さすがはミドル級!! こんなド迫力な闘いを日本人が見せてくれるとは。村田は1ラウンドから前に出てプレスがすごかった。気持ちも強く出ていて怖いくらいで、技術的にも上下にうまく打ち分けていた。
出足はそれぞれの持ち味を出す、予想通りの展開。ブラントも決して悪くなかった。スピードもあり、左右の動きも良かった。練習をしっかりしてきたのだろう。最高のコンディションに見えた。そのブラントをたたきのめした勝利の要因は村田の精神力に尽きる。“速攻勝負”と気迫で挑み、ブラントにボクシングさせなかった。連打を浴びせ、レフェリーのストップを呼び込んでの勝ち方も良かった。村田には前回の負けが頭にあったのだろう。あの敗戦の悔しさが、村田を別人にしていた。
この階級で、日本人に夢を持たせてくれるとしたら、やはり村田。ゴロフキン(カザフスタン)とのスーパーファイトの夢マッチも現実味を帯びてきた。ぜひ見てみたいものだ。 (元WBC世界スーパーバンタム級王者、本紙評論家)