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今世紀末いなくなる? 北アルプスのニホンライチョウ

北アルプスの燕岳で撮影されたニホンライチョウ=長野県で(県環境保全研究所提供)

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 北アルプスで、国の特別天然記念物であるニホンライチョウの生息に適した環境が、温暖化の進行により今世紀末にはほぼなくなると予測する研究結果を県環境保全研究所などがまとめた。英国の生態学雑誌「BMC Ecology」の電子版に論文が掲載された。

 国内に二千羽弱いるライチョウのうち、七割ほどが北アルプスで生息しているとみられ、研究所の担当者は「温暖化がこのまま進むと、日本のライチョウは絶滅する可能性が高い」と危惧する。

 二〇一一年に始まった研究では、槍ケ岳や穂高連峰など北アルプス中南部の標高二、二〇〇メートル以上の山域で気温や降雨量、植物などの環境を調べ、ライチョウが多く分布する場所を分析した。

 その結果、稜線(りょうせん)に近く、巣や天敵からの隠れ場所になるハイマツや雪解け時期の餌となるアオノツガザクラ、風が強い場所に生えて餌となるガンコウランやコケモモなどが全て生える場所が生息に適していることが分かった。

 さらに、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のシナリオに基づき、今世紀末までに温暖化が進行したという前提でシミュレーションを実施。生息地域は二〇八一年から二一〇〇年にかけて、現在に比べ0・4%にまで激減するとの結果が出た。

 担当者は「今回の研究対象でなかった北アルプスの他の山域や南アルプスなど、生息する全地域でも同様の調査を進め、実態をさらに詳しく調べていきたい」と話している。

 ニホンライチョウを巡っては、環境省が北アルプスで卵を採取して中央アルプスに移す繁殖計画を進めているが、ふ化した五羽が確認できなくなっており、同省は全滅したとみている。

 (高橋信)

 

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