日本酒の銘醸地といえば、兵庫県。「灘」と呼ばれる地域でも、東に位置する西宮市には、江戸時代から変わらない「生もと(きもと)」造り」の酒を醸し続けている「白鷹」があります。
空気中を漂う天然の酵母菌と自然発酵の仕組みを生かし、時間をかけて旨味を醸す白鷹の酒は、灘の地下に湧く「宮水」と呼ばれる、やや硬水系の水で仕込みます。このため、しっかりとしたコクも感じられ、お燗した温かい酒が好評!
年輩の日本酒ファンやヘビーユーザーから長く愛飲されている、名門中の名門酒なのです。
しぼりたての白鷹は、生もと造りを実感させる琥珀色! 江戸っ子が白鷹を好んだ理由には、「山吹色=小判のような色」であったと言われています。原料の酒造好適米も、兵庫県の吉川地区最高峰山田錦特Aランクなど、一つの村(地域)と江戸時代から直接契約して仕入れる「村米制度」を守っています。
ともすれば、他の灘の蔵元と同じような大手メーカーと思われがちな白鷹ですが、実は、大手ではなく、中小企業規模。
つまりは、量産を追いかけず、本来の灘の生もと造りを継承し、本物の日本酒、江戸期からの白鷹をぶれることなく醸しているわけです。
そんな白鷹の美酒を味わえるのが、蔵元の経営する「白鷹禄水苑(はくたかろくすいえん)」。
蔵元の辰馬家の所蔵品の展示室なども備えた、蔵を改装したアミューズメントスペースで、店内には、白鷹の酒とペアリングにふさわしい鰻料理で知られる「竹葉亭」も店舗展開しています。
つまり、江戸で人気だった、白鷹の生もと純米酒+江戸前の鰻を、ここで堪能できるわけです。
私は、昼下がりの白鷹禄水苑 BARカウンターで、静かに風情ある蔵とぬる燗の生もと純米酒をかたむけるのが最高の贅沢なのですよ。