2010年7月12日(月)
新作旧作問わず、さまざまなミステリー・ホラー・サスペンス系のアドベンチャーゲームを紹介していく“まり蔵探偵事務所”。今回は、6月19日にカプコンから発売されたDS用ミステリーゲーム『ゴースト トリック』のディレクター・巧 舟(たくみ しゅう)さんとプロデューサー・竹下博信さんに、所長のまり蔵がインタビューを行いました。
『ゴースト トリック』は、人気AVG『逆転裁判』シリーズの生みの親・巧さんがディレクションを担当する新感覚のミステリーゲーム。プレイヤーは、命と記憶を奪われたゴースト・シセルとなり、“死者のチカラ”を駆使して自らの死の真相を探っていくことになります。
インタビューでは、制作の経緯にはじまり、シナリオ執筆時の苦労やキャラクターデザインでこだわったこと、印象的なゲームシステムが生まれたキッカケなど、さまざまなことを伺いました。『逆転裁判』についても言及していますので、『ゴースト トリック』のファンはもちろん、『逆転裁判』のファンもぜひご覧ください! ネタバレはしておりませんので、未プレイの方も大丈夫ですよ~。(インタビュー中は敬称略)
▲『ゴースト トリック』ディレクターの巧 舟さん(写真左)とプロデューサーの竹下博信さん(写真右) |
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
――まずは、ゲームについて伺います。本作の制作経緯を教えてください。
巧:2004年1月に『逆転裁判3』がゲームボーイアドバンスで発売されて、成歩堂龍一という主人公の物語がひと段落しました。それで次に新しいことをやりたいなと考え始めたのが、『ゴースト トリック』です。
――6年も前からの企画だったのですか?
巧:そうですね。それでゴーストを主人公にした企画にしようといろいろ固まりだしたころに、ニンテンドーDSが発売されることになりまして。『逆転』をDSで展開していこうと気運が社内で高まったので、いったん『ゴースト トリック』を止めて『逆転裁判 蘇る逆転』と『逆転裁判4』を作り、『4』が終わったタイミングの2007年から再び『ゴースト トリック』に着手しました。
――シナリオを書かれる際、『逆転裁判』を意識されたことはありますか?
巧:『逆転裁判』は常に意識していました。自分にとって特別な作品ですから。『ゴースト トリック』では、『逆転裁判』でやっていないことやできなかったことをやろうと思っていました。『逆転裁判』が短編構成なのに対して今回は長編だし、極力キャラクターの数を削っている『逆転裁判』に対して『ゴースト トリック』は群衆劇になっています。
『逆転裁判』は、必ず冒頭に殺人事件が起こってそれを解決していくんですね。“事件を解決する”というわかりやすい王道のミステリーをそこでやってしまったので、今回は群衆ミステリーにしました。事件から始まるのではなく、キャラクターから始まるドラマになっていて、登場人物たちがさまざまな謎を抱えている。彼らの生活を垣間見る過程で、彼らが抱える謎がどんどんつながっていって、最後に真相に至るという構成にしています。ですから、本当に“裏『逆転裁判』”というイメージでしたね。
▲シナリオを執筆する際は、常に『逆転裁判』を意識していたという巧さん。『ゴースト トリック』には、『逆転裁判』には入れられなかった要素を入れたという。 |
――シナリオを執筆していて、一番苦労したことは?
巧:物語の構成ですね。多くのキャラクターがいて、彼らの物語はできているけど、それをどう順序立てて説明してプレイする人に覚えておいてもらえるのか。そのあたりの情報の整理や、シナリオの組み立てには本当に気を遣いました。
――今作は、一晩の間に起こる物語ですが、一晩にこだわられた理由というのは?
巧:緊張感を高めるために制限時間を設けたかったからです。真っ先に一晩にしようと思ったのですが、そうすると話が短くなってしまうんじゃないかとか、一晩にどれだけストーリーが詰め込めるのかなとか、そういう心配はありましたね。それでも、翌朝までに自分の正体を突き止めなければいけないというシチュエーションに惹かれたので、この形になりました。
――1章1章が短めに作られていますね。
巧:長編のゲームは、何かのキッカケがないと中断できないので、このゲームに“章”を設定したのはセーブするきっかけを作るためでした。小刻みにしていつでもやめられるようにしようかなと思ったんですけど、その反面、続きを読みたくなるような終わり方にしているので、ちょっと矛盾していますね。でもやはり「ここで止めたいけど、続きが気になる!」という風にはしたかったので。
→次のページでは、登場キャラクターについて質問!(2ページ目へ)
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