検事は証言の打ち合わせのため、1人暮らしの女性の自宅まで押しかけるものなのか?
その話は8日の法廷で出た。森友学園の幼稚園のB先生(女性)の証言で「覚えていません」と連発された堀木博司検事は、質問を変えた。
「私から何度か電話をしました。折り返しの電話を求めましたがしてくれましたか?」「してないです」「なぜ?」「出る必要を感じなかったから」「自宅近くで会いましたね。会う必要について刑事訴訟規則の条文を渡しましたよね。実際に来てくれました。もう一度来てほしいとお願いしましたね」「最初は断りました。電話で『もう行きません』と伝えました」「なぜ?」「精神的に耐えられない」「私と会うと耐えられないですか?」「知らない書類をいっぱい見ることになるんで」
B先生は、堀木検事が自宅近くで待っていた時の状況を、弁護士の質問にこう説明した。
▽路上で法律の規則を見せられ、証人尋問の打ち合わせに行かないといけないのかと思った。しかしそうではなく、検事が尋問の準備をしなければいけないという規則だった。家に帰り文書を見て本当の意味が分かった。
▽堀木検事の打ち合わせに行ったら複数回必要と言われた。私は1回にしてくださいと、だいぶ言った。行く義務がなければ辞退したかった。
弁護団から「かわいそうだ」と声が漏れた。
2人目の証人は同じ幼稚園のC先生だ。質問に立った三輪能尚検事は、傍聴席にいた籠池夫妻の次女Aさんを指さし、きょう会ったか尋ねた。
「裁判所の入り口であいさつを」とC先生。すると三輪検事はにっこり笑い、「話していましたね。私が横を通ったことに気づいていましたか?」「いいえ」「どのくらい話していました?」「5分ほど」「先ほどあいさつと言いましたよね。私からはそれだけです」。証言の信用性を疑わせる狙いだろう。
C先生は何度か被告席を振り向き、諄子さんと目が合った。もう2年以上会っていない。諄子さんの目が潤む。「鬼の目にも涙よ」と自分で言う諄子さん。そこで籠池さんが一句「せみしぐれ 公判巡る 攻防戦」。何度も繰り返される検事の質問を夏のせみしぐれに例えた。
(相沢冬樹)(随時掲載)