金魚電話ボックス訴訟 原告の請求を棄却
7月11日(木) 19時24分

 電話ボックスの中で金魚が泳ぐオブジェを巡り、著作権を侵害されたとして現代美術作家が損害賠償などを求めた裁判で、奈良地裁はきょう、作家の請求を退ける判決を言い渡しました。

 裁判の争点となったのは金魚の産地として知られる大和郡山市の柳町商店街が2014年に設置した、電話ボックスの中で金魚が泳ぐオブジェ「金魚電話ボックス」です。これに対し、福島県在住の現代美術作家山本伸樹さんが、オブジェが自分の作品と似ていて著作権の侵害に当たるとして、商店街に対し330万円の損害賠償などを求めていました。きょうの裁判で奈良地方裁判所の島岡 大雄 裁判長は、受話器が水中に浮かび、気泡が発生している点は共通するが、それ以外の色や形、公衆電話機の種類などは異なると指摘。そして、オブジェに同一性は認められず著作権侵害には当たらないとして、山本さんの請求を退ける判決を言い渡しました。これに対し山本さんは、記者会見を開き…

現在美術作家 山本伸樹さん
「私の望んでいた判決とはまったく違った結果になり、非常に落胆しております、著作権法と表現の現場との明らかな乖離から生じている問題だと思います、当然、控訴で考えております」

 なお、判決に対し柳町商店街は「公衆電話ボックスを水槽に見立てて金魚を泳がせるのは表現ではなくアイデアであり著作権法で保護される対象ではなく、妥当な判決だった」とコメントしました。ただ、金魚ボックスの再設置については現時点では白紙状態としています。