生きていること、去り逝くこと。
あれから一度も
お目にかかれず
どうなさっているかな、と
ずっと気になっていました。
休日の昼下がり
初夏の太陽の元
優しい笑顔だったあの方を。
昨夜、仕事の休憩から戻ると
セブンカフェで
アイスコーヒーを淹れている後ろ姿が
目に入りました。
私はハッとして
すぐさま歩み寄りました。
「こんばんは！」
あのメロンのおじいちゃんでした。
おじいちゃんは
入ったコーヒーに蓋をしながら
私の方を見ました。
「あぁ」
柔和に微笑む、その姿を見て
私はとても嬉しくなり
「お久しぶりです！
最近、全然お見かけしなかったので…
どうされているかな？とずっと思ってて…
あの、メロン、
ごちそうさまでした。
美味しかったです、
…本当に…とても、美味しかったですよ。」
ずっと伝えたかったその言葉を
私は胸の詰まる想いで
ようやく言うことが出来ました。
おじいちゃんは
「あ、あぁ、あれねぇ。」
と、優しくウンウンと
頷いてくれました。
「お店に、来られてましたか？
全然お逢い出来なかったので。」
「うん、来てたよ。」
「そうだったんですか？
じゃあ時間がすれ違っていた
だけだったんですね。」
「そうだねぇ。」
それを聞いて
ちょっとホッとしたのですが。
「最近はね、
ずっと病院通いでね。
検査があったりで、
なかなか大変だったよ。」
そのように
近況をお話してくださいました。
それでも
お体の状態は
あまりよろしくないようで。
これまでも
ずっと治療は続けてきたものの
今回の検査の結果次第では
本当に、もう難しいかも知れない
とのことでした。
それを聞いて
私は覚悟のように
受け止めながらも
寂しくて
でもちゃんと
笑顔で接し続けることだ、と
なんだか波打ち際で
素足をさらしているような…
そんな気持ちになりました。
おじいちゃんの表情が
瞳の奥が
あまりにも穏やかで。
ずべてを受け入れているようで。
その醸し出される全てに
安心感さえ、抱かされる。
とても寂しいのに。
この如何とも
説明のしようがない感覚が
寄せては返す
静かな波のようで
サワサワ
サワサワ
小さな泡と
透き通った海水と
白い砂と
そんな穏やかなものが
心をさらっては
引いてゆくようで
人生を
生き抜いて来た人の魂を
静かに、
送ってあげなければならないのだ、と
私に告げていました。
これから先のことは
誰にもわかりません。
でも、またアイスコーヒーを
買いにきてほしい。
あるいは
ばったりと街中で逢えたなら
その時は、私の方から
「ラーメン食べに行きませんか？」
そんな声を
掛けられる自分でありたい。
また、お逢いましょう。
また、お話をしましょう。
このきらきら光る、世界の中で。
心の手を
そっと繋ぎながら。
ほっこりタッチありがとう。
Bright Future
片付けて、楽に生きる。
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