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(坂場)一緒に 作ってほしいんです。
(なつ)一緒に…。
一生をかけても あなたと作りたいんです。
あ はい!(夕見子)え?夕見…。
どしたの?夕見こそ どしたの? 日曜日に。
えっ 日曜日って ここ休み?あれ 聞いてなかった?
亜矢美さんは 買い物に出かけたしお兄ちゃんは仕事だけど…電話番は しなくていいと思うよ。
何だ…したら ジャズ喫茶にでも行ってみるか。
何?
せっかくだからさ一緒に休み過ごそうよ 夕見。
ね。えっ…。
♪~
♪「重い扉を押し開けたら暗い道が続いてて」
♪「めげずに歩いたその先に知らなかった世界」
♪「氷を散らす風すら味方にもできるんだなあ」
♪「切り取られることのない丸い大空の色を」
♪「優しいあの子にも教えたい」
♪「ルルル…」
(雪次郎)きれいだけどちょっと きれいにするね。
それで 結局 ここに来たのかい?
不満なの?いや うれしいよ ハハ…。
雪次郎君が どんな暮らししてるか見てみたいって。
いや 暮らしてるっていったって芝居とアルバイトしか してねえからな。
へえ~。 したけど あの雪次郎がここまで見事に親不孝するとはね。
それは言わんでや。親不孝なら 夕見子ちゃんの方だべさ。
ほらほらほら なまってる!
あっ もうダメだ…。もう この2人といると自然に 標準語が分からなくなる。分からなくなる…。
ねえ 夕見ちゃんと 家には電話してるの?
えっ? ああ そのうちする。
ちゃんとするって言ったべさ。
ねえ このまま…。そんな話するなら帰るよ。
分かった…。
雪次郎は 誰かいないのかい?つきあってる人。
いや… そんな余裕はねえから。
劇団に 好きな人とかいないの?
えっ…。えっ… あ いるんだ。 誰さ?
いや 言ったって分かんねえべ。まあ そだね。
そんな人いるんだ?いや 勝手に憧れてるだけだ。
何だ 蘭子さんか。何だって 何だ。
えっ まさか 本気で好きなの?
まさか! 俺が相手にされるわけねえべや。
役者として憧れてるだけだ。
(夕見子)女優か…。
なつは いないの?
あっ いるんだ!何も言ってないべさ!
いるから言わないんだべ。えっ 誰 誰 誰 誰 誰…! 会社の人?
(夕見子)この前みんなで踊った時いた人かい?
(雪次郎)あっ…!(夕見子)もしかして あの…。
(雪次郎)堀内さん!(夕見子)イッキュウさん!イッキュウさん?
違う!
そんな話するなら帰るよ!
違うから…。
今は 絵で つながっている人がいるだけで十分だから。
なっちゃん… それはダメだ。
もう天陽は諦めれや。あいつは もう人の旦那だ。
な~して そんなこと言うかな…。
違うのか?違うみたい。傷口に 塩塗っただけ。
あっ ごめん…。もう いいから。
これから どうする?
えっ 夕見子ちゃんのことかい?今日のこと。バカ。
あっ 映画でも見に行くか!(2人)映画?
それしかねえべ 休みの日は! ハハ!
それから3人は 映画を見に行きました。
(雪次郎)「君の瞳に住むためにここを出国するだけだ」。
(雪次郎)「やっと手に入れた」。
(雪次郎)「君の瞳に…入国する」。
♪~
雪次郎。ん?
あんた 何ブツブツ言ってたの?気持ち悪い!
吹き替えの練習だわ。役者の唇に合わせて 字幕読むのさ。
勉強のために 映画見てんだ。
まあ 少しでも役に立てばと思って。
努力してるんだね。うん。
迷惑だってば…。
えっ そんなに聞こえてた?うん。
あっ ここが川村屋?
うん。 せっかくだからここで食事しようって思って。
(野上)いらっしゃいませ。あっ 野上さん。
私の姉妹の夕見子です。どちらですか?
こちら。 こっちは雪次郎。
分かっております。姉ですか? 妹ですか?
あ… 同い年です。双子です。
さようでしたか。東京に遊びにいらしたんですか?
駆け落ちです。冗談です!
全く ついていけません。私も。
野上さん ご無沙汰してます。
よく この敷居が またげましたね。えっ…。
冗談です。 どうぞ。
(佐知子)なっちゃん いらっしゃい。あっ 佐知子さん。
姉妹の夕見子です。あっ 北海道の?
ようこそ いらっしゃいませ。どうも。
お席に ご案内して。はい。 どうぞ。
お久しぶりです。
咲ちゃんは元気?えっ?
