今回は、1990年代後半から2000年代前半まで売られていた、サントリーリザーブの10年、シェリー樽仕上げを飲みます。

薫るリザーブ

reserve_10s_サントリーリザーブは、1996年に10年ものへとリニューアルしました。

ウイスキーの消費がどんどん落ち込み、長期熟成された原酒がだぶついたことで、サントリーは長期熟成されたボトルを出すようになりました。

リザーブは10年、そしてローヤルはレギュラーが12年、プレミアムが15年と、今からすると贅沢なラインナップとなっていました。

そして1998年に出たのがシェリー樽仕上げでした。

当時のレギュラー同様に、10年熟成したモルトとグレーンをブレンド、その後でシェリー樽で後熟、フィニッシュさせたものです。

ボトル形状はレギュラーと同じでも、レギュラーが黒塗りなのに対し、シェリー樽仕上げはその色を見られるようクリアボトルを採用しました。

リザーブは1990年代から若者をターゲットにした広告戦略を立てていましたが、このシェリー樽仕上げのCMキャラクターには、トレンディドラマ俳優として飛ぶ鳥を落とす勢いであった木村拓哉を起用し、話題になりました。


レーズンと豊かに広がる香りが印象的

では、ストレートから飲んでみます。
グラスに注ぐと、液色は赤みがかった濃いめの琥珀色、香りはレーズンが鼻を突き通してきます。

口に含むと、軽くアルコールの刺激がくるものの、後からレーズン、バニラ、リンゴ、シナモンと甘い香りが続いていきます。
味わいは、アルコールの辛みはそこそこあるが、すぐに果物のような柔らかい酸味が全体を支配していきます。後味は甘いです。

ロックにすると、白檀のような芳しさが突然現れ、レーズンやバニラの香りと融合していきます。
味わいは、ほろ苦さや酸味は多少あるものの、むしろ甘みが強めとなり、まろやかで飲みやすい印象です。

ハイボールだと、レーズンとバニラが再び前に来るものの、香りの勢いは割分以上に抑えられた印象です。
味わいは、ほのかな酸味があるものの、甘さが主体になり、飲みやすさが強まります。

10年熟成+シェリー樽フィニッシュと、今から見れば贅沢な仕上がりになっていますが、香り、味わい共に深みと共に甘みがあり、ストレートでも飲みやすく、万人受けの印象があります。

700mL、アルコール度数40度、当時の価格で2100円。今だと5000円でも赤字になるでしょう。

中古店においても、お目にかかれることは少なく、オークションでも出品数は比較的少なく、相場も5000円以上になっています。

<個人的評価>

  • 香り AA: ふわっと広がるレーズン。バニラ、シナモン、リンゴの香りが脇に回る。ロックで白檀が現れる。
  • 味わい A: フルーツのような酸味と甘さがまろやかに伝わる。ロックではビターが少々加わる。
  • 総評 A: 「薫るリザーブ」の名は伊達では無い。これが2100円だったとは贅沢な時代。