大関経験者として初めて幕下以下に転落した東幕下59枚目・照ノ富士(27)=伊勢ヶ浜=が、東三段目2枚目・一木(25)=玉ノ井=を寄り切って復帰3場所目の勝ち越しに王手をかけた。
動きの早い一木に中に入られ、もろ差しを許しても決して慌てなかった。両腕をきめて豪快に土俵の外に放り投げた。2番相撲の大野城(高田川)との一番でも同じ形になったが、左薬指を脱臼した影響で思うように攻めることはできなかった。「気合でガーンとね。終わってから痛かったけどね」と久しぶりの必殺技のさく裂に笑顔を見せた。
流れの中でのはたき込みにも対応できたことが大きかったという。「ちょっとずつ感覚が戻ってきている。毎場所ごとに10パーセントぐらい。(復帰して)3場所目だから30~40パーセント、計算通りかな。順調にいけば、100パーセントはないけど、70パーセントまでは戻せる意識はあります」と確かな手応えをつかんでいた。
さらに「勝ち越し? 意識はないです。一番、一番ですよ。関取衆と稽古をしても、昔みたいに余裕がない。(両手を広げて)どうだ、みたいにしても、それでも余裕があった。自分でまわしを取って余裕が出ればいいですね」と続けた。上がり始めた復活の階段には、必死さが見え隠れしている。