佐知子さん もしかして まだ…。
なっちゃん 私… 今度 結婚するのよ。
えっ 結婚!?シッ…。
とりあえず座って。
あっ 座っちゃった…。
おめでとうございます。ありがとう。
でも とうとう咲ちゃんを待てなかったわ。
いや お兄ちゃんもきっと喜ぶと思います。
マダムの紹介で お見合いをしたのよ。
いい人だし 生活が安定してるし。
咲ちゃんには悪いけど…。悪くないです。
咲ちゃんが悪いのよ。私を放っておくから。
私も そう思います。
ご注文は?あっ バターカリー 3つ。
あっ 僕は…。今日は おごる。
3つ。かしこまりました。
すごいな… ずっと待ってたんだね。つきあってもないのに。
でも よかった。
何が よかったのさ?
結局 女は 結婚して生活の安定を得るのが一番だと思ってるの? なつも。
夕見は その人と結婚したくないの?
結婚なんかしなくたって一緒に生きる道があればいいでしょや。
その方が お互いに変な甘えが生じなくていいの。
どんな結婚するかは自分や相手次第じゃないの?
結婚できねえからじゃないのかい?えっ?
向こうには 親の決めた相手がいるって…。
そんな生き方を捨てたあの人だからいんじゃないの。
何も持たんで 一から生きようとしてるあの人とだから結婚なんかしなくたって一緒に生きることができると思ったのさ。
したら 結婚って何なのさ…。
(光子)いらっしゃい。あっ マダム。
マダム ご無沙汰してます。元気にしてた?
はい。帯広のご家族にちゃんと連絡しないとダメよ。
はい。 ちゃんとしてます。
マダム 北海道から来た姉妹の夕見子です。
ああ あの北海道大学に通ってらっしゃる?
はい。なつが いつもお世話になってます。
あなたが 大学に合格された時には新聞にも載ったそうね。
ご家族にとって あなたは期待の星ね。
マダム 佐知子さんが結婚するってさっき聞きました。
ああ そうなの。あなたのお兄さんも心配してたからね。
お兄ちゃんが?
さっちゃんを幸せにしてやってくれってずっと言われてたのよ。
まあ 言われなくたって私だって考えてましたけどね。
そうなんですか…。
咲ちゃん新しい会社を始めたんだって?はい。
外国映画の吹き替えなんかをやったりする声の会社です。
相変わらず危なっかしいところはあるけど咲ちゃんも ようやく自分のために動き出したってところね。
なっちゃんの開拓精神が咲ちゃんの心も強くしたのよ。
いえ 私は何も…。
夕見子さん どうぞ 東京でゆっくりしていってね。
はい。 事によるとずっと新宿にいるかもしれません。
えっ?えっ?ちょっ… 何言ってんのさ。
私にも 開拓精神があるんです!
マダムに ご相談があるんですが…。夕見?
(亜矢美)ジャズ喫茶?はい。
(咲太郎)新宿でジャズ喫茶を開きたいっていうのか?
それで マダムに相談し始めちゃってどうしようかと思った。
マダムは 駆け落ちだって知ってるのか?
ううん。大学を卒業してからだと思ってる。
本気なら いつでも力になってくれるって。
誰にでも 力になるって言うんだよあいつは。
お兄ちゃん! あいつってそんなこと言ったら罰が当たるでしょ!
物書きの彼を支えようっていうわけか…相当 入れ込んでるね。
私と この人も同志なんだわ。男に だまされてるとかそんな心配いらないからね。
このまま ほっといていいんでしょうか?
う~ん… 難しいとこだね。
なっちゃんがあの子の友達っていうんならもう 今は ほっとけ ほっとけって言うとこだけどさ… ね。 家族じゃな…。
でも なっちゃんが一人で悩むことではもう… ないんでないかい?
うん…。
♪~
℡(呼び出し音)
℡
もしもし 母さん?
(富士子)なつ! どしたの こんな時間に…何かあったの?
うん 母さん…夕見が… 夕見子が…。
夕見子が…。
もし 私がしゃべったらもう ここにも来ないって!
したから もし 夕見から連絡があっても聞かなかったことにしといて。
あ… 分かった。
よく知らせてくれたわね なつ。
℡ねえ どうしよう 母さん…。
とにかくなつがいてくれて いかったわ…。
こっちのことは大丈夫だからあの子のそばに いてやってちょうだい。
そりゃ もちろん…。
私に できることがあれば何でもするけど…。
どうするか考えてみるわ。
また連絡するね。℡いや…。
そっちからは まずいわ!また こっちからする。
分かった… じゃ お願いね。
したらね…。
(剛男)どしたんだ?
あっ びっくりした…。
(泰樹)誰からだ?えっ? ああ… なつから。
なつが どした?何かあったのかい!?
ううん… 何も。
何もって… こったら時間にかけてきて。
何もないの。何か 眠れなくなったみたいで…。
何か お願いって言ってたでないか。
いや… あっお願いだから寝てちょうだいって。
もう切れてるわ。
分かってる…。
(電話が一瞬鳴る音)
なつよ… 大丈夫だ。
みんなと つながってるから。