【大相撲】左肘痛なんの! 高安、ど根性給金「最善尽くす」2019年7月17日 紙面から
◇名古屋場所<10日目>(16日・ドルフィンズアリーナ) 大関高安(29)=田子ノ浦=は明生を寄り切って勝ち越しを決めた。横綱鶴竜(33)=井筒=が平幕逸ノ城を寄り切って初日から10連勝とし、単独トップを維持。横綱白鵬(34)=宮城野=は関脇玉鷲を突き落とし、連敗を免れて1敗を守った。関脇御嶽海(26)=出羽海=は大栄翔に突き出しで敗れ4敗目を喫した。 左肘の痛みをグッとこらえ、まわしを取って8つの白星を積み上げた。高安は、初顔合わせの明生の患部にぶつかる立ち合いをしのぎ、右で突き起こしてから左四つに。仁王立ちで寄り切って厳しい表情のまま、給金直しの勝ち名乗りを受けた。 「前に出て、右でしっかり攻められた。今日は落ち着いて取れた感じです」。前向きな言葉を並べた一方で、左肘の状態は「いい相撲を取れると思います」とはぐらかした。 8日目の玉鷲戦で痛めた患部には、テーピングの上から黒と白の2種類のサポーターで厳重に保護。攻めるときでも左腕は伸びず、取組後はアイシングに時間を割いた。万全からほど遠いのは明らかだが、言い訳は一切しない。 3大関が休場する中、ただ1人の大関としての意地が、原動力になっている。「休むとかは、考えていない。最善を尽くしたい」。負傷して一夜明け、病院に行かなかった事を明かした。手負いで闘い抜く覚悟を示した。 八角理事長(元横綱北勝海)は「痛いとか言ってられない。相手に失礼ですから。足は元気だから、大関として良い相撲を取ってほしい」と期待を込めたやや辛口のエール。星の差二つで鶴竜を追う終盤戦、一つの黒星が優勝争い脱落に直結する。 「残り5日、自分らしい相撲を取る」。初の賜杯へ望みをつなぐためにまずは11日目、白鵬に捨て身でぶつかる。 (志村拓)
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