自ら彫った修行僧の印を添えた。

 もともと写経に親しみ、出家を考えたこともある鷲崎さん。初仕事を振り返り「長年やっていた感じで違和感がない。居場所がここだと確信が持てた」と語る。今後、講演活動や作品づくりに取り組むといい「自分というものは一生をかけてつくるということ、どうせ生きるなら笑顔で楽しく生きようと伝えたい」と話している。

 (大串真理)

 

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