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【高校野球】

頑固「一徹」 プロ注目の東農大三・飯島147キロで快勝

2019年7月14日 紙面から

自己最速147キロをマークした東農大三の飯島一徹投手=埼玉県・熊谷公園野球場で(小原栄二撮影)

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◇埼玉大会 東農大三5-2本庄東

 第101回全国高校野球選手権の埼玉大会は13日、22試合が行われ、熊谷市の熊谷公園野球場では今春県大会ベスト4の東農大三が5-2で本庄東に快勝。プロ注目のエース飯島一徹投手(3年)は自己最速の147キロをマークし5安打2四死球7奪三振で2失点完投。初の甲子園に向けて好発進した。神奈川大会では、元ヤクルト監督の野村克也さん(84)の孫の星槎国際湘南・野村忠克外野手(3年)が夏の大会デビューを果たした。 

 埼玉ナンバーワン右腕と呼び声が高い飯島が尻上がりに調子を上げて2失点完投。DeNAスカウトのスピードガンで自己最速の147キロもマークしたが、激辛マーボー豆腐が好きな右腕は、いつも通りに自己採点も辛かった。

 「きょうは満点の半分もいっていない。初戦ということでチームを波に乗せようとしたが、力んでしまったところも多かった」

 母・玲奈さん(37)は、生まれる前から長男の名前を決めていた。誰もが思い浮かべる通り、「巨人の星」の主人公・星飛雄馬の父の名が由来だ。「妊娠中にテレビを見ていて、ちゃぶ台をひっくり返すぐらいの頑固さ、熱血がカッコいいと思いました」。女手一つで育てた長男は期待通りに成長。一徹は口調こそ穏やかだが「好きな言葉は頑固一徹。一本筋が通っていてほしいという思いからの名前だと思うし、いい意味で頑固でありたい」と力強い。

 決めたことはやり遂げる。このオフも毎日走り、スクワットをこなして下半身を強化した。その成果が球速アップにつながった。3回には内角を狙った直球が甘くなって左前へのシングル2本で同点を許し、相手の直球狙いをかわそうとスライダーを軸にした中盤には、逆にそれが合ってしまいソロ本塁打も浴びた。それでもプロ志望の右腕は潜在能力の高さをアピール。DeNAの河原スカウトは「強い真っすぐを投げられるのが魅力。もっと良くなると思う」と空振りを取れる直球を評価した。

 野球を離れると、穏やかで優しい一徹は、母が趣味の弓道でいい結果を残すとサプライズで花束を贈る一面も。一徹に引っ張られたチームは、春の県大会では花咲徳栄を撃破。秋春連続の関東大会出場も果たし、初の甲子園へ士気も上がる。「味方が点を取ってくれると思うので信頼して投げている。母を甲子園に連れて行くことが最高のプレゼントになると思うが、先を見ず一戦一戦戦いたい」と目を輝かせた。

  (小原栄二)

<飯島一徹(いいじま・いってつ)> 2001(平成13)年8月8日、埼玉県北本市生まれ。180センチ、80キロ。右投げ右打ち。北本西小2年から野球を始め、外野手、捕手などを経て6年から投手。北本中から進んだ東農大三では1年春からベンチ入り。最速146キロだったが、夏の初戦で1キロ更新。持ち球はツーシーム、スライダー、カーブ。

 

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