【大相撲】御嶽海「年下には負けられない」 一気の押しで2敗死守2019年7月14日 紙面から
◇名古屋場所<7日目>(13日・ドルフィンズ アリーナ) 関脇御嶽海(26)=出羽海=は先場所優勝の朝乃山を圧倒して5勝目を挙げた。両横綱が7連勝。鶴竜は盤石の寄りで正代を退け、白鵬は動き良く大栄翔をさばいた。大関は高安(29)=田子ノ浦=が碧山を押し出して1敗を守ったが、豪栄道は遠藤に寄り切られて、連敗で黒星先行。1敗は高安と平幕照強の2人。 ◆両横綱2差追走朝乃山の強さは誰もが知るところ。その朝乃山を一方的に押し出してしまった。これが御嶽海の地力。先場所の覇者にまざまざと見せつけた。 左のど輪で朝乃山をのけ反らせ、左右からおっつけて朝乃山にまわしを許さない。最後は左のはず押し。「年下には負けられないでしょ」。1学年先輩であり、初優勝も御嶽海が先。プライドがほとばしった。 ◆三役 連続15場所名古屋場所で三役連続在位は15場所目。昭和以降で単独2位(1位は若の里の19場所)に躍り出た。だが、そこにあまり意味は感じていない。 「何場所いても元関脇だから。自信にはつながるけど、それだけじゃ満足しない。まだ上に2つもある」 三役を卒業し大関、横綱へ。大関に最も近い東関脇へ4場所ぶりに戻ってきた今場所。最大の目標は名古屋場所の連覇となるが、大関昇進への足がかりへ「下に負けないことが一番重要。絶対に2桁」と固い決意で臨む。 ◆初優勝から1年昨年の名古屋で日本出身の平成生まれ初優勝を飾った。その後、床山から指摘されて驚いたことがある。髪の量が少なくなり、まげが細くなったというのだ。 「変な相撲は見せられないというプレッシャーがあった」。そんな精神的な苦労を乗り越えてきた1年。成長した姿を再び名古屋で披露する。 ◆雷電墓前に思う2月には東京都港区の報土寺を訪れ、同じ長野県出身で唯一の大関であり、21年間の現役生活で10敗(254勝)しかしなかった雷電為右衛門の墓前で手を合わせた。 1795(寛政7)年3月場所で昇進した郷土の伝説的な力士の墓石を触り、「本当にいたんだなと感じる。少しでも近づきたい」。224年前に止まった歴史の歯車を動かしてみせる。 (岸本隆)
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