 | 播 HA | |
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日曜日の池袋。駅に近いビルで小学生が中国語を学んでいる。 週日は日本語学校、ここの教室を使い土曜・日曜だけ中国人子弟を対象に中国語の週末補習学校が開かれる。初級班は中国語を学んだことがないかまだ基礎のできていない児童が対象で、授業には日本語も使う。5歳くらいから、多いのは小学2、3年生。中国の小学校で使われている教科書『語文』を基礎に閲読・会話など初歩的知識を2年学び中級班に進む。ここ池袋校には1クラス5~20人ほどのクラスが初・中・上級班まで13、英語班も設けられ元小学校教師の女性の先生方が教えている。 | 楊林(よう りん)さんはこの週末補習学校【同源中国語学校】を95年に始めた。58年北京生まれ、北京育ち。北京師範大学卒業後、学校教師をしていた楊林さんは93年に家族で来日。「私も友人も、中国生まれの子どもが中国語を忘れないようにするのに悩んでいました。私が北京で政府要人の子弟が学ぶ景山学校で教師を10年していたことから、『あなたが教えて』となったのです。」 教師1人、生徒34人で始めたこの週末学校は現在、池袋のほか小岩・高島平・町田(以上東京)、桜木町(横浜)、蕨・南越谷(埼玉)、松戸(千葉)などに、英語班を含め43クラスあって生徒数4百人を超え、「経験豊富」な元小学校教師20数名を擁し、東京都の中国人子女の中国語補習学校として最大規模、03年に東京都のNPO法人として認定された。 日曜日の横浜・桜木町。創立百周年を迎えた本町小学校の並びにある横浜教育学院の教室を使って横浜校は開かれている。98年5月に開校。初・中・上級班と英語班で7クラス、町田や東急線・JR根岸線沿線から60名ほどが通う。 | |  楊林(よう りん)さん
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 | 子どもを取り巻く家庭の状況と中国語の水準、要望はさまざま。横浜校の閻双さんは天津第二師範学校卒。担任する上級クラスの生徒は小3・4年と中1の3名。3名とも中国生まれ、授業はすべて中国語で進められる。初級班には「片親が中国人で家庭では日本語を使う」家族も多い。「両親が中国人でも日本生まれの子どもは中国語ができない。なんとか中国語を身につけてほしい。」「中国の家族と話ができるように。」「中国で身につけた中国語を忘れないように。」「子が日中の掛け橋として役に立てればよいと思う。」と教室に通う母たちは願う。週末だけの中国語では不足、と定期的に中国に帰り長期滞在する家庭もある、とのこと。初めは親に言われて通い始めた子もここで中国語に触れ仲間に会い、「今は自分から進んで来る。」「授業がおもしろい。」 | |
【同源中国語学校】では中秋聯歓会・春の遠足などの課外活動を行うほか、中国で開かれるサマーキャンプに参加し、中国の「海外児童中文作文」で入選、と中国語学力アップを図る。いずれは日本人の子どもにも中国語を学んでもらえるよう、さらに日中の小学生の友好交流を推進するなど業務を拡大していきたい、と理事長・楊林さんは考えている。授業を持ち煩雑な学校事務を一手に引き受ける一方で、神奈川大学で中国語を教えている楊さんである。 在日外国人は約192万人(03年末、外国人登録者数)、中国籍はその24%、約46万人。さまざまな分野で日中交流が進むにしたがい子弟を連れて来日するケースや、日本人と中国人の婚姻も多くなった。年齢別外国人統計によると、日本の義務教育学齢期にあたる5―14歳で東京都・神奈川県に住む中国籍の児童・生徒は7千5百人ほど。日本籍となるとその数は不明。東京・神奈川には小・中学校課程の中華学校が3校あるが、通学圏や定員から、地域の公立小・中学校に通う子どものほうが圧倒的に多い。CS放送「楽々チャイナ」で児童対象の「中国語補習講座」もあるとはいえ、子弟の中国語教育について親の悩みは深く、華僑は「日本華文教育協議会」をつくって解決を図ろうとしている。 同源中国語学校 http://www.dougen.jp |
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(インタビュー 新倉洋子) |
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