お気に入り記事の保存はアプリが便利!

logo_1101

2019-07-15

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・駅の構内を歩いているとき、
 前を歩く外国人観光客の転がす黒いキャリーバッグに、
 ミッキーマウスの顔と「MICKEY MOUSE」の文字があった。
 黒い、とてもまじめそうなバッグなのだ。
 そして、コロコロ転がしている人もまじめそうな人だ。
 買うときに「これがいいや」と思ったのだろうか。
 わざわざ、ミッキーマウスのバッグを選んだのだ。
 ぼくは「すごいな、ミッキー」という気持ちになった。

 ミッキーマウスの誕生は、1928年11月18日だという。
 そのころ生まれたキャラクターが、
 2019年のいま、日本にやってきたまじめそうな観光客の
 黒いキャリーバッグについているのだ、信じられるか。
 グレース・ケリーやオードリー・ヘップバーンと、
 ミッキーは同年齢らしいのだが、このふたりの女優は、
 ブランドのバッグや、漫才コンビの名前になっているし、
 すごいと言えばたいへんにすごいものだけれど、
 ミッキーマウスにはかなわないとも言えそうだ。
 いや、比べることじゃなかったね、ごめんごめん。

 それよりなにより、つい見過ごしてしまいがちだけれど、
 ミッキーマウスって、ねずみだからね! 
 ねずみを見たら、「キャーー!」がふつうだろう。
 その「キャー!」の対象であるところのねずみ野郎が、
 歴史的かつ世界的なアイドルなんだよ。
 この非常識が、常識としてまかり通っているんだよ。

 何度もしつこく言うようだけれど、ねずみだよー。
 すごいことだと、しみじみ、つくづく考えちゃってね。
 そして、「いいぞ!いいぞ!」と思ったんだよね。
 ミッキーマウスという、ねずみのキャラクターを、
 調査だとかマーケティングだとかで、
 生み出せただろうかということを。

 「歴史的世界的な、不滅のアイドルになるキャラクター
 をプレゼンテーションいたします!」という場面で、
 「このねずみです」ってやらないよ、いまの時代なら。
 でも、どういうわけか、圧倒的にねずみが勝ったんだね。
 ミッキーマウス、すごいよ、きみは奇跡そのものだよ。
 「成りあがり」の本家は、きみだったかもしれない。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
常識の世界にミッキーを放り込むことがクリエイティブ。


ここ1週間のほぼ日を見る コンテンツ一覧を見る